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「頑張れ」に代わる言葉

「頑張れ」という言葉が少し苦手だ。

「頑張れ」はとても便利な言葉である。
何か相談してきた友達に「頑張れ」、入試や就活など困難なことに挑んでいる友人に「頑張れ」など、他人を励ましたり応援するときに使うことができる。

しかし、「頑張れ」にはどこか無責任かつ重い十字架を投げつけているような感覚がある。

その人を応援している気持ちが不純でないとしても、「私はあなたではない。これはあなたの問題。私は関係ない。」と言っているように感じる。

「頑張れ」には、「友達も結局は他人」という事実を再認識させる。急に見えない角度からパンチが飛んでくる。そのパンチに物理的な力はない、精神に1つ新たな重荷を乗せて消えてゆく。

「頑張れ」というのはすごく楽だし、大切なあなたを支えているように感じることができる。しかし、その「頑張れ」に含まれる期待が少し苦しく感じる時がある。「頑張れ」を乗り越えなければならない。自分自身と向き合ってきたのに、他人の想いが体全体に重くのしかかる。険しかった山登りにさらに荷物が増える。後ろは振り返れない。「頑張れ」と共に前に進まなければならない。

これはおそらく「頑張れ」に負けることが多かった僕だから感じることなのかもしれない。プレッシャーに弱かったのかもしれない。たった3文字に気を取られすぎたのかもしれない。優しい3文字が僕にとっては凶器にさえ感じた。でもいくら隠れてもその3文字は僕の体の深く奥で突き刺さっている。

だから、友達を励ましたり応援したりする時、他の言葉で代用するのだがしっくりくるものがいまだに見つかっていない。

例えば、彼、彼女にとって困難なことへの挑戦に対するかける言葉。

LINEやメールといった簡単に送れてしまうものほど悩む。その人は他の人からも応援されているであろうから、僕の言葉だけでも余計なプレッシャーや重荷を与えたくないのが本音だ。

そこで僕が「頑張れ」に代わる言葉でよく使っていたのは、「時には休みつつね」だ。

「これまで1人で頑張ってきたあなたは少し休憩してもいいんじゃない?」と伝えるように。

それでも何かしっくりこないところがある。どんな言葉が嫌いなのか、どういう風に励まして欲しいのか、相手のことを全て知っている訳ではないから言葉を選ぶことはすごく難しい。

でもだからこそ、大切に思う相手に贈る言葉には自分の想いがきちんと伝わるように、優しく包み込んであげれるように、心の中で凶器に変わらないようにしたい。でも、想いが伝わらなくても、気づかなくてもいい。ただ傷つくことさえなければ。

言葉は本当に難しい。これからも僕は「頑張れ」に代わる言葉を探し続けるだろう。そんなことで悩み続けるのは阿呆だと思うかもしれない。でも何か引っかかることがあったのならばその気持ちは大事にしたい。たとえうまく言葉にできなかったとしても。それでも悩み続けたい。いつかきっと「頑張れ」に代わるいい言葉が見つかるかもしれないから。

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