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絶対安全圏を作れ!〜高校生からの指令〜

先日、「キャリア教育座談会」なるイベントに参加してきました。

全国各地、50箇所でユニークな教師やその授業をシェアする「オモロー発表会」の発起人である久本和明さんに誘われて向かったのは阪急阪神HDが運営するイベントスペース「NORIBA10」

新しく出来たクリエイター向けっぽい会場には教育関係者、学生,経営者と様々な人が数多く集まっていました。

キャリア教育が注目されているというか、本質的に戦後79年間変わっていない日本の教育に対する危惧の表れなのかしら、なんて思いながら座ったテーブルは現役高校生の隣の席。凝り固まった私の頭を柔らかくしてくれる若者の生の声を聞けると喜びました。

キャリア教育って何やねん

イベントのタイムスケジュールは、ゲストスピーカーによるトークセッション、各テーブルごとのディスカッションと話し合った内容のシェア。

よくあるパターンで組まれていましたが、経営実践研究会で一緒に活動している我らが久本さんが得意のマイク回しを始めて開始から5分経った頃には誰がゲストスピーカーなのかわからない状態になりました。(笑)

そんな中、私もキャリア教育の先進的な実践事例ということで、久本さんから水を向けられ、マイクを受け取りました。
キャリア教育ってなに?とオーディエンスに定義の再設定の問いを投げかけると共に、マイスター高等学院で行っているリアルキャリア教育について熱い口調で語らせてもらいました。

時間配分を忖度して、本当に伝えたい、社会で活躍出来るように人間力を養う、論語や大学を素読する修身の授業の内容までは語りませんでしたが、それでも現場で仕事の経験を積みながら高校卒業資格を取得する本気のキャリア教育のスキームはオーディエンスの人たちに対して十分インパクトを渡せたように思います。

イベントが終了した後、結構な数の方から興味あるとのお声を頂きました。

多くの選択肢ではなく選択する力

このイベントに参加して最も大きな気づきというか、ハッとさせられたのはテーブル毎のディスカッションで高校生2年生のMくんが付箋に書いていたメモでした。

ディスカッションのテーマは「こんなキャリア教育,あったらいいな」でした。
大学生のHさんは
「いろんな職業体験がもっとできたらいい。」
大人のメンバーも同じ様なことを書かれており、殆どの高校生が社会を知らないまま、選択肢を持たずなんとなく大学に進む今の時代背景が浮き彫りになりました。

ちなみに私は、数多くの職業を体験したところで、自分に合うとか,やりたいとか、価値があるとかの判断出来ないまま、様々な仕事を薄く広く知っても意味がない。
まずは、自分の大切な人生の時間を使う対象の基準や価値観を決めておくべき。だと主張、中学生には少し難しいかもですが、せめてじっくりと考える時間を持つ方が良いのではないか?と投げかけました。

要するに、何を、どの様に、どんなところで、誰と働くか?を考える前に、何のために働くのか?を明確にする、志を立てるプロセスを踏んでから職種を絞って深く、リアルな職業体験に進む方が良いとのいつもの原理原則論をぶっておきました。

冒険出来ない世界

私の意見に対して、高校生のMくんも頷いてくれていましたが、彼の手元の付箋には全く違う着眼点がメモされていました。

それは、

「絶対安全圏をよういし、その中でぼうけんさせる」

彼らは安全ではない不安定で不透明な世界に生きていると認識しており、冒険なんか出来るかよ。と、社会を冷ややかな目で観ているのです。

その結果、とにかく大学は出ておこうと、無難で大きく外さない選択をする思考にどっぷりと浸かっている様です。

これではキャリア教育の在り方ややり方をいくらこねくり回したところで何の効果も期待出来なくて当然です。
誰もが薄々気づいていた社会の根本的課題を高校生にドストレードに突かれて、やっぱり教育は社会システムそのものと同時に変えなければならないのだと改めて気付かされました。

資本主義から民主主義へ

資本主義が世界を飲み込んで、大きな資本を持つ者は更に強大になり、持たざる者は虐げられて格差と分断が世界に広がり続けています。

地球は有限にもかかわらず、際限の無い成長と拡大を目指せば、弱い者から奪い取るしか無いのは当然であり、それが資本主義の本質です。

自由、平等、平和という人類が見つけた理想とは全く逆のシステムであることが明らかになった今、これでは自分に合った仕事を探すことさえ出来ないと高校生は感じているのです。


絶対安全圏をつくる、とは人が最低限、生きることに困らないセーフティネットの構築であり、政策的にはベーシックインカムを整備することです。

それが出来て若者はやっとチャレンジ精神を発揮して自分に合った仕事や生き方を探す冒険の旅に出ることが出来る様になる。社会の構造を書き換えてこそ、漸く人として、人らしく生きられる。と彼らは言ってます。

資本を拡大させ、資本によってあらゆるものを奪い所有しようとする社会システムから、文化,文明、テクノロジーの発達,成熟の恩恵を分かち合い、人が安心して生きられる、誰も取り残される事なく、人の幸せを中心的な価値に据えた民主主義の社会実装こそが若者に希望を与え、チャレンジに満ちた人生を選択出来る環境をつくる。

それが結果的に人の持つパフォーマンスの最大化に繋がるのは想像に難くありません。

令和デモクラシーを巻き起こせ

学校に行くのをやめた子供達は33万人にも上ります。家に引きこもって社会と関わらなくなった人は45万人とも言われます。

日本の出生数は70万人台に落ち込み、死亡者数はその倍以上。圧倒的な人口減少によって滅びつつあるこの国。

存続の鍵は社会の闇に隠れてしまった人達が出てきて活躍出来る、冒険に出たいと思えるような社会に変革するしか無いように感じてなりません。

この世が素晴らしい、生きるに値する社会だと誰もが思えば自ずと出生数も回復するのだと思います。

本質的な民主化、令和デモクラシーのムーブメントを起こすしかこの国の未来はないのです。
それをどの様にして実現するか、大人達は真剣に考えるべきだし、また急がないとなりません。
教育と事業と社会を同時に変革させる。難しいですが、やり切らなければ日本は滅びるし、私達にはその責任がある事を高校生に突きつけられています。

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本物のキャリア教育を通して持続可能な社会を模索しています。

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