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「データを製造する」ということ

Baseconnectの高木です。

Baseconnectでは、おそらく世界初の「データを製造する」という事業に取り組んでいます。
世界初が故に「データを製造する」ってよくわかんないですよね。
自分自身の整理のため、また、この取り組みに共感してくれる人を少しでも増やすために文章に残しておこうと思います。

まずはじめに、Baseconnectは、「世界中のデータを繋げることでダイレクトに必要な情報にアクセスできる世界を作る」ことをミッションに掲げています。
ミッションの達成に向け現在は「法人営業向けの企業情報データベース」を提供しています。

私が所属するチームは「Data Manufacturing(データ製造)チーム」といって、データベースの作成を担っています。まさにサービスの根幹です。
その「データベースの作成」を「製造」ととらえているのです。
転職活動をしていて初めて聞いてすごく”おもしろい”と感じましたし、今もそう感じています。

製造業出身者として前職での経験と、現職の経験を踏まえて、製造とは何か、データ製造とは何か、私なりの考えをまとめてみます。
*あくまで私見です。会社の公式見解ではありません。

1.製造とは

製造とは、「原材料を加工し付加価値をつけ、製品にする」ことだと考えています。
*辞書では以下のような表現になっています。

原材料に手を加えて製品にすること (大辞林 第3版)

缶コーヒーを例にフローにすると、以下のようなイメージです。

製造フロー(

缶コーヒーを作るためには、まず原料(缶、コーヒー豆など)を仕入れる必要があります。
原料を仕入れた段階では、原料以上の価値はありません。
もちろん原料は原料で求める人はいるので売ろうと思えば売れます。ですがそのような商売は「流通」だとか「卸売」と言われるものです。

「製造」と「流通」などとの大きな違いは”加工して付加価値を付与するかどうか”です。
焙煎されたコーヒー豆は、粉砕⇛抽出という原料の加工により、初めてコーヒーになります。
更に製品独自の味わいやイメージを作るために、砂糖や乳をブレンドします。
このようにして出来上がったコーヒーは、容器に充填され、箱詰めされるなどの加工を繰り返し仕上げられていきます。

ただ、製品としては加工しただけで終わりにはできません。
お客様にお渡しできる状態であることを検品・検査によって確認しなければなりません。
お客様が使用される前に変質しないようきちんと殺菌できているか、味わいは適正か、製品として許容できる範囲のばらつきかなどの観点で検査します。
方法もタイミングも様々です。人が最終判断するものもあれば、機械で自動測定するものもあります。全数検査するものもあれば、抜き出しのチェックにするものもあります。
どのような検査であれ、不良であるものはすべて排除されていきます。

このようにして最終工程まで行き着いたものが初めて製品となります。
原料であった頃とはまるで異なる姿形になっているはずです。
原料よりも加工・検査の分だけ価値が高まっており、付加価値が付与されています
この一連の流れを「製造」と呼ぶのだと考えています。

2.製造でのフレームワーク QCD

ただ漠然と製品を作り、市場に出せば儲かるのでしょうか?
であれば誰でも商売に成功できるでしょう。
何も考えず、製品を作るなんてことはないはずです。
誰もが理想の製品を目指すはずです。

話を缶コーヒーに戻してみます。
誰もが理想の缶コーヒーを作りたいと考えます。ただ、理想の缶コーヒーは人それぞれです。
・少々味は落ちてもいいから安い方がいい。
・喫茶店で飲むレベルの味がいい。多少高くても構わない。
・とにかくいつでも同じ味でどこでも買うことができるのが大事。
などなど、缶コーヒーの理想像はそれこそ無限にあります。

じゃあ自分たちはどんな缶コーヒーを作るのか。仲間内であっても、共通認識が必要です。
こういったややこしい話になると、ビジネスの世界ではフレームワークを持ち出して議論することが多いですよね。
製造業では「QCD」というフレームワークを用いることが多いです。

