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未来学者が教える、ジャーナリストのための2020トレンド要点まとめ(意訳)

2019年秋、世界最大のデジタルジャーナリズムのカンファレンスであるONAが開かれました。もっとも注目を集めていたセッションは、アメリカの未来学者Amy Webbによるジャーナリストのためのテックトレンド解説です。メディアの未来を左右するテクノロジートレンドの詳細は、彼女が創設したFuture Today Instituteが発表するレポートからも確認できます。

このnoteでは、上記レポートのサマリーを意訳しました。基本的にはアメリカでの調査をベースとしたトレンド予測ですが、日本のメディアの未来を考える際にも参考になります。メディアビジネスに関わる人、今年話題になるであろうテクノロジーに興味がある人はぜひご覧ください。

本家のレポートでは157ものトレンドが、17のジャンルに整理されて説明されています。最後に17のジャンル一覧を載せていますので、興味のあるジャンルを見つけたら、Future Today InstituteのWebサイトからトレンドレポートをご覧ください。CC BY-NC-SA 4.0ライセンスのもと、無料でダウンロード可能です。

「人工メディア」がもたらす新しい機会と挑戦。

Synthetic media offers new opportunities and challenges. 
「人工メディア」は実はすでに馴染み深いもので、日本のポップスター初音ミク、アメリカのインフルエンサーLil Miquela、中国のニュースアンカーXin Xiameng(訳注: 下記YouTube埋め込み参照)などが挙げられます。人工コンテンツの新世界を体現する彼ら・彼女らは、大量のデータと特別に訓練されたアルゴリズムによって生み出されました。人工メディアは、私たちの嗜好に合わせてパーソナライズできます。しかし、人工メディアの使い方についての倫理ガイドラインは存在せず、消費者にそれらが人工的に作られたものだと知らせる義務も存在しません。

コンテンツの検証はますます難しくなっていく。

Authenticating content is becoming more difficult.
AIによって作られた動画であり、架空の言動をあたかも本物そっくりに見せることのできるディープフェイクは、誰もが予期しなかったスピードで広がっています。問題は、ディープフェイクは始まりに過ぎないということです。私たちがディープフェイク動画に対処している間に、特に2020年の大統領選挙の前に、より多くの「ディープX」が水平線に不吉な影を落としているでしょう。研究者はすでに、声の複製・調整や、身体の動きやジェスチャーの模倣、反応行動の予測と生成に成功しています。

規制の時代が来ている。

Regulation is coming.
Apple、Amazon、Google、そしてFacebookは、連邦取引委員会、司法省、議会の調査を受けています。アメリカの外に目を向けても、巨大テック企業は精査を受けています。EUの一般データ保護規則はグローバルなデファクトスタンダードになり、大手テック企業は規則違反を非難されています。ドイツの連邦カルテル庁はテック企業を調査し、フランスとイギリスは「デジタル税」を強く主張しています。プラットフォームの規制と課税は、コンテンツの配信にインパクトを与え、消費者データを収集して使用するすべての企業に影響を与える可能性があります。

マルチインターフェースエコシステムに突入した。

We’ve entered the post-fixed screen era.
2019年の夏、AppleはiPhone売上の低迷、前年比12%の減少を明らかにしました。サムスンも同様です。理由の一つは価格で、消費者は携帯電話に1,000ドル以上を使う気はありません。もう一つの理由は他の勢力ーースマートウェアラブル、スマートスピーカー、スマート家電の台頭です。今後数年で、消費者はモバイルデバイスの単一の固定スクリーンに依存せず、代わりに多様なマルチインターフェースエコシステムに移行します。

「VSO」が新しいSEOである。

VSO is the new SEO.
先進国市場での消費者とコンピュータとのインタラクションの半分は、 2020年末までに音声になっているでしょう。これは、スマートスピーカーに話しかけるだけに留まりません。音声インターフェースはスマートスピーカーからスマート家電、キオスクまで今やどこにでもあります。消費者は文字を入力するよりも頻繁に、「話す」ようになるでしょう。これは全てのエンターテインメント、メディア、テクノロジー企業に影響を与えます。結果として、音声検索の最適化(Voice Search Optimization)に新たな重点が置かれます。VSOエコシステムは生まれ落ちるのを待っており、先駆者は大きなチャンスが舞い込む可能性があります。一方で、これは既存の検索最適化ビジネスが縮小する予兆でもあります。

デジタルのサブスクモデルは機能していない。

Digital subscription models aren’t working.
ロサンゼルスタイムズのスタッフは、自社のエグゼクティブ・エディターから届いた期待外れのメッセージに激怒しました。ビジネスチームは、デジタル購読者を1年で倍増させ、30万人にする計画を立てていました。しかし、解約とターゲティングの失敗により、たったの1万3千人しか増えなかったからです。ニューヨークタイムズとワシントンポストは、これまで順調な四半期を積み重ねてきたように見えますが、サブスクリプション分野では激しい競争が起きつつあります。ニュースを見たり、音楽を聴いたり、ゲームをしたり、お気に入りのドラマや映画を見たい消費者は、様々なサブスクサービスを組み合わせることになるでしょう。そのためには(ありそうにはないですが)コンテンツへの支出を増やすか、予算内で優先順位をつけるしかありません。そして、消費者にはSpotify、Netflix、Amazonを始めとしてあまりにも多くの選択肢があるのです。

AIの進歩により取材や制作の効率が上がる。

Advancements in AI will mean greater efficiencies.
昨年、人工知能のサブ分野全体で多くの重要な進展がありました。ライブマップを構築し、リアルタイムのファクトチェックを容易にし、レポート、執筆、写真とビデオの編集、管理タスクと制作を支援する新しいツールとシステムは、いますぐそこに来ています。同様に、AIの進歩によりレンダリングとストレージのコストがすぐに削減されるでしょう。

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https://futuretodayinstitute.com/2020emt-report/

👇157あるトレンドは目次からご確認ください。

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