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【人は死ぬとどうなるのか?】科学的に考える死後

今回は、「人は死ぬとどうなるか」という疑問について解説します。

※死について敏感な方は読まない方がいいかもしれません...


まとめーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

①死んでも何も起きないというのが結論

私たちは、自分たち人間を特別視しやすいが、空気やスマホと同じく、素粒子の集合体に過ぎないのが現実。死んでも何も神秘的なことは起き得ない。

②天国とは何だったのか?

では、なぜ世界中の人たちが天国や生まれ変わりといった概念を共有しているのか? それは、私たち人間がそれを信じる知能をたまたま持っているため。

③哲学

一方、哲学を信じるなら、何でもあり。

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①死んでも何も起きないというのが結論

「死」を知るには、まず私たちの存在を知る必要があります。

そもそも人間とは何でしょうか? それは、天体や空気や木や犬やスマートフォンと同じく、つまるところ、化学物質です。もう少し言えば、素粒子の集まりです。

その素粒子は元を辿ればビッグバンで生まれましたが、つまり、宇宙の始まりとほぼ同時に誕生した素粒子の集まりによって私たちの知覚するすべてが形作られているのです。

そして、このことは、私たち自身も特別な存在ではなく、素粒子の集まりであることを意味します。私たちはつい、この世界を、「人間と動物」「人間と物」といったように区別してしまいがちですが、私たちの内部にも外部にも境界線はないのです。

では、死後は何が起こるのか? 答えは簡単で、何も起きません。もちろん、地獄に行くとか、暗闇で一人になるということもありません。そもそも何かを感じることがないのです。

それがどんなものかをイメージするには、睡眠がちょうどいい例です。夢を見ていない時は意識がないし、何も感じていません。死後はまさにそんな感じです。ただし、意識を取り戻すことはないですが。

人も木もスマートフォンも素粒子でできているので、人が死んだらどうなるかという問いは、木やスマートフォンが死んだらどうなるかという問いと本質的には変わりません。そもそも、人や物という境界線は人間がつけたものであり、客観的な世界には境界線は存在しないし、死んだら何か特別なイベントが起こるわけではないのです。


②天国とは何だったのか?

では、なぜ世界中の人たちが天国や生まれ変わりといった概念を共有しているのか? それは、私たち人間が、それを信じる知能をたまたま持っているためです。

そもそも、そうしたものがあるという証拠は、私たちの想像の中にしかないのです。

それでは、臨死体験はどうなのか? 死にかけた人が幽体離脱をした、あるいは天国を見たといった経験をすることがあり、そうした報告が世界中で見受けられるのは、どう説明できるのか?

実は、脳は、簡単に私たちを騙すのです。日常的には、よく記憶違いという形で脳に騙されますが、同じようにして、現実以外を知覚することはよくあるのです。

たとえば、幻覚を見ることは、思ったよりも難しいことではありません。特殊な刑務所で、狭く真っ暗な空間に閉じ込められた囚人は、よくリアルな幻覚を見ます。

また、臨死体験についても、失神した人の中で一定の割合で経験をするものなのです。


③哲学

一方、哲学を信じるなら、何でもありです。

もしかすると、本当に天国や地獄があるのかもしれませんし、あるいは、この世界は、高知能の存在によってシュミレーションされたものなのかもしれません。

もしくは、映画、マトリックスで有名なように、この世界こそが夢の中なのかもしれません。


ただし、個人的には、多くの人がこうした物語の方を信じたいのは、やはり人間に物語が好きな性質があるからだと思います。

客観的には、宗教や哲学のような物語を信じるのは、単に人間がそれらを想像できる知能を持っているからだと考えられるうえに、多くの人は人間が特別だと思いたいし、自分がなくなることを考えたくないものです。


とはいえ、個人的には、神秘を信じるよりも、とても特殊な物理法則によって成り立つこの世界において、人間が特殊な条件下でたまたま意識というものを宿らせること、そして人間と外部に境がないということに大きな不思議と畏怖の念を感じます。


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【筆者の詳細について】

―加藤将馬:著者、講演家、幸福学&ビッグヒストリー研究家

・加藤将馬のウェブサイトはこちら

【著書の紹介】

宇宙と人類、138億年ものがたり ―ビッグヒストリーで語る 宇宙のはじまりから人間の未来―

紙の書籍:1260円→電子書籍版:0円(変更の可能性あり)


本書は、宇宙と人類の歩みを考察する一冊です。
「宇宙が生まれた頃はどのような姿だったのか?」「なぜ19万年間も狩りをしていた人間は、今では宇宙進出を始めているのか?」「気候変動やAIなど、これからの人間社会はどうなってしまうのか?」といった大きな問いについて説明します。
 そして、本書の最大のテーマは、「人間は文明を発達させて地球の覇者となったのにもかかわらず、なぜ世界には数多くの自殺者がいて、不幸が消えていないのか」というものです。
 138億年にわたる壮大な物語を堪能していただくと同時に、人間社会のあり方にまで思考を巡らせてもらうことを本書では目的としています。そして、私がなぜ本書を書き、ビッグヒストリーを通じて何を伝えたいのか。ぜひ、最後まで見届けていただけると幸いです。

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