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「仕入れてきた知識をすぐ共有」

日本で唯一の皮革の学術団体である日本皮革技術協会がやっている講習会を受講してまいりました。
私もレザー屋を何年もやってますので、一般の人に比べたら革に詳しいつもりですが、こちらは革という物質を科学的に分析する研究者による知識共有の場ですので、いくつか「へえぇ~」という情報を得てきました。
さっそくこのレザーコラムでほんの一部をカンタンにご紹介いたします。
 
①水濡れと熱について
牛革はコラーゲンの線維の束でできています。
ある程度は耐熱性があり、生皮が65-67℃なのに対し、皮革ならクロム鞣しで80-120℃、タンニン鞣しで75-90℃くらいだそうです。
これは水に濡らした状態で測定された数値で、乾いていればもっと高い耐熱性があります。
で、濡らした状態で120℃のアイロンを当てると、革がぎゅっと縮んで硬くなってしまいます。
コラーゲンがゼラチンに変化してしまうのだそうです。こうなると元には戻りません。
ですので、雨の中革靴を履いて、明日も履かなくてはならないからと、ドライヤーを当てたり、ストーブにかざして乾かそうとしたりすると、ヤバいのです。ダメ絶対です。
必ず「陰干しして、カラカラに乾く前にクリームで手入れしましょう」というのはそのためなのです。
 
②塩化カルシウムについて
塩化カルシウムってなに? と思うでしょうけど、要するにクローゼットの除湿剤や、道路の凍結防止剤です。
塩化カルシウムの溶液が皮革に浸透すると、これまたぎゅっと縮みます。塩縮という現象なのだそうです。
ですので、万が一除湿剤の水がこぼれたときにレザー製品に触れないよう気をつけなくてはいけませんし、雪国にお住まいの方は、凍結防止剤が撒いてあるかもしれない地面に置かないようにしましょう。
映画館の床にレザーバッグを置いても、タイルに塩化カルシウムが靴底から運ばれてきているかもしれないので要注意です。テニスコートや運動場にも撒かれていることがあります。
 
③においについて
「レザーのにおいが好き」という方は多いですが、あの独特のいいにおいは、動物の皮そのものではなく、皮を鞣して、仕上げて、革にする際に用いられる、鞣し剤、加脂剤(オイル、ワックス)、染料、顔料、溶剤、接着剤などからくるにおいです。
これらが正しく使われていればあの、なぜか色気を感じさせるいいにおいになりますが、粗悪な革だと原皮の腐敗臭、低品質な薬剤、カビなどによる悪臭が感じられることもあります。
日本人はにおいに敏感でもあるので、日本製の革は充分な水洗がされ、臭気が極端に強いものはほぼないそうです。
以前に友人が「革のにおいがキツいんだけど、なんとかならない?」と、バッグを持ってきたことがありましたが、根本的に直すことはできません。あるアジアの国の製品でした。
そんなわけで、できればMade in Japanを買いましょう。
 
レザー製品を長くたのしんでいただくための、3つの情報をサクッとお届けしました。
レザーは、「手入れが面倒」、「雨のとき…」、「重たさが…」とかいろいろ言われますが、大事なモノというのはそういうものなんです。
長持ちするために、大事にされるために、つくられたものですから。
 
ジョージだってそうです。世話焼けるし、カネかかるし、くさいですw

でも、たまらんのです…。


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