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イソップ童話「北風と太陽」から社会人が学ぶこと

このnoteで分かること

・イソップ童話「北風と太陽」での太陽の最大の勝因は、コートを脱ぐという意思決定を旅人自らにさせたこと
・会社に於いては、敵を作らず自分の味方になるという意思決定をさせることが重要。
・それらは全て科学(主に心理学)で裏付けられているということ(*)。

(*)心理学等に触れている部分はありますが、学者でもなんでも無いただの一般人が、ネットや本で学んだ似非知識と経験則に基づいて書いているものです。

イソップ童話「北風と太陽」あらすじ

登場人物:北風・太陽・旅人
むかしむかし、北風と太陽はいつも「自分のほうが強い!」と主張しあっていました。
そこで北風と太陽はその議論に決着をつけるため、あそこにいる旅人のコートを脱がせたほうが強いということにしよう!という勝負をしました。

先攻の北風は、力ずくでコートを吹き飛ばそうと目一杯冷たい風を旅人に浴びせました。しかし旅人は「寒い寒い」と良い、コートをギュッと掴みコートはびくともしませんでした。

後攻の太陽は、ポカポカ温かい熱気を旅人に浴びせました。旅人は「暑い暑い」と良い、自らの意思でコートを脱ぎました。

北風と太陽から学べる教訓

①雑に手っ取り早く成果を求めようとするよりも、着実に行うほうが良い。
②こちら側の力で人を動かそうとすると逆に頑なになったり真逆の行動をする可能性もあるが、人に自ら動いてもらおうと行動すると、快く行動してくれる。

現代版「北風と太陽」①-喫煙所編-

登場人物:役人1、役人2、喫煙者

その国では非喫煙者の受動喫煙が問題となっていました。
役人1は法律を作り灰皿を撤去したり、飲食店では原則禁煙にしたりとしました。
しかし喫煙者は、灰皿が無くなったくらいでは禁煙する訳もなく、屋外の不特定箇所で路上喫煙をするようになりました。飲食店でも店内では吸えないので、飲食店から一旦出て路上で吸うようになりました。
これにより、更に非喫煙者の受動喫煙が増えてしまいました。

一方役人2は、至るところに居心地の良い喫煙所を作った上で、喫煙所以外での喫煙禁止という法律を作りました。
すると喫煙者は喫煙所内に留まって喫煙するようになり、受動喫煙は一気に減少しました。

現代版「北風と太陽」② -いじめ編-

登場人物:その他の子、いじめられっ子、いじめっ子

あるところにいじめっ子いじめられっ子その他の子がいました。その他の子がいじめを無くそうと頑張りました。
「いじめは良くないよ!止めな!」「先生に言うよ!」
いじめは一時的に無くなったように見えましたが、時間が立つとまたいじめは起きました。それどころか、いじめを止めていたその他の子までもいじめられてしまいました。

いじめられっ子が勇気を振り絞って、いじめっ子に対して、机を蹴り上げ大声を挙げ反抗する姿勢を示しました。それと同時にこれまで受けてきた精神的苦痛による損害賠償請求を起こしました。
こうすることでいじめっ子はその子をいじめることを辞めました。

現代版「北風と太陽」を考察すると

まず、上記2つの現代版「北風と太陽」は解決に至った側(太陽側)の解決策が大きく異なると感じる人が多いと思う。

喫煙所編はイソップ童話の北風と太陽の役回りに近いが、いじめ編ではむしろ解決した方が北風で、解決しなかったほうが太陽のようだと感じるだろう。

これはなぜかと言うと、前述した「北風と太陽から学べる教訓」にも書いてある通りの教訓を活かしているからに他ならない

[再掲]北風と太陽から学べる教訓
①雑に手っ取り早く成果を求めようとするよりも、着実に行うほうが良い。
②こちら側の力で人を動かそうとすると逆に頑なになったり真逆の行動をする可能性もあるが、人に自ら動いてもらおうと行動すると、快く行動してくれる。

