テキサス最南端のビーチ

週末にテキサス最南端の町、ブラウンズビルに行ってきた。

全米でもブラウンズビルでしか食べられないお肉を満喫することと、無性に海で泳ぎたかったのでそれをやるために、テキサスのほぼ中央に位置するオースティンから車をすっ飛ばすこと5時間強。

テキサスとメキシコの境は全長2018km。リオ・グランデと呼ばれる川がこの境目の役割を果たしていて、ブラウンズビルの東からメキシコ湾に流れ出ている。

今回行った浜はこのリオ・グランデ河口に隣接するボカ・チカ・ビーチ。

ボカ・チカの北にはサウス・パードレ・アイランドという、この辺りでは有名なリゾート地があって、春休みや夏休みは全米からパリピが集まるようなところがある。

ボカ・チカはサウス・パードレとは打って変わり人も少なく、商業施設は一切ない。ここにいた人たちは、最後にお風呂入ったのがいつなのか分からなそうなヒッピーや、豪快に肥満な人たち、静かに釣りをしたそうな人たち。とにかくリゾート地には馴染めなさそうな人たちばかり。そしてみんな好き勝手なところに車を停めて、好き勝手に遊んでる。1人で来た自分も、こっちの方がいい。

東日本大震災の後にボランティアとして何度も東北へ行ってからというもの、海を目の当たりにするたびに津波を妄想して、海がなんとなく怖くなっていた。でもここは大西洋、地震は起こらない。地震や津波の心配がないと思うと、平和な気持ちで海を眺めたり泳いだりできた。

ふと思い立って、南へ行けるところまで行ってみた。すぐに国境、そこはどんなところなのだろうと思って、どうしても見てみたくなった。

対岸はメキシコ。そこにはメキシコ人たちが集まって釣りしたり飲んだりして遊んでた。でも驚いたのは、泳げば10秒くらいで対岸に着いてしまうくらいの距離、しかも川底も浅いから歩いていける。

島国に生まれ育った身としては、国境はなんとなく巨大で自然に人の前に立ちはだかるもののように思えていた。

アメリカとメキシコの国境だって、メキシコからの不法入国者が絶えないし、それを受けてトランプ政権が巨大な壁を作ろうとしている地帯。トランプ政権前からずっとアメリカ側はボーダーパトロールを手厚く配備してきた物騒なところという認識だった。

実際、ブラウンズビル市内でも国境に沿った街道には柵が張り巡らせてあった。

でもボカ・チカ・ビーチの南端は、とても国境とは思えない静かで地味な場所だった。そののどかな様が、未だに意外に思える。

それでも日が暮れると、沖にぼんやりと灯りが見えた。それはパトロール船。

そしてビーチから街へ戻る道には、身分証明書を提示しなくてはいけないボーダーパトロールの駐屯所があった。やはり、国境は国境。誤解を招くような事をやらかしたらとんでもないことになりそうなところだ。

余談ながら、このビーチ付近ではイーロン・マスクのスペースX社がロケット発射場を建設中。来年には打ち上げを開始するらしい。

そうしたらボカ・チカ・ビーチも今回のようにのんびり過ごして楽しめる場所ではなくなるのかもしれない。

#テキサス #メキシコ #旅行

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