社内稟議の通し方(Box導入したときのお話)
(サムネ写真はイメージです)
Box Advent Calendar 2021の12/24分です。
先日のBox Customer Award Japan 2021でテクニカル部門のアワードを受賞したのですが、今回全くテクニカルな話はしません。なんならBoxに直接関係あるのか?ぐらいな社内政治的なお話です。
Boxは良き
Boxは良い良いとは聞いていて導入したのですが、やっぱり良いです。鼻血ドバドバでます(パクリ)
ただ、システム部門で「Box最強」って思ってても、それを現場や経営層に理解してもらうのは本当に大変です。アワードの発表でも話しましたけど、導入半年後でさえ、生産性上がったと実感してくれてる社員は全社員の4分の1程度です。現場側でもそのような感じなので経営層に、しかも導入前に「Boxいいでしょ?入れさせてください!」って丸腰でツッコんでも返り討ちに合うのは必至です。なぜならBoxはそれだけの価値があることは間違い無いですが、経営層から見るとIT投資としてはかなりのインパクトだからです。(要するにお高い)
社内稟議の通し方
これは別にBoxに限った話ではないんですが、特に非IT企業でシステムの必要性を説明して導入を認めてもらうのはどの会社も苦労されてると思います。それが現場サイドから課題感が上がっているものならよいのですが、当社のBox導入についても情シス側からの提案であり、社内はむしろ古くから慣れ親しんだオンプレのファイルサーバーを使いたい人が大半でした。
ここから社内稟議を通すには1年弱も掛かったわけですが、私が行ったアプローチを今回は書き連ねます。
今回行った提案
課題感の洗い出し
困ってもいないのに、何か入れるわけにはいきませんから、これは当然です。当社の場合は、
オンプレのファイルサーバーの保守切れ
ファイルサーバーの容量不足
フォルダ乱立でアクセス権がカオス
このあたりを中心に課題を提示しました。
コスト(費用対効果)
これも導入するなら当然提示することになります。
当社の場合、クラウドファーストの方針は決めていたので、AWSとの比較をしました。
今あらためて見ると「ホンマにそんなに運用・保守工数減ってるんかいな!?」と若干大袈裟に思えなくも無いですが、管理楽になってるのは間違いないですし、やっぱりこのあとに書いている付加価値の部分は大きいですよ。
Box導入で実現できること、付加価値
課題と対で何を実現するのか、更に付加価値も説明しました。
検索性の向上、データをナレッジとして活用
容量無制限、無制限のバージョン管理
DR、BCP対策
モバイルアクセス
ペーパーレス化推進
他システムとの連携・親和性
情報セキュリティ視点での効果
更に、情報セキュリティの観点での効果や対策も説明しました。
昨今、セキュリティに全く無関心な経営層はいない(はず)ですし、ここはプライスレスな部分なので重点を置きました。
Box入れとけばサイバーテロ的な情報漏えいはまず起こらない
メール添付の代替手段として、安全に外部とデータ共有しましょう
パッチワーク的に対策して、抜け漏れが不安。包括的な対策をしたい
先のアワードの登壇でお話した誤共有対策もこの時点で盛り込んでいます。
更に提案までに行ったこと
どうしてもBoxを導入したかったので、上記のよくある進め方に加えて以下のことにも取り組みました。
トライアル時点で現場部門も巻き込む
トライアル期間中にもいくつかの部門に声をかけて使ってもらい、アンケートを取りました。当然、好意的な意見だけでなく抵抗感があったり、中には過激な反対派もいたりするわけですが、こういった意見から逃げたり、捨て置くのではなく、回答や解決方法を丁寧に添えた上で全て経営層への提案時に見せました。
ちなみに、こういった社内の抵抗勢力とどう向き合うかのマインドのお話はこちらの本をいつも参考にしています。
社内横断で導入プロジェクトを組成し全部門から担当者を出してもらうことを明言
どちらかというと展開中の話になりますが、Box導入は全社横断でのプロジェクトにしました。データコンテンツが絡むシステムの移行や導入はユーザー影響が非常に大きく、各部門の個別事情を細かく聞き取っていくのは困難です。Boxの導入は全社一丸で取り組むプロジェクトなんだという重要性を示しました。
失敗した提案
今回、はりきっていろんなアプローチをしたのですが、一方で「こんな提案したら失敗した」というモノもあります。この内容でNG食らうのは当社だけかもしれませんが一応。
導入企業、事例を資料に並べる
最初の提案資料で、ベンダー提案資料みたいに導入企業や事例を並べたら、「こういう提案が一番キライなんだよ!」とかなりどやされました(笑
まぁ社外からモノ売りに来た営業さんに見えてしまったのかもしれません。
これ以降、社内提案するときは「あくまで社内事として、そのツールが必要なのか」を考えるように心がけています。
工数削減の計算
これは割と実施される人が多いと思いますし、自分も工数で換算するのが全うな手段だと思ってて「資料作成から共有まで年間○○時間の削減が見込めます!」というような話もしたんですが全く響きませんでした。
おそらく話を聞いた側は経験則で「机上ではそうでもこの通りになんかならない」と思われたのかもしれないです。
数字を出すと説得力が出るということではなく、説得力のある話に数字を載せるのがより効果的なんだと理解しました。
最終的にはトップ判断、日頃の信頼関係がモノを言う
前のエントリーでステークホルダーとの付き合い方を書いたんですが、結局のところ日頃の「徳」というか、信頼を積み上げているかどうかが最後の決め手なんですよね。
これ最近yurineeさんも同じようなことを呟いてましたけど、これが核心であり真理なんですよね。最近ではタイミングによっては資料の中身をさほど精査しなくても数百万の稟議がポンと通ることもあります(アカン
更に?大事なこと
若干綺麗ごとですが、ここに書いたようなことを心折れずにやりきるのって何?って考えたとき、自分がエネルギーにしているのはそのプロダクトに対する愛と、会社をより良くしようとする情熱、これに尽きます。
私、Boxに限らず導入しているプロダクトはみんな大好きですしファンです。(もちろん不満も言いまくりますが)
で、会社のことも大好きです。(今のところ)
システム屋さんですけど(システム屋さんだからこそ)この辺の感情の部分は今後も大事にしていきたいです。
最後に
稟議って出し方とか判断する人(経営トップ)のタイプも様々でしょうからみなさん苦労されると思います。自分は提案力って、資料の出来や机上の分析だけではなく、後半に書いたような行動力とか感情、熱意の部分がとても大事だと思うんです。
まぁ稟議が通らないと嘆く前に動いてみましょう。
以上です。
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