特に重要なのは②で、自分の力で無理やり相手を動かそうとするのではなく、相手に如何にして行動してもらうか考えることである。

思いやりや、優しさも大切な要素ではあるが、現代社会に於いては太陽として人を動かすための本質ではない。

現代版「北風と太陽」を科学する

北風と太陽の登場人物は以下のように分類することが出来る。

北風:非解決者・・・誤った解決方法を試そうとする者
太陽:解決者・・・正しいアプローチで問題を解決できた者
旅人:作用者・・・非解決者と解決者が影響を及ぼそうとしている者

解決者になる上でいちばん大切なことは、教訓にもあるようにズバリ「作用者を作用者自身の意思で動かすこと」である。
なぜこれが大切なのかというと、人間には「自分で意思決定したことは正しいと思い込む」認知バイアス(確証バイアス及び正常性バイアス)があるからだ。
参考→https://blog.counselor.or.jp/work_technique/f288-2

サラリーマンのケーススタディ

ここで重要なことは、何か相手を動かしたいと思う時は、太陽のように「作用者自身の意思」を動かす行動をすることである。
例えば会社に対して何か要求がある場合、大きく分けると2種類方法がある。

方法A:要求を飲んでくれなければ、会社にこんな不利益なことがありますと交渉する。
方法B:要求を飲んでくれると、会社にこんな利益がありますと交渉する。

例えば、要求が次の人事考課で課長に昇格する、昇格できなければ辞める。
という場面(方法AにしろBにしろ辞めるのも確定)に於いて
「次の人事考課で課長に昇格できなければ辞めます」というのが方法A。「次の人事考課で僕が課長になるとならない場合と比較して利益が5%増えます」というのが方法Bだ。

方法Aは要求をそのまま雑に手っ取り早く伝えているだけ
方法Bも、自分が辞めなかった場合と現状が維持された場合を比較するというワンステップ進んだだけを示しているに過ぎない。

どちらの方が要求が通りやすいかは正直組織の特性やタイミングによりけりであるのには変わらないが、会社に於いては方法Bの方が圧倒的に太陽になれることが多い。

まず方法Aは、会社に角が立つ。普通に印象が悪くなる。そのため、「あぁこの人はこういう人なんだ」という悪いレッテルが貼られ、自分の印象が悪くなってしまう。ハロー効果(印象だけでその人のそれ以外の評価も決まる)や親近効果(最も最近の行動が過去の行動よりも重要と感じる)も相まって、その後の要求も通りづらくなる。

方法Bは人間の正常性バイアス(想定できる悪いことも起こらないと思ってしまう)も逆手に取った方法である。この場合は「まぁ会社辞めることはないだろう」と思われることが多い。だからこそ、この人は利益率を5%アップさせるチャレンジを、あわよくばそれ以上に利益率が上がるチャレンジをするのではないかと思うのだ。
そしてこの場合、仮にチャレンジが失敗したとしても、大きな問題にはならないだろうという部分でも正常性バイアスが都合よく働くのだ。

そして今回の例の場合、どちらの方法Aと方法B、どちらの要求に対してYESと言いたくなるかが最も重要なポイントである。

多くの場合、会社の意思決定は上司一人が行うものではない。
特に日本型企業に於いては、決定権がある人が一人だとしても、おおよそ議論を経て意思決定されることが多い。

そのため方法Bの方が味方が増えやすい。
味方になる、という選択をその人自身の意思でさせることが重要である。

世界を変える、自分を変えずに

会社員の中には、自分を押し殺して会社に合わせようとする人もいる。しかし、個人的には、会社で仕事をすることは、自己実現のための一手段でしか無いと考えている。自分が正しいと思っていることなどといった、自分の思想までは変える必要は無いと思う。

北風と太陽の太陽になることは、あくまでも自分が見える範囲の世界にしか過ぎないが、ただのサラリーマンがサラリーマンなりり、自分を変えずに世界を変える方法である。

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