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たくあんの種類

たくあんには種類があるのをご存知でしょうか?

普段、スーパーマーケットでたくあん売場をみられる方はご存知だと思います。

しかし、たくあん売場をあまり見られない方からすると、
「たくあんに種類がある」と聞くと違和感を感じられる方もいるのではないでしょうか。

大根の違い

たくあんは、大根の違いで大きく三種類に分類することができます。

1.干し大根を使ったたくあん
2.塩押し大根を使ったたくあん
3.燻し大根を使ったたくあん

干し大根

昭和の時代までに、世の中に多く流通していたたくあんは、干し大根を使ったたくあんが主流でした。

収穫した大根を、屋外で日当たりが良く風通しが良い、湿度があまり高くない選ばれた場所で乾燥させることで、干し大根になります。

実際に大根を干している場面がこの写真です。

関東地方や東海地方、九州地方で多くの干し大根が作られていました。現在は九州の宮崎県や鹿児島県が干し大根の主要な産地です。

それぞれの地方によって、大根の干し方にも違いがあって環境に合った方法なんだと実感します。

干し大根を使ったたくあんは、歯応えが良く、旨味成分も凝縮されていて、大根の水分が減ることによって、グラムあたりの食物繊維も多く含まれています。GABAなどのアミノ酸が増えることも研究でわかっているそうです。

塩押し大根

一方で、現在スーパーマーケットで並んでいる8割ほどのたくあんは、干し大根ではなく、塩押し大根を使ったたくあんになっています。

塩押し大根は、収穫した大根を塩漬けにして、食塩の浸透圧の効果によって脱水します。脱水した大根は、干し大根と同様に、ぬか床に漬け込んでたくあんになります。

この塩押し大根は、もともとは関東地方が発祥と言われており、東京沢庵と呼ばれることもあります。

塩押し大根を使ったたくあんは、干し大根に比べると、天候に左右されにくく、手間もかかりにくいので比較的、低いコストで作ることができます。

近年は、スーパーマーケットで売価の安いたくあんが求められることが増えていて、干し大根よりも低い売価で売りやすい塩押し大根を使ったたくあんが多く流通しています。

燻し大根

最後に、燻し大根を使ったたくあんは、東北地方の秋田県の名産品であるいぶりがっこです。

燻し大根は、収穫した大根を、建物の中でさくらのチップなどを使用して燻製にすることで脱水し、それをぬか床に漬け込んでいぶりがっこになります。

いぶりがっこは、クリームチーズと食べると美味しい食べ物として認知度が高く、比較的高い価格帯で取引が行われています。

知名度が高まった影響で、現在では多くのスーパーマーケットで購入することができます。

大根の違いは脱水方法

干し大根、塩押し大根、燻し大根は、大きくは脱水方法の違いです。

正確には、大根の品種や、ぬか床の配合比率などを変えていますが、わかりやすい部分でいうと、脱水方法が大きく違います。

味付けの種類

大根の違いだけではなく、味付けの種類もあります。

たくあんは、たくあんではないのか、という方も少なくないと思いますが、いろんな味付けがされているのです。

味付けというのは、糠床に漬け込んだたくあんを取り出した後に食べやすいように調味液に漬けて味をつける工程のことです。

具体的には、
・しそ味
・かつお風味
・うめず風味
・昆布味
などがあります。

そもそも、たくあんは100gあたり3gから5gほどの塩分が含まれています。ポテトチップスは100gあたり0.4gしか含まれていません。

ですが、ポテトチップスのほうが塩味を感じる印象はありませんか?

これは、たくあんに甘味や旨味を加えることで塩味を感じにくくしているのが一つの大きな理由です。

保存食であり嗜好品である漬物は、塩味と食べやすさのバランスをとることが求められてきました。そのことから、このような現状になっていると思います。

実際に、たくあんの味の違いを食べ比べてみたいという方は多くいます。そのような方の声にお応えするために、食べ比べのセットを用意しています。

たくあんはスーパーマーケットに売っていますが、地域によって売れ筋の味が異なっています。特に関東地方ではう梅酢風味やしそ味の取り扱いは少ない印象です。一方で醤油味は関西地方での取り扱いは少ない印象です。

たくあんっておいしい

今日の記事で何を伝えたかったかというと、

たくあんはやっぱりおいしい

ということでした。

製法や味付けに違いはあれど、たくあんの本質的な美味しさはぬか床に漬け込んで、大根の凝縮された旨みを感じられる部分や、歯応えの良い食感だなと思ってます。

私自身、毎日多くの種類のたくあんを食べ比べて、自分で新しいたくあんを作ることに挑戦していますが、この本質的なたくあんの良さがあるかないかで、魅力的なたくあんかどうかが決まってくるなぁと実感しています。

漬物業界にいると、「若者の漬物離れ」関連の話を多く聞きます。私は97年生まれで若者の立場としては、こんなにも素敵で魅力的な食品はもっと知られることが大事だと感じています。

たくあんをはじめとする多くの漬物の、形態を変えて年配の人から見た若い人が食べそうなものにすることが大事なのではなく、シンプルにコンテクストを含めた漬物の魅力を適切な媒体で訴求することが大事ではないかと思っています。

そのための手段として、YouTubeで情報発信を始めています。

江戸時代に沢庵和尚が、沢庵の魅力を広めたように、令和時代にたくあんの魅力を改めて啓蒙できるように努めてまいります。

まずは、たくあんが黄色い理由というのが奥深い話でおすすめです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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