見出し画像

埼玉県の虐待禁止条例改正案こそ虐待を助長する悪法だ!

 埼玉県で虐待禁止条例改正案が出された。あまりにもひどい内容に驚愕している。条例を載せておいたが、お役所文書はわかりにくいので、私なりに要約してみた。
 ① 小学3年生までの子どもに留守番をさせたら虐待(ネグレクト)にな
  る。
 ② 小学4年生から小学6年生の子どもに留守番をさせないように努めな
  ければならない。 
 ③ 虐待を受けた児童の発見時や、児童虐待が疑われた場合の通報を県民  
  の義務とする。

 虐待禁止条例改正案を提出した自民党県議団は、「子どもだけの登下校や短時間の留守番なども禁止行為にあたる」と答弁している。「子どもの安全が確保できず、保護者がすぐに駆け付けられない場合は『放置』にあたる」との考えを示した。改正案は、県が市町村と連携して待機児童の解消策を講じる規定も盛り込んでいるそうだが、保育所や学童保育に入れなかった子どもは放置されるリスクが高いとの見方が理由だ。自民は、目標とする来年4月の施行までの解決を県に求めている。

埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例
 埼玉県虐待禁止条例(平成二十九年埼玉県条例第二十六号)の一部を次のように改正する。
 第六条の次に次の一条を加える。

(児童の放置の禁止等)
第六条の二 児童(九歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるものに限る。)を現に養護する者は、当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置をしてはならない。

2 児童(九歳に達する日以後の最初の三月三十一日を経過した児童であって、十二歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるものに限る。)を現に養護する者は、当該児童を住居その他の場所に残したまま外出することその他の放置(虐待に該当するものを除く。)をしないように努めなければならない。

3 県は、市町村と連携し、待機児童(保育所における保育を行うことの申込みを行った保護者の当該申込みに係る児童であって保育所における保育が行われていないものをいう。)に関する問題を解消するための施策その他の児童の放置の防止に資する施策を講ずるものとする。

第八条に次の一項を加える。

2 県民は、虐待を受けた児童等(虐待を受けたと思われる児童等を含む。第十三条及び第十五条において同じ。)を発見した場合は、速やかに通告又は通報をしなければならない。
 第十三条第一項中「(虐待を受けたと思われる児童等を含む。以下この条及び第十五条において同じ。)」を削る。

附則
この条例は、令和六年四月一日から施行する。

 自民党埼玉県議団の団長は「日本では、留守番や低学年児童だけでの下校が虐待にあたるとの認識が希薄だ。親が頑張らなきゃいけない部分も増えるかもしれないが、今の状況が非常に危険だということを再認識し、自分の家庭を見直して意識改革をしていただきたい。」と述べている。

 自民党側は、熱中症や火災、誘拐などの危険性を挙げ、どこでも短時間であっても「生命、身体に危険がなく、養護者がすぐに駆けつけられる状況」でなければ放置とし、罰則規定はないものの「放置は虐待だと意識改革を進めるための理念条例だ」と強調しているという。

 埼玉県とは、そんなに治安が悪く、子どもたちが登下校したり、友だち同士で公園で遊んだりできないほど危険な県なのだろうか。もちろん、幼稚園等の送迎バスや、親の買い物やパチンコなどでの子どもの車内への放置は、命にかかわるため絶対的な虐待になるが、子どもが一人で留守番したり、子どもたちだけで登下校するのが虐待にあたるとは考えにくい。もしかしたら、「埼玉県は危ない」という印象を全国に知らしめてしまっただけなのではないだろうか。県民からも「保護者に仕事を辞めろというのか」などと抗議の声が上がっている。

 改正案を知った県内の保護者らは、成立を防ごうと6日から署名活動を始めた。インターネットの署名サイト「Change.org」で、改正案を可決しないよう求める署名を集め、本会議前日の12日に自民党県議団に提出する方向だ。もちろん私も賛同した。発起人の黒山湖子は「通報義務で監視され、外で子どもを遊ばせられなくなる。保護者に仕事をやめろと言うのか」と不安を吐露。「家庭に複数の子どもがいたら、子どもの数だけ大人がいないと常に見守ることはできない。他人に見守ってもらうといっても、他人に預ける方がよっぽど怖い。どうして県民の声を全く聞かずに決めようとしているのか」と疑問を投げかけている。

 子どもたちの安全を保障することに全く異論はないが、自民党埼玉県議団の提案は、保護者を追い込み、子ども同士が外で遊ぶ機会を奪い、さらには心理的虐待の増加につながってしまうのではないだろうか。

 「埼玉県で子育てはしたくない」という声がたくさん聞こえてきそうだ。

 


私の記事を読んでくださり、心から感謝申し上げます。とても励みになります。いただいたサポートは私の創作活動の一助として大切に使わせていただくつもりです。 これからも応援よろしくお願いいたします。