梶原さん邸

SHOP編集ショップクエスト5〜セットバック〜

セットバック
「道路のはばがせまいため道路との境界線よりもすこし後退させて建物を建てること。」

(三省堂国語辞典第7版より)


新しく情報をもらったその空き家は道ぎりぎりに家が建っていた。
と、いうより、ぎりぎりに建ち過ぎているらしかった。
その状態でずっとその家は過ごしてきた。
が、最近になって規定より家がぎりぎりに建ち過ぎてる問題が浮上し、解決に向けて動き始めた、ということだった。
その経緯については難し過ぎてわたしには説明を聞いてもよく分からなかった。

とにかく今からその家を借りるにはセットバックをする、つまり壁をちょっと削ることが必須だということだった。


家の壁を

ちょっと

削る

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ユウコ:・・・・・・・・
ナツキ:・・・・・・・・


わたしたちはオーナーさんにお願いしてそのお家を見学させてもらい、改めてセットバックの話などを聞いた。
その家は以前お弁当箱を作る作業所として使われていたそうで、ものすごい広い作業スペースと、プライベートスペースがあった。
そして不思議なことに作業スペースの真ん中に出窓付きのきれいな風呂が一つと、プライベートスペースの隅に古めの小さいお風呂が一つあった。
流しはなんやかんやで4つ付いていた。
謎である。

家としてはわたしたちの希望する要素が結構揃っていた。
何よりびっくりするほど広く、使い甲斐のあるスペースに見えた。
オーナーさんは、そのセットバックとやらをこちらサイドでやるんだったら、と言う条件で家賃を提示してくれた。



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ユウコ:・・・・・・・・・・
ナツキ:セットバック・・・・


そのセットバックのために壁をちょっと削る、その「ちょっと」というのは具体的にいうと50cmだった。
たったの・・・?
と、思ったが、役場の建設課の職員さんに話を聞くと、50cm建物が後退することで道の見通しは格段によくなるそうだ。

自分たちでセットバックをやる、もちろん専門の誰かに頼むとして、
いったいどんな風に、そしてどのくらい費用がかかるのか、見当がつかなかった。
ケーキを切るみたいに50cm分の外壁をスパッと切れるものだろうか?

画像3


ショップ探しをしていたわたしたちの前に、
唐突にセットバックという巨大な問題が
アラワレタノデアリマした‼︎



つづく



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