膝を抱えて生きていこう

ジョギング中は妄想捗りますよね。

久々に10キロを超えて軽快に走ってたら、なんの前触れもなく膝からパキリと破滅音がしたのです。
そこからはドラクエで言うバリア床を歩くがごとく、30歩に1度、膝に痛みが。
走ってアドレナリンが出ているからか、最初は楽観的だったが、徐々に悲観的な想像が頭をもたげる。

頭に浮かぶ想像は、骨折した馬。悲しい目をした馬。
馬は骨折し走れなくなると殺処分されてしまうと聞く。
そんな境遇に自分を重ね合わせて、不安に身を震わせ周囲を見るが、
調教師の旦那はいないし、処刑人がごとくの注射器を持った獣医の姿もない。
ああ、さすがにここには居ないだろうが、もしかしたら家に帰るころには
膝の腫れが出て、出社できなくなり、上司に電話をし…そうか私にとって処刑人は上司だったか。
そう、私は社畜という生き物だったのだ。

ブルルとふるえて、早く家に帰ろうと思うが膝は痛みを訴える。
グーグルマップを見ると、ジョギングスタート地点まで乗ってきた車に戻るには、あと2km歩かなければならない。。
痛みが出ないように歩き方を工夫してひょこひょこ歩く。


わたしは歩きながら膝に語りかけた。
膝氏、これはいったいどういうことか理由を述べたまえよ。私とあなたはいわば同志じゃないか。前置きもなくいきなり痛みを発せられたのでは、なにもわからないじゃないか。問題を共有して一緒に解決を目指そうじゃないか。
俺、膝の話を聞くことについてはピカイチよ
全膝からそう言われてるし
なぜなら膝の身になって考える事が出来るよ。
理解者だから。
だって俺、今までずっと膝を抱えて生きてきたみたいなところあるし。
全国膝会議にだって
なんだよ全国膝会議って
ほら何か言ってくれよ膝氏
俺ばかりしゃべってるじゃん。なあ、なあって!

そんなこんな対話してると車までようやくたどり着いた。
そして、痛みも引いていた。

あの痛みはなんだったのだろう。
そして私は車に到着するまで誰と話をしていたのだろう。
きっと膝の痛みの原因はプラモデルで言うところのバリが取れただけなんだろなとは思う。
しかし、車に戻るまでの帰り道、私が話していた膝とはいったい何者だったのか。

それはひざの痛みや不安をを我慢できない私に与えられた救いのようなものだったのだろう。

ありがとうmy膝。マイ膝マイヒーローだよ!