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世界最古の人道支援基金は日本で始まった!

 昭憲皇太后は明治天皇の皇后である。現在は明治天皇と一緒に明治神宮の御祭神になっている方である。恥ずかしながら初めて知ったのだが、世界最古の国際人道支援基金である「昭憲皇太后基金」を創設された方とのことだ。公家の一条家から明治天皇の皇后になられた方だ。明治天皇が崩御された明治45年、第9回国際赤十字会議がワシントンで開催された折に、皇太后から下賜された10万円(現在の約3億5000万円に相当)を基に創設された。昭憲皇太后は大正3年に崩御されるが、基金創設から10年目にあたる大正10年から、保健衛生事業、医療、福祉、教育、災害救護活動など、戦争に関わらない事業に対して配分されてきた。

 昭憲皇太后は、昭憲皇太后基金ができるずいぶん前の皇后時代、明治天皇と一緒に、様々な活動に賜金されておられる。ちなみに皇后時代の名前は美子(はるこ)皇后と呼ばれた。明治天皇が明治10年、美子皇后が明治15年に博愛社に賜金されている。博愛社はのちに日本赤十字社と名称変更する。日清戦争や日露戦争に際しては、戦役での戦勝軍人にご自製の包帯や義肢や義眼を下賜されている。日露戦争の際にはロシア兵の戦傷者にも賜うように令している。

 昭憲皇太后が皇后時代から、明治天皇と一緒になって、社会的弱者への慈しみや社会事業への関心はもとより、長年にわたり日本赤十字社の活動を支援してきたことが「昭憲皇太后基金」創設につながったのだ。政治的な穿った見方をすれば、文明開化・富国強兵・殖産興業を目指す日本の国力を国際的に示し、国際的な信用を得るための手段の一つと考えることもできる。しかしながら、昭憲皇太后基金の素晴らしいところは、敗戦によって王朝が崩壊したり、国の制度その者が根底から変わってしまったロシアやドイツの皇后基金は廃止されたものの、太平洋戦争での敗戦後も現在に至るまでずっと継続されていることだ。

 現在、皇太后基金への援助は皇室が行っている。このようにかつての皇太后が始められた基金を、現皇室がさらに基金を増額しているところは日本が世界に誇るべき素晴らしさだと感じている。国際赤十字の生みの親であるアンリ・デュナンや、クリミヤ戦争で活躍したナイチンゲールほどの社会貢献をされた昭憲皇太后の名がもっと日本だけでなく世界でも知られるべきなのではないかと感じている。
 

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