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『テック・オン・アベンジャーズ』刊行記念! 清水栄一先生インタビュー

マーベル・コミックスと、BANDAI SPIRITSのコレクター向けブランド「TAMASHII NATIONS」のコラボレーション作品『テック・オン・アベンジャーズ』の邦訳版が、6月23日に刊行されました。これを記念して、ヒーローデザインをご担当された漫画家・清水栄一さんにインタビュー! 制作の裏側などをお伺いしました。

清水 栄一(しみず えいいち)
漫画家。下口智裕とともに『鉄のラインバレル』(完結)や『ULTRAMAN』(連載中)などのマンガを手掛けており、主に原作脚本・メカデザイン・メカ作画を担当している。また、現在モーニングで連載しているオリジナルDC作品『BATMAN JUSTICE BUSTER』も手掛けている。

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テック・オン・アベンジャーズの始まり

──『テック・オン・アベンジャーズ』へのご参加のきっかけは?

清水:10年くらい前に前身となるマーベルヒーローの企画がありまして、そのときにお声をかけて頂き、その流れでの参加になります。と言っても10年ずっと稼働していた訳ではなく、すっかり忘れた頃に「あの企画が再始動するので是非」と再度お声を掛けて頂きました。

清水さんと下口さんが手がけたイラストは各章の扉ページに!


アメコミとの出会い

── もともと、アメコミはお好きだったのでしょうか。
 
清水:大好きです。小学生の頃にティム・バートン監督のバットマンを観て
そこからハマり、追いかけ続けています。

── そうなのですね。では、一番好きなヒーローもお伺いしてよろしいでしょうか。また、コミックスも読まれていたのですか?

清水:一番好きなヒーローはバットマンです。それはずっと変わらないですし、この先も変わらないと思います。やはり生身の人間でありながらスーパーマンと並ぶ存在であることや、肉体と頭脳のみを武器に戦うところに惹かれます。まぁ大富豪というスーパーパワーは持っていますが(笑)
あの見た目と振る舞いに対し、全然完璧じゃないところも大好きです。
 
コミックは小学生当時には入手方法も知らなかったので、中学生になってから追いかけるようになりました。翻訳版が出るまでは英語も分からないのに買ってました。


キャラクターデザインのポイント

── 主役の6人のヒーローたちは、清水さんが選ばれたのでしょうか。選んだとすれば、なぜこの6人を?

清水:主役のヒーローたちはマーベル・コミックスさんとTAMASHII NATIONSさんの間でお話が進んでおり、既に決まっておりました。キャプテンマーベルがラインナップされていて「どうアーマー化すればいいんだろう・・・」と思ったことを覚えてます。


清水さんによるキャプテンマーベルの初期設定資料

── キャラクターデザインを作るにあたって、マーベルとはどんなやり取りがありましたか。
 
清水:当然ながらチェックはありますが、それ以外に特別なやりとりはなく、基本は好きなようにやらせて頂きました。

── 今回のアベンジャーズは、DH-10モードなど、フィギュアならではのデザインも取り入れられているように感じました。そんなデザインのこだわりのポイントを教えてください。また、一番気に入っているのはどのキャラクターでしょうか。

清水:DH-10は『怒髪天』から来てるのですが、当初はアーマーがバラバラと細かく展開し、文字通り「逆立つ」ようになるといったコンセプトで進めていたんです。
しかしまぁこれがカッコ良くならない(笑)単純にその設定を活かしたカッコ良い姿に出来なかった僕の力不足でしかないのですが、しばらくは『アーマーが逆立つ』に囚われ悩んでいました。結局、どうやっても納得いくデザインにならなかったので、途中からアーマーが逆立つというコンセプトを捨て、怒髪天の『怒』をイメージする方向に考えを変えました。なのでこだわりというものはあまりなく、如何に各ヒーローのイメージを崩さず、アーマー化やDH-10モードを成立させるかに注力しました。

アイアンマンとスパイダーマンのDH-10モード

一番気に入ってるキャラクターはバトルファイアです。
バトルファイアは一番最後にデザインをしたのですが、その頃には方向性も含め、自分なりに掴めていた状態だったので一切の迷いなく描けました。

バトルファイア登場シーン

── 実際にフィギュアになったものを手に取ってみていかがでしたか? また、清水さんデザインのキャラクターが、コミックスではMARVELのアーティスト・ジェフリーによって描かれ大活躍をしておりました。こちらも読んでみて、いかがでしたでしょうか。
 
清水:S.H.Figuartsに関しては、正直、想像以上のクオリティで驚きました。
何となくこんな感じになるかなぁと思い描いていたイメージを軽く凌駕してきました(笑)
オプション、可動、塗装とその全てがとても贅沢なフィギュアになったと思います。
 
ジェフリー氏には感謝しかありません。ただ描くだけでも面倒臭いあのデザインを、全編通しカッコ良く描くにはかなりのエネルギーが必要だったはずです。本当にありがたいです。


歴史あるキャラを描く

── ULTRAMANやバットマン、そして今回のアベンジャーズと、長い歴史を持つキャラクターたちを大胆にアレンジして描き出すのが清水さんの強みであると感じます。こういったキャラクターを描くにあたって気を付けていることは何でしょうか。
 
清水:本人的にはそこまで大胆にアレンジしているつもりはないのですが(笑)
やはりオリジナルのデザインが持つイメージは壊さないようにしています。
徒に線を増やしたり、形状を複雑化したりせず、シルエットだけ見ればそのヒーローやロボットだと判るように気を付けています。自分達が漫画で描く場合は、登場する物語の世界観に合っているかどうかを最優先に考えています。あとはオリジナルのデザインのどこを拾うかの取捨選択ですね。あくまで僕個人の話に限ってですが、ここは外せないよねって部分の変換にこだわり過ぎるとつまらないアレンジになってしまうことが多いです。

── 最後に、読者とフィギュアを手に取った方に一言お願いします。

清水:本作はマーベル・コミックスとTAMASHII NATIONSによる、とても意欲的な企画です。その企画に参加できたことはただ嬉しいだけでなく、多くのことを学び、また多くの刺激を受けました。その中で生まれたコミックとフィギュアを心から堪能して頂けましたら幸いでございます。


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