QCDとはそれぞれ以下を意味します。
Q:Quality(品質)
C:Cost(コスト)
D:Delivery(納期)
これらはいずれもトレードオフの関係にあります。
例えば、高品質の商品を低コストで製造することはできません。また、短納期で大量の商品を製造しようとすると、コストがかかります。
どのような製品であっても、理想の商品をQCDの項目に落とし込みます。

缶コーヒーの製品コンセプトを例にしてQCDをもう少し具体的にしてみます。
<定番商品>
Q:Deliveryを優先し、特殊な原料は使わない。Qualityはやや低め〜中間程度に抑える。
C:他の缶コーヒーと比較してやや低め〜平均的な金額におさめる。[原価 y_1 円]
D:絶対に品切れさせない。流通量の確保のため、生産量を多くする。[生産量 z_1 本/月]

<プレミアムな缶コーヒー>
Q:豆からこだわる。条件管理は定番商品よりも厳しい。
C:他の缶コーヒーよりも、販売価格が高くなっても良い。[原価 y_2 円]
D:プレミアム感を出すため、限定品扱いとし、流通量は少なめにする。[生産量 z_2 本/月]

すごく単純化したコンセプトベースであれば、こんなイメージかと思います。
当然、定番商品よりもプレミアム商品の方が原価は高くy_1 < y_2 ですし、一定期間内での生産量は定番商品の方が多くz_1 > z_2 になるはずです。

実際の生産現場だと、Qualityを表す物性値(pHとか、糖度とか)を数値で管理します。
生産の現場責任者はCost、Deliveryの範囲内でQualityの向上、バラツキの抑制に努めます。

*下記サイトが非常にわかりやすかったので、興味がある方は読んでみると良いかもしれないです。

3.「データを製造する」とは

結論から。
Baseconnectのデータベース作成は下記のようなフローと言えます。

製造フロー-データベース

インターネットからは様々な情報を取得できます。
でも、情報が多すぎるあまり
・情報が多すぎてどれを使っていいか分からない
・正しい情報にヒットするまで意外とスキル・試行錯誤が必要
みたいな状況になっています。

Baseconnectが存在することで、インターネット上に散らばった情報は整理され、誰でも使いやすくなるはずです。
ここに価値があります。

つまり「データを製造する」とは、「データという原料を加工し、散らばった情報を繋げ整理するという付加価値を付与して製品にする」ことだと言えるのではないでしょうか。

Baseconnectは、世界中のデータを繋ぎ合わせ、構造化して整理したいと考えています。
この目標を私なりにQCDに落とし込むとこんな感じでしょうか。(現時点ではあくまで目標ですが。。。)
Q:誰でも安心して使うことができる。知識のない人でも、知識をより深く得ることができる。最新の情報がタイムリーに正確に手に入る。
C:誰でも手が出せる。
D:必要な量を必要なときに引き出せる。

データを製造するってのは、壮大ですね。

4.今の業務

最後に、データ製造に携わるって、具体的にはどんな仕事をやってんの?というところに触れたいと思います。

こんなどでかい仕事、人間一人にはできません。
たくさんの方にいろいろな形で協力いただき実現しようとしています。

業務としては、
・製品仕様の検討(QCDの設定)
・加工・検品のオペレーション構築(誰が、何をする)
・実際のオペレーションの運用、加工・検品
・オペレーションの改善 などなど。

製造業に携わっていた方には馴染み深い言葉の数々だと思います。
なお、QCDに直結した内容であるため、当然、オペレーションの詳細を書くことはできません!

まだまだ始まったばかりの事業です。
これからも凄まじい勢いで製品仕様を詰めなければならないですし、オペレーションも改善していく必要があります。
その変化のスピードは成熟した製造業の何倍も速いと感じます。
製造業の考え方を適用できますが、PDCAのサイクルは一般的な製造業よりも何倍も速くしないといけません。

まあ、みんなで頑張っていきゃあいいさ、と
明るく、楽しく、前向きに捉えています。

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