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都写美「WONDER Mt.FUJI 富士山 ~自然の驚異と感動を未来へ繋ぐ~」 ー 被写体としての富士山」の奥深さと、ディレクションの秀逸さ

「SHOOTING」編集長の坂田です。

TOP MUSEUM(東京都写真美術館)で開催中の企画展、
WONDER Mt.FUJI 富士山 ~自然の驚異と感動を未来へ繋ぐ~」を観ました。

霊峰富士、世界遺産のMt.FUJI。

プロ・アマ問わず、多くの人の被写体となり、いまや登山客の賑わいも異常なほどで(別の意味で問題にもなっているが)、とにかく人気のある独立峰。

本展は、「WONDER」というテーマのもと、18人の写真家の作品を展示している。

エントランス


参加写真家(展示構成順)
山内悠
広川泰士
公文健太郎
十文字美信
Yulia SKOGOREVA
木村肇
Everett KENNEDY BROWN
西野壮平
大山行男
Chris STEELE-PERKINS
Sarah MOON
Coco CAPITÁN
Donata WENDERS
野辺地ジョージ
𠮷田多麻希
菅原一剛
野町和嘉
瀧本幹也

ディレクション、構成の秀逸さ

都写美の地下1Fは、奥行き、高さとも広い空間になっている。

通常の展示では、入り口を入ると奥まで見渡せてしまうほどで、ある意味「見える範囲はオープン」な状態で、展示の全体像やイメージが掴みやすい。しかし本展の場合、天井から黒布で仕切られているので、奥はまったく見えない。会場全体が暗いので、とりあえず目が慣れるまで、ゆっくり鑑賞することをおすすめします。

入り口正面には、山内さんの「夜明け」の作品が展示されていて、右横は広川さんの作品。富士山七合目の山小屋にこもって撮影された山内さんの雲海や日の出の写真は、鮮やかでドラマティック。

また広川さんの「星座の動きまでも長時間露光で閉じ込めた富士山」も素晴らしい写真、パッと見た瞬間は、昼間の時間帯に撮影したように見えるのだが、星の流れを見ると長い時間がそこに凝縮されていて、思わず立ちすくんで見続けてしまう。



作家ごとに作品がまとめられていて、また半個室的なブースで仕切られているなど、個々の作家の世界観に浸り易い設計になっている。


左写真のように、スマホで撮ると明るく写ってしまうが、実際は右側のように暗く、鑑賞に集中できる。

基本的にバックの壁面は黒か白。作品には高い位置からピンスポットで照明が当てられているか、バックライトを当てているため、作品自体が浮き上がって見える。


WONDER」というテーマで作品は出展されているが、テーマ性というよりも、18人それぞれが思う富士山がそこにある。

それは山をマクロやミクロで捉えたものや、富士山と人間の文化や生活など、さまざま。

展示構成も18名の写真家の選出もセンスがあるなあと思っていたら、主催はキュレーターの太田菜穂子さん率いる「NPO東京画」だった。

東京画の展覧会は、お台場の「GALLERY 21」という広いスペースで企画展を開催している頃から、よく伺っていた。またホテル椿山荘の「FINE PHOTO GALLERY ENTRE DEUX」での展示のほか、 KLEE INCが企画する展覧会は私が出版社時代から拝見していた。

東京画 2012年のアーカイブ


プリントは、編集部もお付き合いのあるピクトリコプリント工房(三菱王子紙販売株式会社)が協力(全員分ではないです)していて、質の高い作品に仕上がっている。

私が解説するよりも、とにかく18人18様のオリジナルプリントを観てほしい。

「WONDER Mt.FUJI 富士山 ~自然の驚異と感動を未来へ繋ぐ~」

会場:東京都写真美術館
開催期間:2024年6月1日(土)~7月21日(日)
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
URL:https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4862.html



坂田大作(SHOOTING編集長・フォトプロデューサー)

Web Magazine「SHOOTING」編集長。株式会社ツナガリ代表。
フォトディレクター、エディター、プロデューサー。

Webサイトを運営する傍ら、書籍「SHOOTING PHOTOGRAPHER + RETOUCHER FILE」を13年連続で発行。アマナトークラウンジや、日本最大の写真イベント「CP+」で毎年多くのステージを企画・登壇するなど、「写真」を軸に、ウェブ、出版、トークイベント等、メディアの垣根を超えて活動している。https://shooting-mag.jp/

書籍「SHOOTING  FILE  2024」

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