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(また散歩)映画を観に行っただけなのに①

デブとサイコパスという友人がいます。デブは思いの外真面目に会社の研修に励み、サイコパスは案の定絶望的な学生生活を送っています。

そんな二人と久々に予定を合わせて、恐らく感想は別でnoteにあげますが、クリストファー・ノーラン監督の『メメント』を観に行きました。三人ともそこそこのノーランファンで、デブは『ダークナイト』を何千回も見直していたり、暇人のサイコパスに至っては、ノーラン監督の作品を全て観ています。
そんなわけで、特別上映された『メメント』を三人で観に行くのが目的だったのですが、そんなものはその晩の余興に過ぎませんでした。

映画は最高

名古屋で映画が終わったのが九時でした。晩ご飯を食べる話になりまして、僕は牛丼が食べたい気分でした。それも、すき家が。もちろん他の牛丼屋にも魅力はありますが、なんといってもすき家です。一番おいしいのがすき家です。2人も同意し、晩御飯はすき家で決定です。

大人しく名古屋ですき家を食べればよかったはずなんです。何せ、名古屋にはたくさんのすき家がありますから。
ですが、どうも物足りないと、サイコパスは考えるわけです。彼は孤独と明日を恐れる小心者ですから、このまま明日を迎えるのが寂しくなってしまったのでしょう。
「散歩だ」
と彼は断固として譲りません。

僕たちの地元は、名古屋から離れたそこそこの田舎にあるので、そちらの方面のすき家に行きつつ、帰りは歩いて家まで戻ろうじゃないか、と大人の僕とデブはいいました。学生のわがままに付き合ってあげる我々、なんと大人の鏡でしょう。遊んでいるだけで日々が過ぎ去っていく学生なんぞ、それだけで贅沢だというのに、まったく。ガキの子守も大変です。

ひとまず名古屋から脱出し、地元へ繋がる電車に乗り込もうとした僕たちですが、デブがタバコを吸いたいと言い出しました。そうです、デブは喫煙者なのです。今月使えるお金はカードしかない極限状態なのにも関わらず、タバコを優先する生粋の喫煙者です。つまり阿保。この日もまた、例え二十分を犠牲にしてでもタバコを吸いたいと言って聞かなくなり、喫煙所まで歩き出しました。僕とサイコパスは非喫煙者で、自らの肺を大切にする人種ですから必死に抵抗したのですが、映画のせいで二時間タバコが吸えず、禁断症状が出始めたデブにぶん投げられそうだったので、仕方なく彼についていくこととなりました。大人は大人でも、ヤニカスの大人です。

ガキとヤニカスを世話するのは本当に大変です。

そして、ようやっと口から煙を吐くのをやめたと思ったら、堂々と先頭を歩いていたくせに道を完全に間違えて、結果電車に乗り遅れて15分待ちなど、デブのせいで非常に無駄な時間を過ごすはめになりました。煙で脳内が侵食されているに違いありません。脳無です。

さて、デブに負けじと、サイコパスも下劣な嘘をついていました。
目指していたすき家の最寄り駅から、肝心のすき家までの距離を、サイコパスはあまりにも散歩がしたいあまりサバを読んでいたのです。500メートル歩けば着くと言っていたのに、蓋を開けてみたら、1.6キロもあったのです。

最初から1.6キロだと言われていたら行かなかったでしょう。サイコパスは我々のそういった心理を踏まえた上で、明らかに作為的に500メートルだと平然とした顔で言っていたのです。

くそ....騙された!友人を騙してゲラゲラと笑う糞の極み、なんたる外道!散歩の悪魔め!fu⚪︎⚪︎⚪︎⚪︎‘ s⚪︎⚪︎⚪︎!


続く



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