夏の終わり
夏休みの最後の日、僕は友達と海に行った。海水浴場は人でいっぱいだったが、僕たちは楽しく泳いだり砂遊びをしたりした。僕は水中メガネをかけて、魚や貝や海藻を見て回った。海の中は静かで不思議な世界だった。
午後になって、僕はふと浜辺に目をやった。すると、そこには見たこともないような巨大な建物がそびえ立っていた。それはまるで宇宙船のような形をしていて、銀色に光っていた。建物の周りには、人々が集まって驚いたり怖がったりしていた。
「何だあれは?」
僕は友達に聞いたが、彼らも知らなかった。僕たちは好奇心に駆られて、海から上がって建物に近づいて行った。すると、建物の扉が開いて、中から何人かの人が出てきた。彼らは白い服を着ていて、顔や体に奇妙な模様が描かれていた。彼らは人々に向かって話しかけたが、言葉がわからなかった。
「これはどういうことだ?」
僕は不安になって友達に聞いたが、彼らも答えられなかった。そのとき、白い服の人の一人が僕に気づいて近づいてきた。彼は笑顔で手を差し出してきた。僕は迷ったが、失礼だと思って手を握った。すると、彼は僕の手首に小さな機械をつけてきた。
「これで話せるよ」
彼は日本語で言った。
「え?」
僕は驚いて彼を見た。
「ごめんなさい。驚かせてしまって」
彼は謝った。
「あなたは誰なの?あれは何なの?」
僕は質問した。
「僕はカイと言うんだ。あれは僕たちの乗り物だよ」
カイは指さした。
「乗り物?」
僕は疑問に思った。
「そうだよ。僕たちは未来から来たんだ」
カイは言った。
「未来から?」
僕は信じられなかった。
「本当だよ。これを見てごらん」
カイは機械を操作して、空中に映像を映し出した。それは現在の地球とは全く違う景色だった。高層ビルや飛行車やロボットがあふれる都市だった。
「これが未来の地球だよ」
カイは説明した。
「すごい」
僕は感嘆した。
「でも、どうして未来から来たの?」
僕は尋ねた。
「それはね、夏休みの宿題だったんだ」
カイは笑った。
「夏休みの宿題?」
僕は呆れた。
「そうだよ。僕たちは歴史の授業で、21世紀の地球について勉強しているんだ。でも、教科書やネットだけではわからないことがたくさんあるんだ。だから、先生が夏休みの宿題として、実際に過去に行って調べることにしたんだ」
カイは言った。
「それで、あなたたちはどうやって過去に来たの?」
僕は興味を持った。
「あれを使ってね」
カイは建物を指した。
「あれはタイムマシンなの?」
僕は驚いた。
「そうだよ。でも、あれは一回しか使えないんだ。だから、帰るときは別の方法を使わないといけないんだ」
カイは言った。
「別の方法って何?」
僕は不安になった。
「それはね、夏の終わりになると、海に現れる虹の橋を渡るんだ」
カイは言った。
「虹の橋?」
僕は疑った。
「そうだよ。虹の橋は時間と空間をつなぐ不思議な橋なんだ。僕たちはその橋を渡って未来に戻るんだ」
カイは言った。
「本当にそんな橋があるの?」
僕は信じられなかった。
「もちろんだよ。見てごらん」
カイは空を指さした。すると、そこには美しい虹がかかっていた。虹は海に降りて、水面に反射していた。まるで橋のように見えた。
「これが虹の橋だよ」
カイは言った。
「すごい」
僕は感動した。
「じゃあ、もう帰るの?」
僕は寂しくなった。
「うん。もう時間がないんだ。でも、楽しかったよ。ありがとう」
カイは笑顔で言った。
「ありがとう。また会えるかな?」
僕は期待した。
「もちろんだよ。また会おうね」
カイは約束した。
そして、カイは白い服の人たちと一緒に虹の橋を渡って行った。僕は彼らが見えなくなるまで手を振った。夏の終わりに、僕は未来から来た友達と別れた。
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