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奇妙な果実

ただその果実を 僕は見つめた
何故かひどく苦い 香りを持った

少し甘い駆け引きだけ 臆病な言葉に変わる
作り物の不安にさえ ひどく嘆いてる子供のように
曖昧なままの答えに 耳を固く塞いでいた
狭いドアにしまい込んで いたずらに過ぎる古い時間

空気がまた痺れてく 傾いた太陽と
こんなにも簡単に 何もかもが失われる

ただ 滑り降りる あの月のように
そう 偏りすぎた 情熱だった

塗り替えたい記憶はまだ ちゃんと僕を締め付けてた
曖昧に喋り続けた あの頃を少し懐かしんだ

褪せたベールに包まれて 何もかも破れない
虚しさだけが 真実に近いことが解ってきた

重たい車輪のような朝 気取った風に降り積もる雪

ただその果実を 僕は見つめた
何故かひどく苦い 香りを持った
ただ 滑り降りる あの月のように
そう 偏りすぎた 情熱だった


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