ライナーノーツ：君が生きる理由/少年キッズボウイ

激よわインディーズバンド『少年キッズボウイ』は凄まじい不人気の波を乗り越え、1stアルバムをリリースする運びとなりました。いえーい。

リードトラック『君が生きる理由』

アルバムはここのリンクから買ってね。

ほんでそのアルバムのリードトラック「君が生きる理由」のライナーノーツです。本当はレコード会社から「内部資料」と言われて書いたもので、外部に公開する予定はなかったので面白みは無いかもですが、どうぞ。

プロローグ

時は2023年3月。

結成3年目の少年キッズボウイは岐路に立たされておりました。

そろそろどでかい花火を打ち上げる...いわゆる「売れる曲」をリリースしなければ、この音楽業界に楔を打てず、淘汰される可能性があったのです。

メンバーはバカなのでたぶん何も考えていませんが、コンポーザーの青木はプレッシャーに打ち震えていたのでした。

第一部：心のdoo-wop

とにかく売れる曲をとのことだったので、最近の若者にウケる曲をパクってやろうと思って、私は市場調査に乗り出しました。

しかし我々の演奏力は、そのへんの学園祭のコピバン中学生にも劣るため、パクることの出来る楽曲は限られていますし、「そもそもパクれそうな曲はあんまり好きじゃない」という、にっちもさっちもいかない日々が過ぎて行きました。

そんな折、出会ったのが「ねぐせ。」です。

イントロにFour Topsを見つけて、「これならできる！」そして「俺もこんなんやりてえ！」と私のインスピレーションは遂に重い腰を上げたのです。

フォー・トップス「アイ・キャント・ヘルプ・マイセルフ」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/6b6IMqP565TbtFFZg9iFf3?si=8aeba7549562413f

ねぐせ。「グッドな音楽を」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/2vAtN2fB1zqTzfPGxqHmyO?si=558b4427f00d400e

フォートップスなこのイントロですが、初めての出会いはサザンでした。「フォートップスとティーレックス混ぜたろ」という発想は、私の中で思想として今でも息づいております。

サザンオールスターズ「ロックンロール・スーパーマン～Rock'n Roll Superman 」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/7u5GmT5L9xhppac0ELC20E?si=76a9e2fe80b54d4c

最近だと吉澤嘉代子の曲も好きです。

吉澤嘉代子「鬼」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/2SyundLPHdYlYXlQ0iD7Cz?si=fcd814a7d2324c6d

PUFFYみたいに歌メロでフォートップスやるのも良いな、と歌詞を考えたのですが全然思いつかず、「doo-wopだしドゥワドゥビしよ」と決意。現行のイントロが完成しました。

PUFFY「愛のしるし」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/39ctCzopDN0dYr26AKmQOP?si=80f1412f075449d8

ドゥワドゥビはトーケンズを参考にしました。

トーケンズ「Tonight I Fell In Love」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/26LcEk7L94BMWO528Dk2Yp?si=62ceb6d62ebb47ac

モータウンビートにはやっぱりプライマル・スクリームな歪んだギターを乗せたくなるものです。Aメロ、Bメロはイントロが出来てから5分ほどで完成しました。

プライマル・スクリーム「Rocks」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/3rcjhifzy0XkdBHXL3xsfr?si=0616b45800f4400c

メロディーとコード進行はワム！を参考にしました。

ワム！「Freedom」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/0PhU6i6Kei6x0CH3jocvA3?si=7b8c576fa53c40b0

たぶんノエル（オアシス）もそうです。

オアシス「Fade Away」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/36hIzzQiWrDeQ7Z2JS5RwD?si=837b5795f7db45d1

そして「ドゥワイマル・スクリーム」と名付けたこの楽曲でしたが、書きたい歌詞も伝えたい想いも無く、サビを考えるのも面倒だったため、いったん放置されることになりました。

