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☮ 「ほらほら、ここだって! めっちゃいっぱいパトカー停まってたもん!」 川村の問いかけ…
☮ 雄大の寒さがうつったかのように、川村もきゅっと両腕で、自分の身を抱いた。 「撫でてほ…
☮ みゃあおう、と、夜の底から甘い声がして、雄大は足元を見下ろした。サンダル履きの雄大…
† なんだか急速に、寒さが沁みてきたような気がして、若葉は両腕で、身体を抱える。死んで…
† この一年、無抵抗の若葉に執拗に嫌がらせを繰り返した少年たちの中心には、いつも伊東雄…
☮ 自分の下半身の不可解な反応はともかく、こんなに困惑しているかわいそうな生き物をなん…
☮ きっかけは、実にささいなことだった。 倉庫からひっぱりだした給水用のホースが、ほんの少しだけ短かったのだ。 「くそ、足んねぇな」 一年前の夏。今より少しだけ、早い季節のことだった。高一だった雄大の髪は既に金色に近く、左の耳には二つ目のピアスが光り、その代償として毎昼休み、校庭の花壇に水をやること、と宣告された。 まだ何もかもが壊れだす前、雄大は明るい不良だった。成績はお世辞にも良いとは言えなかったけれど、クラスメイトともうまくやっていたし、生活指導の教師とも、いわ
☮ ほんの少し不思議そうな、夜の色の瞳が、雄大を見上げる。 こいつはいつもそうだ、と、…
† 隣家の犬が、びくりと若葉を振り返る。その口元が、わん、と吠えた気がしたが、声は聞こ…
† 母さんが、泣いてる。 生きていたら十七回目の誕生日だったはずのその夏の夜、川村若葉…