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分かっちゃいるけど


8月の事。大阪梅田で油を売っていたら突然少年のワンマンライブが本日梅田で行われる情報がスマトフオンから飛び込んだ。ライブが始まる頃に知ったので行くかどうか迷ったが行ってみようと思いライブハウスへ。受付の若いギャル(鬼ギャルではない)にお金を幾漠か払う。中に入れば突然少年が演奏している。知った曲が流れている。周りを見渡す。お客さんがとにかく、若い。ほとんどが関西の大学生とかだろう。大学生の年齢で突然少年ワンマンに行くとは渋い趣向だなぁと思いながらもまあ彼ら彼女らはライブを楽しんでいるようだ。ライブハウスの最後方から眺める。演奏が続く。素晴らしいし熱い、しかし客が若過ぎて気が散ってしまう。1人スーツのおっさんが最前で熱狂している。少しだけ安心した。

ライブは2部制であった。1部が終わり休憩に入った。休憩に入ると若い客同士が揃って輪になって踊るかのように絡み始めた。おそらくここに来ている客は皆ライブハウス常連で仲良しなのだろうと悟った。中年の私が、浮いている。おっさんon the cornerとはこの事だろう。おっさんon the cornerで何を想い何を憂う。いてもたってもいられず狭い箱から飛び出した。最前にいたスーツのおっさんも外に出て煙草を吸っていた。そうだよな、と心でつぶやきながらもさすがにおっさんに話しかける事を、私というおっさんはやめた。

おそらく2部では小職が聴きたかった「開戦前夜」が演奏される。ライブハウスに戻ろうか迷ったが、ここはもう私の居場所ではないと思い、2部を見ずに帰ることにした。スーツのおっさんはたぶん2部もみたのだろう。後悔はない。

「年齢は関係ない」「何歳からでも始められる」なんて言葉は当たり前のように出回っている。特にスピリチュアルぴよぴよおばさんが得意とする言葉だ。そんな言葉もある程度理解はできるが、年齢相応を選んでいくことも少しは必要なのではないかと思ったりする。年をとるとともに趣味や居場所は自然と変化するものであり、変化するきっかけはふとした違和感からなのかもしれない、と梅田の片隅で痛感した。かつてここで熱狂していた若者たちもどこかのタイミングで自然と卒業していったのだろう。街を歩いていて、同年代が少なくなったと感じることがある。きっとかつて街に大量発生していた同年代の人間も歳をとりいろいろいろいろある内に変化していき、街から卒業していったのかもしれない。

無論、やたらに周りの目を気にする必要はないとは思うので、どうしても聴きたい演奏があれば観に行くこともあるだろう。なんとなく感じた違和感を受け入れ、変化していくことも必要だと思った。諸行の無常を感じる出来事が次々に増えていく。とりあえず突然少年の音楽は最高なので、引き続きこそこそと聴き続けるだろう。

やんのやんの言いながらも、今の若い人間が突然少年のような熱苦しいロックバンドに熱狂していたことは嬉しかったりもする。ロックバンドというフォーマットもまだ終わってはいないのかもしれない。

突然少年/分かっちゃいるけど

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