【MTG】タミヨウのいる世界@レガシー

≪知りたがりの学徒、タミヨウ/Tamiyo, Inquisitive Student≫/≪老練の学匠、タミヨウ/Tamiyo, Seasoned Scholar≫

数週間前にリーク画像が出回っていたが、本当に出てしまった1マナ両面プレインズウォーカー。

各色のサイクルとして収録されるようだけど、最も注目しているのは青、タミヨウだ。

1 できること

表面は1マナ0/3飛行と一見無害な能力ではあるが、攻撃の度に調査するため、攻撃する度に長期的なアドバンテージが拡がっていく。
裏面は、初期値2から+2で全体-1/0修正、-3でインスタントソーサリー回収、-7でゲーム終了。どことなく思考ジェイスを彷彿とさせる能力だ。 


2 弱さ

(1)パワー

1マナのクリーチャーであり、デルバーやチャネラーと競合することになるが、ライフを一切削ることができないというのは注目されている。

(2)伝説

Karakasのある環境で伝説のクリーチャーであることはデメリットとして働く。戻されるだけの生物になる可能性もある。

(3)ラガバンとの比較

ラガバンと違い、速攻はなく、ライフも削れず、マナも増やせない。

(4)手掛かりトークンであること

アドバンテージと言っても調査による間接的なカードアドバンテージであり、実際に手札に加えるためには1枚につき2マナを支払う必要がある。

2 強み

(1)1マナであること

≪Karakas≫が存在する環境において、伝説のクリーチャーが1マナであることはテンポ損しないために重要だ。

(2)生き残れば毎ターンアドバンテージ

2マナ必要になるとはいえ、毎ターン実質1ドローが付いてくるようなもの。追加1ドローが弱いわけがない。

(3)飛行

地上のクリーチャーであれば出てきたところで攻撃を止められない。

(4)変身条件の軽さ

3ドローで変身し、以降はプレインズウォーカーとして盤面を制圧してくれる。ブレスト1枚で除去を回避しながら変身できる。

(5)変身後の強さ

初期値は2と低いが、+2で稲妻圏外。全体-1/0能力が守備的に機能すると強いのは思考ジェイスで証明済み。+2と-3の繰り返すだけでも強いが、+2能力3回起動で奥義に到達し、その効果が「ほぼ勝ち」と書いてあるので高い防御力を活かして最速奥義も十分狙える。

4 私見

最初に見たときから「青いラガバン」だと思った。マナを生み出さないことと、相手のライフを削らないという点は気になるが、ラガバンもダメージは2点と低かったし、飛行という能力による攻撃継続能力は十分に評価されるレベルにあると感じる。ダメージを通さなくてもアタック誘発である点も忘れてはいけない。
もちろん、マナを生み出さないことでDazeによるテンポロスを無視できない。殴った後で調査トークンをアドバンテージに変換するにもマナが必要なので、この点はラガバンとの大きな違いだ。
その一方で、ただ殴るだけで、確実に1アドバンテージを盤面に生成することができる。ラガバンのような相手依存の運任せの効果ではなく、確実に手がかりトークンを1つ生成するので、非常に安定した効果を持つと言える。
これだけでもラガバンには及ばなくとも十分なプレッシャーがあると思うが、これに加えて裏面がある。
カードを3枚引くと変身してプレインズウォーカーとして君臨する。次ターンの通常ドロー+ドロースペル2枚でも良いし、何ならブレスト1枚構えているだけでいつでも変身可能になる。そして、変身後の初期忠誠度は2であるが、能力が起動できる状態で変身すれば+2ですぐ稲妻圏外だ。
+2能力は相手のアタック時に全体に-1/0修正を与える。相手の盤面が小粒だらけならこの能力で完封できるし、大型クリーチャーが居るなら除去を撃てばいい。横並びの展開を綺麗に無視できる。
1ターン目着地から2ターン目に変身したら(バブルドロー+通常ドロー+思案など)、その後は数ターン、タミヨウの忠誠度を下げる生物を展開できないだろう。
-3能力も悪くない。+2と-3を繰り返すだけの想定でも墓地からスペル1枚回収を5ターン中2回できることになる。これだけでもゲームを傾かせかねないアドバンテージである。
そして、⁻7能力。使う機会は多くないと思うが、ライブラリーを半分引いて手札上限なしとなると、「ほぼ勝ち」と書いてあるようなものだ。
変身したら相当厄介であるのは間違いない。また、そのまま殴り続けられると最終的に大きなリソース差が生まれてしまう。除去しようと思っても、ブレスト1枚で変身し回避されてしまう。
対処する側に回った想定で考えると、非常に厄介で強力なカードだと思う。

5 アドバンテージという概念

1つ、おそらく疑問に思われているがここまでで回答していない弱みがある。このクリーチャーは一切対戦相手のライフを削らないという点だ。
低マナのクリーチャーが最も活躍すると思われるのは、デルバー等のテンポデッキである。ボルト算などという考え方が生まれる程度には、テンポデッキにおいて、そのカードがどれだけ相手のライフを削るかどうかというのは一つ重要な指標であると言える。
話を変えるが、テンポデッキの強みとは何か。軽量クリーチャーと土地ハメやピッチカウンターによって相手のデッキが十分に機能する前にゲームに勝利することである。つまり、テンポアドバンテージを得て有利に状況を進めることだ。
テンポだけでなく、ライフアドバンテージなどアドバンテージにはいくつか種類があるが、大きな枠組みで見れば、それらはすべてカードアドバンテージに変換して計算することができる。
簡単に説明すると・・・1ターン目に手札7枚すべて展開して瞬殺するコンボデッキがあったとすると、相手は手札7枚使わずにゲームを終えることになる。つまり、このゲームにおいて勝利した側は7枚分のカードアドバンテージを得たことになる。
相手が1マナ3点火力を大量に搭載したバーンデッキに対して、2マナ6点回復のカードは2枚分のカードの役割を果たすため、1枚分のアドバンテージだ。そして、そのカードに対して頭蓋割りは、相手の1アドバンテージを阻止しながら自分のアドバンテージも失わない火力として機能する。何もなく使えば1枚のカードだが、相手の6点回復を3点ダメージに置き換えることで、9点分=2アドバンテージの働きをする。
これらを総じて、「ゲーム中に使用できる実質的なカードの枚数」アドバンテージ、広義の「カードアドバンテージ」と考えることができる。MTGは、究極的にはこの広義での「カードアドバンテージ」を得た人が勝利するゲームである。
この話は、過去にも書いているし、ここでの本題ではないので、これ以上の深堀りはしない。
ただ、ライフを削るというアドバンテージと、手札を増やすというアドバンテージは、違う方向を向いているようで、同じアドバンテージであると考えるべきだと思っている。
ライフを削らなくても、このタミヨウがもたらすアドバンテージは、テンポデッキであっても中・長期的にアドバンテージとして還元されるから強いということが言いたい。

6 総評

ラガバンが最初に登場した当初、「ヤバい」と評す人と、「地上の2点は弱い」と宣う人がいたのを覚えている。結局、マナを生み出すだけならともかく、アドバンテージも生み出す1マナクリーチャーが許されることはなかった。
このカードも、ほとんど同じレベルで語られる能力を持っているように見えるけど、本当にコレ印刷されるんですか?大丈夫?
正直、SNS上でそこまで騒がれていないので本当は弱いんじゃないかと逆に不安になるのだけど、今は自分の目が節穴であることを祈っている。

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