見出し画像

ブラック企業の勤怠管理

ブラック企業の特徴といえば、長時間労働やサービス残業をさせることですね。そして勤怠管理の方法じたいも、そういうことをさせやすいよう、言い換えれば正確な勤務時間の確認がやりにくいようにされているものです。

勤怠管理といえばタイムカードとかを、まずイメージされるかと思いますが、紙の勤務表で管理というのも、未だに現存します。

今回は、私が過去に勤務した会社で経験した、そういう紙の勤務表だとか、サービス残業をさせる勤怠管理の方法を紹介していきます。


紙の勤務表その1

最初に紹介する紙の勤務表ですが、下図のように、日付や始業時間・終業時間が予め全て印字されていて、押印だけをしろというものです。

紙の勤務表その1 押印だけするタイプ

勤務表は平素は所属長が持っており、月末にだけ従業員に渡して、まとめて押印しろと言われることも多くあります。
一応上図では少しずつ押印の位置をズラしていますが、露骨にまとめて打ったように見えないように、こういう風に気を利かせてズラして押印しろよとか言われたりもしました。

残業時間を書く欄も一応用意されてはいて、残業があるならここに手書き申請しろということになっていますが、そんなのは事実上許されていません。
まとめて押印するだけで完結する勤怠管理にしろよって具合でした。

紙の勤務表その2

次の紙の勤務表は、下図のような感じで、青字の始業時間・終業時間は毎日手書きしろというものです。
これもまた所属長しだいで、月末にまとめて書けと言われたりしますけどね。

紙の勤務表その2 勤務時間を手書きする

書き損じの分については、取り消し線&訂正印を入れて書き直すというものです。
まあ実際に書き損じたのでなくとも、残業記録など認めんということで、定時に帰ったように書き直させられるというのもありますけどね。

紙の勤務表を使う理由説明

今どきこういう紙の勤務表って、そうおいそれとは認められにくいと思うのですが、私のいた会社では「事業形態や勤務場所が多岐にわたるため、それら全ての場所で統一的な勤怠管理システムを導入するのが難しい」という理由を付けていました。

ですので、もっとしっかりした勤怠管理システムを導入するにせよ、一部の事業所だけに留まって、多くの事業所では紙の勤務表を使い続けるというものでした。

システム利用の上での勤怠管理

残業申請は「自分から」取り下げさせる

紙の勤務表を使った勤怠管理では、勤怠時刻を正確に管理できない、というより誤魔化し放題というのが、一般的な印象かと思います。
それはその通りなのですが、「紙の勤務表その2」で示したようなタイプだと、訂正の際には取消し線・訂正印が残るため、その意味では上司の圧力で修正させられた痕跡が残るとも言えます。

紙ではない一般的な勤怠管理といったら、タイムカードや、PCのシステム上での打刻システムなどかと思います。
それらシステムを使った中で、サービス残業をさせたりと勤怠を誤魔化す常套手段といえば、打刻だけは定時で出退勤したように打刻させ、実際にはその裏側で隠れ残業させるというものですね。
これをされると、なまじシステムの中にしっかりと打刻の証拠が残っているから、PCのログイン時刻をリストアップするとか色々と追加コストを掛けないと、実態の正確な確認ができないですね。

また、そういう勤怠管理システムでは、残業をするときはワークフロー上で残業申請を出すようになっているもので、その残業が認められないと判断したときは上司が却下をするワークフロー機能がついているものです。

しかし、残業代をまるで払う気がないブラック企業においては、そんなワークフロー上の却下機能など、上司は使いません。
そういう会社の上司は、残業申請した部下を呼びつけて、残業申請は部下自身で取り下げろと指示します。そしてあれこれ理由を付けて「俺に却下しろとか言わないよな。お前が心から納得してるなら、自分から取り下げるはずだ」などと言ってきます。
もちろん却下機能を使わない本音の理由は、本来なら正当な手続きである残業申請を、正当な理由もなく却下したという痕跡をシステム上に残さず保身を図るためです。(自分で取り下げたなら 、それはそれで取り下げた痕跡は残るでしょうが)

紙の勤務表なら先述の通り、残業申請をして訂正したのなら、その取り消し線・訂正印が紙の上に残るという側面があります。しかし、なまじシステムを使っていると、こうやって「自主的に」残業申請を取り下げさせるという技が使えてしまうわけですね。

偽装打刻でサービス残業させる

システムで勤怠管理をしていれば、出退勤時刻は1分刻みで正確にシステム記録されるわけであり、定時と1分のズレも発生しないように全社員に打刻させるというのは現実的に不可能なわけです。
でも、世間一般で言うブラック企業なら毎月の残業代が完全0ってわけではないはずですが、ブレーキがぶっ壊れてるブラック企業では本当に1円たりとも残業代を払わないようにとしてきます。
それは、1分単位で 残業代が発生する本来的なやり方をしていては達成できないわけですが、15分単位とか30分単位で残業代が切り捨てられるようにという社内規則を作ってきます。
労基署とかにそれが認められるのはおかしいと思うのですが、どういうわけか労基署からもお墨付きをもらえたりしています。

ですから、18:00が退勤定時だとすると、15分切捨てルールの元では18:15までに打刻をさせて、その後で隠れ残業をさせまくれば簡単に、残業代0円で青天井の残業をさせることが可能になるわけですね。

だからもう、私の前職などもそれに味を占めて、打刻は定時から15分以内にするよう厳命しつつ、圧力により皆が「自主的に」1日2hとかサビ残するようにという雰囲気を職場に浸透させようとしていましたね。
私はそれに従順になりきれず、居場所を失くさせられたというのが正直な話ですが。

あれこれ理屈を付けるけど絶対に残業代を払いたくないだけ

ブラック企業がサービス残業をさせるためにこねる屁理屈といえば「ヘマをした分を取り返すために時間外まで働くことになったなら、それは残業としては認められない」というものが代表例ですが、本来の原則的にこれは認められるものではありません。
人を働かせるというのはヘマ・失敗による残業も織り込んでいなければならず、そういう場合の残業代に関して自分の責任で全てカブれというのは不適切です。

100歩譲って「ヘマを取り返す時間外労働に残業代は認めない」理屈を認めるとしても、ヘマでない・正当な理由がある残業ならば平素からしっかり認め適正に残業代を支払っている前提がなければならないでしょう。
しかし結局のところ、1円たりとも残業代は払わないという真正のブラック企業は、あれこれ理屈をつけても結局は、どんな正当な残業理由があったとしても、先述したように残業申請を取り下げさせさえすれば全ては解決だという本音があるだけですね。
申請さえさせなければ残業は残業ではない、という考え方に染まっています。

たとえば時間外に、正式な業務上の指示を受けて会議に出たというなら、その時間外労働申請を出すのは正当なことでしょう。しかしそれを「他の会議の参加者は時間外申請は出していない。キミだけが出したのでは辻褄が合わない。取り下げろ。」などと言って、正当な申請も却下します。
却下と言っても先述のように、ワークフローにおける却下機能を上司が使うことは決してせず、部下が自分で申請を取り下げるように強要します。

結局のところ、システムが整っていようとなんだろうと、ブラック企業は小狡い抜け道を探してバレないようサービス残業させるということですね。そういう会社に捕まってしまったなら、戦い続ける根気があるなら証拠を集めて訴え、そこまでする価値もないと思うならそういう会社からはさっさと逃げ転職する道を求めるのが正解ということでしょうね。
私は、戦っても泥沼化して時間ばかりかかり、得るものがないと思ったので、転職の道を選びましたけどね。


いいなと思ったら応援しよう!