SHOP編集ショップクエスト7〜シティガールと下水〜
空き家を見てもらった次の日、わたしはひとり役場の環境衛生課を訪ねた。
前日の空き家は汲み取り式のトイレだった。
町の補助金を使って浄化槽を入れる予定だとオーナーさんは言っていたが、前日タイキさんに家を見てもらった時に
「浄化槽の補助金は自治体によってどの工程まで補助してもらえるかが違うから一度役場で確認したほうがいい」
と教えてもらったため確認に来たのだった。
さて、わたしはそもそも、浄化槽、汲み取り、という言葉に全く馴染みがなく、環境省のサイトを見て自分なりに調べてみた。
浄化槽
単独処理浄化槽と合併処理浄化槽がある。
単独浄化槽はトイレの排水のみを浄化するもの。合併処理浄化槽はトイレ以外の生活雑排水(台所、お風呂、洗濯機など)も浄化するもの。
微生物の働きにより排水の汚れを分解し浄化してから河川に流す、という仕組み。
トイレ以外の生活雑排水も河川や海の水質汚染になるため平成13年に単独処理浄化槽の設置は禁止となった。
合併処理浄化槽の設置には多くの自治体で補助金が出るそう。(オーナーさんが言っていたのはこれのこと。)
汲み取り
正式名称:汲み取り式トイレ
ボットン便所という言葉でイメージがわく方もいるのではなでしょうか。(わたしはそうでした。)
定期的にし尿の汲み取りを業者に依頼する必要があります。
確かに業者の車が町を走っているのを定期的に見ます。
ちなみにここ広川町はし尿汲み取り手数料は18リットルにつき220円(税込)だそう。(広川町HPより)18リットルがどんなものかは、よくわかりません。
台所やお風呂などの生活雑排水はそのまま外に流されるのだそうです。
そもそも下水道についてもよく知らなかった。
下水道についてはこういうことらしい。
下水道
私たちが家庭で使って汚れた水(汚水)は、家の下にある排水管を通って下水道管に流れていき、下水処理場に運ばれていきます。
汚水が下水道管を通って最終的に辿り着く場所が下水処理場。
沈砂池、最初沈澱池、反応タンク、最終沈澱池、消毒設備を通ってキレイになった水は、川や海に戻され、いつしかまた私たちのところに戻ってきます。(公益社団法人日本下水道協会HPより)
シティで育って来たわたしは、考えたことがなかった。
下水道が通っていない場所に住むということを。
家を選ぶときここは下水が通っているかな、それとも浄化槽が入っているかな、それとも汲み取りかな、などと考えたことなどなかった。
ある程度の規模の街に住んできた人はだいたいそうなのではないかと思う。
シティで育った自分にとって汲み取り式トイレで生活で生活するのは難しいと思う。
そのまま流されていく洗剤なども気になる。
かといって洗剤を全く使わない生活をするのも、ちょっと想像がつかなかった。
浄化槽のための補助金があってそれで設置ができるならありがたい話だなぁと思っていた。
役場の環境衛生課で浄化槽の補助金の仕組みや申請方法について確認していたその途中、担当の方は「あ、」と言いながら一度奥に引っ込んでいった。そして古めかしい町の地図を開きながら、こう言った。
「あ、この場所は浄化槽の補助金の申請が出来ないエリアですね」
ナツキ:・・・・・・・・・・・・・・ん?
つづく
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