第二部：ヒーロー俺

2023年4月21日。約束の「売れる曲」は完成しないまま、1ヶ月の月日が流れました。

そんな折、少年キッズボウイはある対バンイベントに参加します。

えーるず、抱きしめるズ、ラヂオカセッツとの共演。学生時代フロアから観たあのラヂカセと同じステージに立ち、終演後に一緒に飲んだお酒はとても美味でした。

それはそれは楽しい、それこそ「明日なんかいらねーよ。」と思える夜でしたが、ラヂカセのドラマーのペンさんが発した「俺達は世界を変えられないよ」いう言葉は帰路につく私の脳裏を反芻し続けるのでした。

ザ・ラヂオカセッツ「僕の部屋へ」
君がもしも寂しいなら僕の命を削ってもいいよ
https://open.spotify.com/intl-ja/track/1yi3loEabrQ5SUK1B7s9hr?si=3f601ff12dfa4697

電車が走る規則的なリズムに微睡んでいると、鈍い音と振動が響き、電車が緊急停車しました。場内アナウンスが人身事故を告げます。

イヤホンをしていた私は、なかなか動かない電車と緊迫した様子の車掌の姿を見て、少し遅れて誰かが死んだことに気付きました。

東京で長年暮らしていると、煩わしいだけの人身事故ですが、「自分が乗っていた鉄塊が人の命を奪ったこと」そして「名前も知らない誰かが命を捨てる選択をしたこと」にショックを受けました。

同時に「100万人が喜ぶような売れる曲」ではなく、「生きることを諦めた誰か1人を救う曲」を作らなければいけない、とそう強く思ったのです。

第三部：君が生きる理由

誰かを救うヒーローになることを志した私でしたが、「明けない夜は無い」とか「止まない雨は無い」では無く、「生きる理由」を提示しなければいけませんでした。

しかしその「生きる理由」とはいったい何なのだろう...と思案しても答えは出ません。

通常の5倍の時間を電車で過ごし、やっと最寄りの駅に着くと今度は雨が降り出しました。

潰れたタバコ屋の軒先で雨宿りしていると、雲間から陽の光が差します。

陽が差してもなお、降り続ける雨粒は空気に触れて光っていました。「ああ、これがそうか...」と私は咄嗟に思い、濡れながら帰ることにしました。CCRのヒット曲を口ずさみながら。

クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル「Have You Ever Seen The Rain」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/5DnT9a5IM3eMjKgXTWVJvi?si=167266931a7a4024

家に着いた私はそのままギターを手に取り、書きかけの曲にサビのメロディーと歌詞を追加しました。

SMAP「夜空ノムコウ」
真逆の歌詞ですが、メロディーの参考にしました。
https://open.spotify.com/intl-ja/track/5MFknPfYmxDIzQBEsgxMVp?si=e9adf49853ec4472

a flood of circle「くたばれマイダーリン」
真逆のタイトルですが、メロディーと展開の参考にしました。
https://open.spotify.com/intl-ja/track/7JNViMbaZ997cpY7CYOxQM?si=70834d81372744db

「夜空の向こうの明日」は不安で怖くて堪らないものです。
私は、名前も知らない誰かのために「永遠の夜」をプレゼントしてあげることにしました。

名前も知らない誰かが寿命で死ぬまで生きていてくれることを願っています。

ヤバイTシャツ屋さん「寿命で死ぬまで」
https://open.spotify.com/intl-ja/track/2vek0F0OILZCFbhc66iKpM?si=467c5b426a934e14

了。

ライブやるから来てー

「少年キッズボウイのお楽しみ会」開催決定決定
2023年11月25日（土）渋谷 Milkyway
開場：18:00 / 開演：18:30
出演：少年キッズボウイ、他※対バンは近日発表！

チケット【一般】前売：￥3,000 / 当日：￥3,500　ドリンク代別
チケット【学割】前売：￥2,000 / 当日：￥2,500　ドリンク代別
チケット発売日：9月29日（金）10:00　イープラスにて

購入ページURL：https://eplus.jp/sf/detail/3947920001-P0030001
問い合わせ：Shibuya Milkyway　03-6416-3227

参考音源のプレイリスト

Spotify

Apple music