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ココロノコリ

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【長編小説】 十七歳になるはずの誕生日、川村若葉は、自分の通夜を眺めていた。 どうやら自分は事故で死んだらしい。そして、たったひとつの心残りのために、成仏できずにここにいる。 一…
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記事一覧

ココロノコリ 1-10

☮ 「ほらほら、ここだって! めっちゃいっぱいパトカー停まってたもん!」  川村の問いかけ…

野中翔斗
2年前
4

ココロノコリ 1-9

☮  雄大の寒さがうつったかのように、川村もきゅっと両腕で、自分の身を抱いた。 「撫でてほ…

野中翔斗
2年前
3

ココロノコリ 1-8

☮  みゃあおう、と、夜の底から甘い声がして、雄大は足元を見下ろした。サンダル履きの雄大…

野中翔斗
2年前
3

ココロノコリ 1-7

†  なんだか急速に、寒さが沁みてきたような気がして、若葉は両腕で、身体を抱える。死んで…

野中翔斗
2年前
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ココロノコリ 1-6

†  この一年、無抵抗の若葉に執拗に嫌がらせを繰り返した少年たちの中心には、いつも伊東雄…

野中翔斗
2年前
3

ココロノコリ 1-5

☮  自分の下半身の不可解な反応はともかく、こんなに困惑しているかわいそうな生き物をなん…

野中翔斗
2年前
3

ココロノコリ 1-4

☮  きっかけは、実にささいなことだった。  倉庫からひっぱりだした給水用のホースが、ほんの少しだけ短かったのだ。 「くそ、足んねぇな」  一年前の夏。今より少しだけ、早い季節のことだった。高一だった雄大の髪は既に金色に近く、左の耳には二つ目のピアスが光り、その代償として毎昼休み、校庭の花壇に水をやること、と宣告された。  まだ何もかもが壊れだす前、雄大は明るい不良だった。成績はお世辞にも良いとは言えなかったけれど、クラスメイトともうまくやっていたし、生活指導の教師とも、いわ

ココロノコリ 1-3

☮  ほんの少し不思議そうな、夜の色の瞳が、雄大を見上げる。  こいつはいつもそうだ、と、…

野中翔斗
2年前
4

ココロノコリ 1-2

†  隣家の犬が、びくりと若葉を振り返る。その口元が、わん、と吠えた気がしたが、声は聞こ…

野中翔斗
2年前
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ココロノコリ 1ー1

†  母さんが、泣いてる。  生きていたら十七回目の誕生日だったはずのその夏の夜、川村若葉…

野中翔斗
2年前
4