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事業ポテンシャル最大化の役割を担うスタートアップの法務

こんにちは。医療系スタートアップUbieの開発組織、Ubie Discoveryで事業開発をしているhosso(@sh___hs)です。
事業開発担当する傍ら、法務の役割を兼務しています。といっても私は戦略コンサル出身で、法務バックグラウンドではありません。
Ubie Discoveryではこれまで自分が主に窓口となる形で外部の方々(お陰様でかなり強固な体制を築けています)のお力添えを頂きながら法的な論点の整理や日々の法務周りのオペレーションを行って来ました。
一方、Ubie全体で社員数も100名を超え、プロダクト・サービス開発もだいぶ同時多発的になって来ています。そこで、そろそろインハウスの法務も必要だろうということで、スタートアップ、特にUbie Discoveryで法務を担うことの面白さを皆様に伝えるべく筆を執りました。


本記事では、スタートアップでの法務の仕事についてご紹介しながら、実際に半年間ほど法務の役割を担ってきて感じていることを綴りたいと思います。
・法務としてのキャリアを考えていてスタートアップが選択肢にある方
・スタートアップで法務に期待されることを知りたい方
は、ぜひご一読頂けますと幸いです。
なお、法務バックグラウンドのない人間が書いていますので、細かい点はご容赦ください。

Ubie株式会社における法務の位置づけ

まず前提として、弊社Ubieはプロダクト・事業開発を行うUbie Discoveryと、Salesをメインで行うUbie Customer Scienceの2つに組織を分けています。(詳しい背景などはこちらをご覧ください)
本記事は、Ubie Discoveryの一員として、事業開発の立場の法務に関しての記述となります。

note_マーケット基盤&法務_UDとUCS

Ubie Discoveryではホラクラシーという組織体制を採用しています。簡単に言うと目的別にチーム・役割が設定され、それに人がアサインされるという形態のものです。
法務も「マーケット基盤最大化」というチーム(ホラクラシー用語ではサークル)の中の一つのロールとして設けられています。

この「マーケット基盤最大化」というサークルは"Ubieのブランド価値を最大化し、事業のReturn最大化とInvest最小化のためにMarket riskをコントロールすることで、各事業に貢献する"という目的を掲げています。(マーケット基盤最大化サークルの活動についての詳細はこちらをご参照ください)
このサークルとしての目的を達成するため、法務もその役割を果たすべく仕事をします。
Ubieの中でも0→1の活動を行うUbie Discoveryの中に役割が定義されているという点が、まずUbieにおける法務の特徴のひとつではないかと思います。

具体的に法務は何をしているのか

法務のロールは、Ubie Discoveryにおいては以下の様にPurposeとAccountabilityが整備されています。

note_マーケット基盤&法務_Legalロール

具体的に日々の活動の例を記載するとこの様な形です。

・プロダクト・サービスの法的論点の検証
・プロダクト・サービスの利用規約、プライバシーポリシーなどの整備
・各種契約書類の整備・型化
・プロダクト・サービスの知財戦略の検討・実行
・関連法規制の動向チェック・分析(海外含む)・働きかけ
など

Ubieの展開するAI問診ユビー、AI受診相談ユビーは世の中的にも新しいコンセプトのプロダクトであり、プロダクト自体やそれを活用したサービスもどんどん進化していきます。
既存プロダクト・事業でも法規制などの動向を見ながら対応を検討したり利用規約の改定を行う必要がありますし、新しいプロダクトや事業を立ち上げる際には、それが短期・中長期で目指すことや実現する機能を理解し、適切なスキームを検討したり、利用規約の整備などを行うことが求められます。様々な法規制が存在する中でその遵守と事業ポテンシャルの最大化をいかに両立するか。事業サイドだけでは十分に検討することが難しいこの論点にこたえることが、法務の大きな役割の一つです。

外部企業にソリューション提供する場合もあるので、その際には各種契約書を整備する必要があります。ソリューション自体新しく生み出していくため、担当チーム(サークル)メンバーとディスカッションしながら、適切な形で型化していきます。

また、新しいコンセプトのプロダクトを展開するため、知財戦略も重要になります。単に自社の権利を守るだけでなく、どう一緒に市場を形成する仲間を増やすか。それでいてどう将来の事業ポテンシャルを最大化するか。プロダクトの形も日々変わる中で中長期を見据えた戦略を、プロダクト・事業開発メンバーとともに検討する必要があります。

関連法規制の動向把握や働きかけも必要です。規制産業である医療業界では多種多様な法規制が存在していますが、ITの活用やDXが進められようとしている中で、法規制も時代に合わせた形に見直されようとしています。今まさに議論中であったり今後検討されるものもあるので、単に遵守の仕方を考えるだけでなく、新しい市場の形成を試みるにあたり当局と能動的な調整を行うことも重要になります。当局をはじめとしたステークホルダーとの調整はPA:Public Affairsのメンバーと協働することになりますが、法的観点から対応すべきこと、あるべき姿を全社視点で考えアクションを検討しています。

法とは願い?

ただ守るだけが法務の仕事ではありません。言葉が適切かは分かりませんが、攻守で言えば攻めの要素にいかに貢献できるかが真に重要でスタートアップに特徴的な点かと思います。
実現したい世界、達成を目指すミッションを考えた際に現状の法規制が障害になる場面もありますが、それをあるべき状態に整えるべく各種発信する・働きかけていくこと。これが重要になります。(自社都合ではなく、社会便益の最大化を目的とすることが前提となります)

Ubie Discoveryでは漫画キングダムを愛読する人も多く、代表の阿部もよく同漫画の中で出てくる「法とは願い」という言葉を引用します。法とは人の行動を縛るものではなく、理想の状態の実現を促すためにあるという趣旨の言葉です。
実務を担う身からすれば「言うは易く行うは難し」感がありますが、忘れてはならない考え方だと思います。

世の中の法規制は現在の社会情勢やテクノロジーの文脈に沿ってないものもありますし、そもそも法整備が間に合っていない領域もあります。
(既存の法規制を守るのは前提としつつ)その様な現状を無思考で受け入れるのではなく、事業を通じてどのような社会を実現したいのか、その為にはどの様に社会の枠組みがあるべきなのかを考え行動することが求められます。現状の法規制が社会の実情にあっていないのであれば、あるべき姿を考えそれを実現する仕方を考える。そうした活動を通して自社の事業のポテンシャルも開放する。
特にUbieに関して言えば、規制産業かつIT活用・DXが遅れる医療業界に身を置いています。プロダクトの力であるべき姿を示しながら適切な法規制の整備にも貢献すること。スタートアップ、Ubie Discoveryで法務をすることの大きな醍醐味・やりがいの一つはここにあるのかなと思います。

最後に

細かい点は書ききれませんが、当然ながら法規制を遵守するといったゲートキーパーとしての役割を持ちつつ、ビジョンの実現・ミッションの達成を法的な側面からドライブする、後者の役割にも大きな比重が置かれるのがスタートアップの特徴であり、スタートアップで法務として働くことの面白さではないかなと思います。
規制産業である医療業界で事業を展開するUbieにおける、プロダクト開発・事業開発を牽引する法務。これほどチャレンジングな環境も珍しいのではないでしょうか。

ユビーでは法務メンバーを募集しています。気になる方はぜひ選考にご応募頂くか、カジュアル面談にお申し込みください。
一緒により良い社会を作っていくメンバーを、心よりお待ちしています。

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