梶原さん邸

SHOP編集 ショップクエスト6〜救世主〜

前回のあらすじ


突然現れたセットバックという問題にわたしたちは混乱していた。
周りの大人達(まあ自分も大人だが)が当たり前のような顔をしてセットバックセットバック言っている状況も混乱を深めた。
セットバックって、そんなに当たり前の単語だったのかしら・・・?

ひとまずセットバックの費用をこちらで負担することと提示してもらった家賃とが、わたしたちの予算や計画に見合うのかを検討する必要があった。
そこで友達の大工、ハマスさんに空き家を見てもらい見積もりを出してもらうことにした。

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ここからは少し、関係のない話をします。

ハマスさんが来てくれるとなった日、ゆうこさんは都合により、来られないことになった。
当日はわたし1人で話を聞いて理解をして分からないことがあれば質問をし、聞き漏らしていることがないか確認し、後日ゆうこさんに正確に伝えなければいけなかった。これは不安だった。
普段はゆうこさんが人との会話をテキパキと進めてくれるものだから、わたしは話を理解してなくても割とぼーっとしていられることが多かった。
これはまずい、と思った。

あともう一つ不安なことがあった。
ハマスさんは元々ゆうこさんのお友達で、わたしもハマスさんには何回もあっているけどなんとなくずっと友達の友達という感じだった。
ゆうこさんがいれば「友達に会いに来るついでに空き家も見に来たよ」が成立するのに、わたしだけしかいないとなるとただただ休みの日にわざわざ時間をかけて微妙な距離感の人が待ち構えている空き家を見に来るだけの日にさせてしまう、と思った。
楽しい話題の一つや二つ準備しておかなければいけないのではないか、と思ってはいたが当日までに思いつかなかった。
当日、わたしはばあちゃんが大量に送って来たうどんと、くだもの村(道の駅的な場所)で買ったいちご大福とおまんじゅう的なものとみかんをせめてものお礼にと持って行った。
(でも今思えばうどんって。もうちょっとなんかあっただろうに。はあ。)

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ハマスさんと一緒にもりわきのひとみさんも来てくれた。
それからハマスさんは水回りのことに詳しい友達のタイキさんも呼んでくれていた。

結論から言うと、セットバックについては、やってやれないことはない、ということだった。
ハマスさんはセットバックで削らなければいけない外壁を華麗なメジャーさばきでススイと測り、なんとなくの予算を出してくれた。空き家のオーナーさんが知り合いの業者さんに取ったという見積もりよりも現実的な値段な気がした。
そのほかにも、なぜか2個あるお風呂の撤去や無駄にいっぱいある流しなどについて2人はどんどんアイディアをくれたし、ボロボロだった床もこうしたらかっこよくなりそうなどと教えてくれた。
忘れないようにどんどんメモを取った。
ハマスさんはとにかく最後は「気合で」というようなことを言っていた。

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初めて会ったタイキさんはとにかくすごい勢いで情報を伝えてくれる人だった。
ただでさえスピード遅めなわたしの情報処理能力が全然間に合っていなかった。
わたしが全然理解できていません、という顔をしているとすかさず横からハマスさんが「今のは、こういう意味ですね」と簡単な言葉に直して教えてくれた。
ひとみさんが「翻訳してる・・・」とつぶやいた。
わたしはこの日ハマスさんに翻訳係までやらせてしまった。しかも日本語。
ちなみにハマスさんはこの日、わざわざ来てもらってほんとすみませんみたいな空気を出しているわたしに、全然そんなの気にしないでくださいオーラも出していた。
1日でハマスさんのことをハマス様と呼びたくなったし、なんかわからないけど入信しそうになりましたね。あぶねえあぶねえ。

2人とも協力しますよ、と言ってくれた。ひとみさんも手伝います!と言ってくれた。
なんかわからないけど楽しくセットバックできそうだしお風呂も一つにできそうだし雨漏りもチョチョイと直せそうだし、楽しく作業ができそう、と一気に前向きな気分になった。

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ナツキ:ユウコサン、救世主がアラワレマシタヨ‼︎


つづく




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