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【800字エッセイ】はじめてのスカイツリー

あたくし、オジおばさんは東京郊外 多摩地域の出身である。

正確にいうと調布で生まれ、大田区で4歳まで、その後は多摩ニュータウンで育った。

東京出身者あるあるだが、オジおばさんは東京タワーに登ったことがない。目の前を通ったり、遠くから眺めたり、旅行や出張から帰ってきた時に東京タワーをみて「あ、帰ってきたなぁ」という感覚を味わったことはある。でも登ったことはない。

六本木ヒルズの森ビルや、東京都庁の展望台には登ったことはあるのに、何故だか東京タワーはないのだ。

理由を考えて一番に思いつくのが、行きにくいということだろうか。最寄りの駅から結構歩く記憶があるし、入場料が結構高い印象がある。
あとはいつでも来られるから、これが一番の理由かも知れない。

そんなオジおばさんは、なんとスカイツリーには登ったことがある。

高円寺に住む前は、浅草と上野の間に2年間だけ住んでいた。
その時に友達と「ハトバスツアー」に参加した。そのコースにスカイツリーが組み込まれていたのだ。

世界いち高い電波塔。そこからの景色はどんなものか。結構ドキドキしていた。

エレベーターの演出も素敵だった。それにしてもエレベーターのスピードが凄かった。スピードが出ているのにほとんど揺れない。
日本の技術ってやっぱりすげーなぁとか感心しているとエレベーターの扉が開いた。

そこに広がっていたのはまさしく別世界だった。遠く東京湾越しに横浜も見えた。
真下を覗き込むとまるでミニチュアの世界を見ているようだった。
高すぎると怖さは感じないものなのか、もともとオジおばさんが高いところが好きなのかはわからないが、そのミニチュアの世界を堪能していた時に事件は起こった。

目に飛び込んできたのは「いちじく浣腸」の文字。読み間違えかと思ったが、この高さからもはっきりわかるくらい大きな文字で「いちじく浣腸」と書いてある。

「あなたの愛用品の工場があるよ」 

横にいた友達に伝え爆笑した後、なんだか変な雰囲気になってしまった。

オジおばさんのスカイツリー初体験は、美しい景色よりも「いちじく浣腸」の印象が色濃く残るものとなった。

今でもスカイツリーを遠くから見かけると「いちじく浣腸」を同時に思い出すのであった。

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