横浜フリューゲルス

私はよく、「チームがあることにまず感謝しよう」と口にも出すし、日記などにも書く。


それはベルマーレがかつて存続危機を経験して、チームがあるというのがどれだけありがたいかが身にしみてるというのもあるけど、同じ神奈川県にかつてあった横浜フリューゲルスさんの存在も私の中で大きいと思う。


私は神奈川で生まれ育ってはいないけど、フリューゲルスさんは身近でよく見聞きするチームだった。


もし、自分がずっと応援してるチームが「解散します。なくなります」と突然言われて、本当に消滅してしまったとしたら、心にどれだけ穴が空くのか、計り知れない。

「別にマリノスが嫌いとかじゃないよ。だけど、『はい、今日からマリノスはFマリノスです。FはフリューゲルスのFで、チーム名にも残したので、今日からFマリノスを応援してください』って、そんなことできる?昨日までライバルで、いきなりそれは難しい」と言ってた人がいて、確かにそうだよなあと考えてしまった。


フリューゲルスサポーターさんたちは、チームの消滅後どうなったんだろう。

話に聞くには、もうサッカーを楽しむ気持ちにはなれずにサッカーから離れてしまった人、Fマリノスさんのサポーターになった人、横浜FCさんができてから横浜FCさんのサポーターになった人、もしくは他に注目してたチームのサポーターになった人…いろいろいるみたい。

フリューゲルスさんがずっと存続してる状態で、自分の意志でそうしたならそれは自由だけど、チームの消滅でフリューゲルスさん以外の選択肢を取らないといけなくなったというのは、(当時フリューゲルスさんを存続させるのはどうしても難しかったにしても)、何とかならなかったのかなと今でも悔しく思い出される。


私の知り合いに、かつて遠方フリューゲルスサポーターさんだった人がいる。

何かのきっかけでフリューゲルスさんと出会って、遠くてもやっぱりどうしてもフリューゲルスさんが良くて、フリューゲルスさんが好きで、結構横浜にも応援に行ってたらしい。


「それで、行くうちにだんだん地元みたいになるんだよね。帰る場所みたいに。横浜は、自分にとってそんな場所だったよ、フリューゲルスのおかげで」

「湘南」と「ベルマーレ」に置き換えたら、それはもう自分だと思った。


「方言も移るんだよね。こっち(その人の地元)にいても『~じゃん』『それでさー』とか(笑)

何かを選ぶとなったら水色一択、番号を選ぶ時には大好きな選手の背番号だよね」

分かる分かる、めちゃくちゃ分かる。

スポーツに興味がない人が、何かで番号を選ぶ時に選びきれなかったり、誕生日の数字を選んでるのを見て、「背番号じゃないんだ!」なんて思ったりするんだよね。

ちなみに、誕生日が自分の大好きな選手の背番号だと、それは最高に幸せだったりする。


チームの消滅というのは、そんなごく普通のサポーターから、大好きなチームを奪うこと。

きっとフリューゲルスさんのスタッフさんや選手の皆さんもとても辛かったと思う。

そういう人たちも、同じように心を痛めてきた人たちだ。


今はフリューゲルスさんがあった頃よりもJリーグクラブが増えた。

これまでは「地元にチームがないから」と、近隣のチームを応援してた人が、地元にJクラブができたのを機に、その地元クラブと関わるようになって、更に地元の良さを知ったり、そういう話も聞く。

それはいいことだと思う。


だけど、クラブが増えるということは、これまでなら近隣都市の市民や、昔は第二の本拠地のようにホームタウン以外でも試合をすることがあったからその第二の本拠地に住む人たちなどが、それまでにサポーターをしてたチームから地元のチームに移って応援するようになったりして、サポーターが分散してしまうという意味でもある。


クラブが増えることで、子どもたちは憧れを身近に見て育つことができる。

親もサッカー好きだったら、小さい頃から地元以外でも試合を見る機会もあるかもしれないけど、サッカー度がそこまで高い家ばかりではないし、いろんな事情で遠くにまでは試合に行くのは難しい場合も多い。


私は転校も多くて、選手のプレーを間近で見たり、接したりする機会が少なく子ども時代を過ごしたから、もし今私が小さくて、近くのスタジアムでJリーグの試合を日常的に見られる環境で育つとしたら、それはすごく幸せだと思う。


でもその幸せの先に、チームの消滅という悲しい未来があったとしたら?

そのチームを好きであればあるほど、愛着があればあるほど、やりきれないと思う。


コロナ禍もそうだけど、何かをきっかけにこれまでとは違う状況になって、赤字が続いて経営が成り立たなくなったら、一般の会社同様にJクラブも存続が危うくなる。


私はずっとサッカーが大好きだけど、経営に関しては何も知らないから、こうあるべきとかそんなことは偉そうに何も言えない。

ただ、フリューゲルスさんのこと、フリューゲルスさんを一生懸命応援してた人たちのことを思い出すたびに、もう二度とJリーグから消滅するクラブがあってはいけないと強く思う。

じゃあどうすればフリューゲルスさんは守られたのかは分からないけど…。


大好きな神奈川県にあったフリューゲルスさんを、私はこれからもずっと忘れない。

これからも、ベルマーレがあることへの感謝を忘れずに応援していきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?