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行き当たりバッチリ思考の是非

昨日の日曜日はかれこれ足掛け2年以上、DIY工事を中心にリノベーションを行っている丹波の古民家にDIYでは難易度の高い未施工で残っていた部分の施工のサポート(というか施工)に行ってきました。私は現場施工の実務から離れて随分経ちますが、一応、元大工と言うことでこの古民家再生プロジェクトではDIYのアドバイザーの役割を担っております。昨年からの新型コロナの影響でDIYイベントの開催もままならず、地元の中心メンバーでコツコツと工事を進められていましたが、来月の緊急事態宣言明けにいよいよ民泊オープンに漕ぎつけることになり、私は乗り掛かった船的な感じでこのところボランティア大工として丹波に通っています。そもそも、このプロジェクトがスタートした時点では、1年くらいで工事を終わらせて、早々に事業を始める予定でしたが、丹波市の助成金不正受給騒動に巻き込まれ、当初予定していた兵庫県からの補助金が受けられなくなり、資金難から殆どの工事をDIYイベント形式で多くの人に参加してもらいながら進めていこうと想定外の方向転換をやむなくされました。そこに昨年からのコロナの蔓延でイベントの開催もままならなくなり今に至ります。
それでも、なんとか民泊、貸しスペース施設としてOPENできるのは多くの人のご協力があったからで、計画が難航し苦労した分、中心メンバーの思い入れも強くなったように感じています。事業をスタートしてみないと結果オーライになるかはまだわかりませんが、元々、潤沢な資金を用意しての計画ではなかったし、身の丈にあった丁寧な運営で持続可能な事業になることを願っています。
計画はあくまで計画であり、環境の変化に応じて変更を余儀なくされるもの。行き当たりばったりでは困りますが、リカバリーさえ出来れば結果はバッチリになることも少なからずあります。最近、出会った経営者の話を聞いていて、これからの時代は計画力よりもリカバリー力の方が大事だと感じたので以下に(丹波の古民家の画像と共に)まとめてみます。

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人生をリカバリーさせる「人」の力

先日、久しