ただいまって帰る家がありそう

湘南地域にいる時、前に言われたこと。


「Nikoって、こうやってスタジアムとかで話してて、『じゃあバイバイ』ってなったら、普通に電車とかで家に『ただいま!』って帰ってそうだよね。それくらい湘南に住んでそうなんだもん。実際には違うんだよね?」


湘南地域で家という場所に「ただいま」って帰ったことは、まだ一度もない。


「うん、そうやってよく言われるよ。普通に湘南に生まれ育って、ずっと住んでそうだよね、って(笑)

でも実際には、こっちに“帰って”きてもホテルに泊まってるよ」


私がいくら心の中で湘南をふるさとだと思ってても、そういう時にはやっぱり実際に生まれ育った人と比べたら、何かがやっぱり違うのかな…とも感じる。

湘南地域で、スーパーで食材を買って帰って、シチューとか煮物とか(そういう料理が似合う家って、あったかい家のイメージがある)作ったり、非日常ではなく日常の時間を過ごしてみたいと思う。


実家にいろんな事情がある人にとっては、進んで帰りたくないかもしれないけど、そうじゃない人にとっては、湘南から離れて暮らしたとしても、湘南に帰れば「ただいま」って言える家があるんだなって。


私はいつも、湘南に“帰った”時には同じホテルに泊まる。

そんなにめちゃくちゃ大きくない規模のホテル。そのせいか、ホテルの方々は前々から私のことをよく覚えてくれてる。


仕事上の規則ではもしかしたらいけないことなのかもしれないけど、ホテルのフロントに用事で行った時、他のお客さんがいなければ、ホテルの方々もベルマーレのこともよく話してくれる。

初めは「サッカー全然詳しくなくて…」と言ってた人が、だんだん「せっかく地元にチームがあるんだもんね!」と、ベルマーレの試合のことを気にかけるようになってくれたり、次の対戦相手を覚えてくれてたりするのもとても嬉しい。


私にとっては自由な時間でも相手は仕事中なので、自分からあんまりベラベラしゃべったらダメだなと思って控えめにはするけど、それでもその範囲でベルマーレの話をできるのは本当に楽しい。


この間、湘南に“帰った”時も、そのホテルに久しぶりに泊まった。

前にいたスタッフの方がもういなくなってるということもこれまでにあったから、もしかしたらだいぶ顔ぶれも変わってるのかな?と気がかりだったけど、そのホテルの最寄り駅に着いて、ちょっと緊張しながらフロントに行くと、見慣れた顔のスタッフさんが笑顔で出迎えてくれて嬉しかった!!


「お久しぶりです!」って、おかえりと言わんばかりの顔で出迎えてくれて、ここはホテルだけど、私にとっては心が落ち着ける場所だなと思った。

窓からの景色は、コロナ禍前は年に数回は見てた、よく見慣れたホッとする景色。

空を見ながらナパサ(湘南のラジオ)を聴くのが本当に好きで、それはコロナ禍を経ても何も変わらないなあと思った。


コロナ禍だけじゃなく、その間に私の身近に大きな出来事があったのもあって、もうこうして湘南に“帰る”こともできなくなるのかなと覚悟した時もあった。

それでも、2年かかったけど、またこうして同じ場所からこの景色を見られてることを、本当に感謝しないといけないと思った。

これまでも、決して当たり前だなんて思ってはなかったけど、「本当はもっといろいろ湘南で行ってみたい場所もあるのにな」と思いながら、完全に満足とは言えない気持ちで慌ただしく移動したこともあった。

だけど、日程的にゆっくりはできなくても、大好きなもうひとつのふるさとで大好きなベルマーレを応援できるというだけで、他にあれこれ望んだらいけないんだなと、コロナ禍の期間を通して実感した。


ホテルにいればお客さんという立場で、家事などもその間はしなくてもいいとも言えるのかもしれないけど、やっぱり私は湘南でもご飯を作ったりゴミ出ししたり(燃えるゴミを燃せるゴミと書いてあるゴミ集積所を見た時の「湘南に“帰って”きたー!」感!!)、普段と変わらない普通の生活をしたいと願う気持ちも常にある。

ただ、そのホテルの近くの商業施設やスーパーの中で、夜にホテルで食べるご飯を選んでる時に「あ!ベルマーレ!」と声をかけられることもあって、そこでベルサポさんと話したりすることもあるので、それはそれで楽しい。変な顔して歩けないなあといつも思うけど(笑)


チョウさんが前に言ってた言葉がある。

「J1に行くというのは、旅行者として行くんじゃなくて、そこに住むということ。実際に住んだら、ゴミ出し場がどこかとか、生活の中でいろいろ気にしないといけないこともある。J1に住むというのも同じ」。

一字一句は違うかもしれないけど、そういう内容の話をしてたことがあった。


私は、湘南地域が大好き。

だけど、湘南地域に“帰って”も、ご飯を作るわけでもない、ゴミ捨てに行くわけでもない、私は小さい時から今でも、未だに“お客さん”なのかもしれないと考えさせられる。


疲れてる時には、ちょっとしんどく思ってしまうような家事をするというのも、そこに住んでる市民ならではなのかもしれない。生活するというのは、そういうことなんだろう。


前から良くしてもらってるベルサポさんが、ある時言ってた。

「Nikoがどんなにベルマーレや湘南地域を愛してくれてても、もし将来的に何か状況が変わったら、きっとなかなかこっちには帰ってこれなくなるよね…。

湘南から離れてほしくないって私は願ってしまうけど、もしそうなってしまったとしたら、いくら“もうひとつの”ふるさとでも、そうそう帰ってこれなくなっちゃうじゃん。考えただけで寂しくてさ」

大人になるというのは、自由になる部分ばかりではないと考えさせられる。子どもの頃ほど自由に夢なんて描けなくなってしまうのも、大人になるってことなのかなあ。


自分の努力だけではどうにもならないと思えることにも、前向きに考えて運を引き寄せる気持ち。

それを持ち続けるのはエネルギーが結構要る。


私なりに毎日を一生懸命笑って生きた先に、いつか夢が叶って、湘南地域のどこかの家に「ただいま!!」って帰れる未来があったとしたら、それは小さい時の自分に「やっと夢を叶えたよー!!」と叫んで抱きしめたくなるくらい、幸せなことだなあ。


なんにしても、やっぱり湘南地域は私にとって「ただいま」と帰れる場所だし、その想いはこれからも変わらないと思う。

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