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散歩という瞑想

しばしば散歩をする。普段は歩くことのない家の周辺を散歩することもあれば、目的地に向けて遠回りをして静かな通りを歩くこともある。何を考えるということもなく、ただ歩く時間を設けている。

散歩をしているとき、3つのことが無意識に行われる。1つ目は、過去の出来事が思い返され、感謝が生じる。当時は前向きに捉えていたこともそうでないことも含めて、記憶をさかのぼり、あれやこれやと思い返す。過去の事象を当時の自分にはなかった見方や視点から見つめ直す。それは僕に新しい気付きや発見をもたらし、感謝という感情へと結びつく。

2つ目は、様々なアイデアが生まれる。それは、書こうとする記事のテーマや近頃考えていた特定の問題に対するヒントなどだ。物事に関して意識的に考えている状態とは異なり、勝手に思考が巡り、新しいアイデアに辿り着く。不思議とその時の思考はとても前向きなものだ。

3つ目は、外の景色への気付きである。これは単純な観察から起こることだ。歩く人々、建造物、自然。しばしば外界の物質から様々なものへと思いを馳せる。それは2つ目の内容へと繋がることもある。

これらは普段の思考の延長にある無意識な思考とでも言えるものであろう。この他にも、散歩の醍醐味は多い。特に五感を通じて感じるものにはリラックス効果があるようだ。歩いているときに当たる柔らかな風。明るく暖かい日の光。海や植物の香り。夕暮れ時の空の色。日没後の闇夜に光る星々。

散歩をするきっかけはコロナ禍の生活にある。自粛期間は自宅での活動時間が長いため、積極的に外に出て運動をしていた。いつしかランニングを終えた後には散歩をすることが習慣になった。それ以降、しばしば散歩をする。時間帯によって、季節によって景色は姿を変える。あらゆるものは刻一刻と変化する。

散歩をしているときは、ある種の瞑想状態にあるように思う。心の状態が中立になる。物事を俯瞰している状態だ。自分の内面に目を向けることもあれば、外界の物質に注意を向けることもある。自然と両方に意識を注ぎ、自身の内面と外界とを行き来する。それは心の平穏をもたらすと同時に、新しい気付きや発見、感謝をもたらす。

現代社会を忙しなく生きる人々にとって、散歩はとても効果的な瞑想である。ぜひ試してみてほしい。

2023年9月6日

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