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コロナ禍で増加した児童婚~10歳で結婚させられる少女がいる~

 第二次世界大戦が終わり、国際連合が発足すると、翌年の1946年、国連国際児童基金(Unicef)が発足した。すべての子どもたち、特に、最も脆弱で、最も不利な立場に置かれた子どもたちが、生き延び、健やかに成長するための平等な機会を得られる世界を目指して、ユニセフは活動してきた。第二次世界大戦で敗戦国となり、窮乏にあえぐ日本の子どもたちにもユニセフの支援の手は差し伸べられ、日本の復興に甚大なるご支援をいただいてきたという歴史がある。私がかつて勤務していた児童養護施設も戦後の食糧難、物資難の危機において、ユニセフからの寄贈品(主に子どもたち向けの食料や衣服等)を定期的に受け取っていたという記録が残っている。

 ユニセフは2021年3月8日の国際女性デーに『COVID-19:児童婚の進展への脅威というレポートを発表し、そのレポートによると2030年までに1000万件の児童婚が発生すると懸念を示していた。特に新型コロナウィルス感染拡大に伴って、学校が休校になり、オンライン授業を受けられず、また家庭が貧しくてコロナの影響で両親らが失職したりするなどで、最も脆弱な立場にある女子の児童婚が増加するとした。女子の児童婚は長年の風習もあり、なかなか根絶できない。それでも過去10年で児童婚した女子は15%減少していたが、新型コロナウィルス感染拡大による生活環境の変化と経済的な貧困によって、児童婚が増加するだろうと予測していた。児童婚した女子は結婚したら、労働力として使われることが多く、家庭内暴力を受けることも多い。また学校教育は終了してしまう。さらに早すぎる妊娠などで母体をリスクに晒すことも多い。(上記写真はHUFF POSTより転載)

 ユニセフ(国連児童基金)が今年の5月に発表した新しい報告書によると、児童婚は過去10年間に着実に減少しきたにもかかわらず、紛争や気候ショック、今も続く新型コロナウイルス感染症の影響など複数の危機により、これまで苦難の中でも成し遂げた成果が無となる恐れがあるとのことだ。(児童婚:男女問わず、18歳未満での結婚を指す)

 ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは、
 「世界は、危機に次ぐ危機に襲われており、弱い立場に置かれている子どもたち、とりわけ、花嫁ではなく生徒であるべき女の子たちの希望や夢が押しつぶされそうになっています。公衆衛生や経済の危機、武力紛争の激化、気候変動の猛威によって、子どもを持つ家族は、児童婚に誤った救いを求めざるを得なくなっています。子どもたちの教育を受ける権利、そして彼らの人生に力が与えられることが保障されるよう、私たちは全力を尽くさなければなりません」 
 と述べている。以下は、ユニセフのラッセル事務局長によるレポートである。

 ユニセフの最新の世界的な推計によると、現在生存している推定6億4,000万人の女の子と女性が、18歳未満で結婚した。これは1年あたり1,200万人の女の子が18歳未満で結婚していることになる。18歳未満で結婚した女性の割合は、5年前に発表された前回の推定値と比較すると、21%から19%に減少している。しかし、このような進展にもかかわらず、2030年までに児童婚をなくすというSDGsのターゲットを達成するためには、世界の児童婚の減少が今の20倍以上の速度で進む必要があるとデータが示している。

   サハラ以南のアフリカは、世界で2番目に児童婚が多い地域で、児童婚をした世界の女性・女の子の20%が暮らす。児童婚減少のペースが現況のままでは、この慣行を撤廃するのに200年以上かかると言われている。この地域では人口が急増し、危機的状況が続いているため、児童婚は増加する傾向にある。

 子どもの頃に結婚した女の子は、結婚直後から、そして生涯にわたって、児童婚の影響を受ける。学校に通い続けられる可能性が低く、早期妊娠のリスクが高まり、ひいては子どもや母体の健康障害や死亡のリスクも高まる。児童婚はまた、女の子を家族や友人から孤立させ、地域のコミュニティから排除し、子どもの精神的な健康やウェルビーイングに大きな打撃を与える。

 世界中で、紛争、気候関連の災害、そして新型コロナウイルス感染症の継続的な影響(特に貧困の増加、所得の大幅減、中途退学)が、児童婚を推進する一因となっている。同時に、女の子を児童婚から守る保健ケア、教育、社会サービス、コミュニティ支援を利用することも難しくしている。その結果、脆弱な環境に暮らす女の子が18歳未満で結婚する確率は、世界の平均的な女の子の2倍、と報告書は分析している。紛争関連死が10倍増加するごとに、児童婚の数は7%増加する。同時に、気候変動がもたらす極端な気象現象は女の子が直面する児童婚のリスクを高めており、降雨量が10%変動するごとに、児童婚が約1%増加することにつながる。

 ラッセル事務局長は最後にこう付け加えた。
 「私たちは、児童婚の根絶に向けて成果を出せることを証明しました。児童婚をなくすためには、脆弱な立場に置かれている女の子と家族への確固たる支援が必要です。私たちは、女の子を学校に通わせ、彼女たちが経済的機会を得られるよう注力しなければなりません」と…。

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