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持続可能性は計画・実行と構造化のシンプルな組み合わせ④〜計画の構造〜

一般社団法人職人起業塾で建築業界の現場実務者向けに研修事業を行っている私は、全国に散らばる卒塾生のフォローアップを兼ねて毎月、本業である株式会社四方継の本社ショールームで無料の勉強会をオンライン併用で開催しています。今回、101回目となる2022年一発目の勉強会では事業における「計画立案」と言うテーマで計画と実行の構造化について伝え、1年間の短期計画と、あるべき未来の姿をイメージ(ビジョン)した中長期計画を併用する重要性と、その関係性について考えて貰いました。以下にわかっているようでなかなか意識できない計画の構造化の概要について書いておきたいと思います。

事業の再定義

何かことを為そうとする際に、計画を立てることの大切さ、その必要性は中学生でも知っています。そして、計画倒れと言う言葉があるように、計画を立てても実行に移さなければ何の価値もないのもご存知の通りです。そのように考えれば、計画と実行とは事業そのもの、事業の実体と言い換えることが出来るかも知れません。今回、勉強会の冒頭では改めて事業の定義を見直して貰いました。以下に転載している辞書を引いて書かれている定義でもまず大前提として「目的」がある事が分かります。計画と実行が事業の主体ではありますが、まず必要なのは明確な目的であり、私たちの言葉で表すと「志」です。

事業の定義

持続性が不可欠

また、継続し、繰り返し行う事も事業の定義として書かれているように、事業には経済的な合理性が不可欠ではありますが、モロ手に泡で瞬間的に大きな儲けを生み出すことではなく、持続可能性があることもまっとうな事業としては欠かせない条件です。そして、世界で最も企業の持続性が高いのは圧倒的に日本型のビジネスモデルだと言われます。江戸時代から脈々と現代まで事業を続けられている事業所は必ずと言っていいほど地域社会で必要とされる、地域に密着したローカル企業がその源流になっています。所謂、三方よしのあり方が誰からもその存在意義を認められ、その在り方から積みあげられた信用と信頼こそが長年にわたって継続できるビジネスモデルを支えていると言われており、最近になって特に日本的商売観が世界中で見直されています。また、目先の収益にとらわれることなく、人を育てることに注力し、人材の育成に時間とお金を使われるのも長く続く企業の特徴の1つです。その要諦は中国の古典、管子にも明確に王の道として書かれています。

管子より

ホールダウン思考

このように事業そのものを細分化と再定義し持続性を高めるべくしっかりとした構造に組み立てるのが私が研修事業でも強く進めている構造化の思考です。全体的な構造がしっかりと倒れないようにするには、まず基礎や土台が強固なものでなければならず、その上に立つ柱が直接基礎と緊結されているべきです。ちなみに、阪神淡路大震災で倒壊した住宅上柱が土台から抜けてしまったことに起因した案件が非常に多くありました。震災後、ホールダウンと呼ばれる基礎と柱を緊結する金物の義務化で住宅の耐震性能は大きく向上しました。
太く、バランスよく配置された柱の上に事業の実態である計画と実行が乗っかって、その先に目標達成や理念の実現が住宅で例えると屋根のように覆い被さる。これが事業の非常にシンプルな成り立ちで構造です。

事業の構造化

ビジョンと習慣

継塾では毎年1月の開催で参加者の皆さんに計画を立てて発表してもらいます。その際、どうしても「今年は〇〇します。」と単年の計画を立ててしまいがちです。決してそれが悪いわけではありませんが、事業全体の構造をしっかりと把握した上で、建築の世界でグランドデザインと言われる全体像を把握した上で計画を立てなければ数年経った後にちぐはぐでまとまりのない事業になってしまいます。特に志を明らかにした上で毎年積み重ねる計画を立てて、日々の実践へと行動の選択を繰り返す(=習慣)ことが目的の具現化の下部にある目標達成にとって重要です。結局、志を以って万事の源となす。松陰先生が言われる通りの結論に帰着すると思うのです。せっかくの1年の節目である1月。事業の構造から逆算した計画を立てて見られはいかがでしょうか。

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事業の構造化から実践までのサポートを研修で行っています。

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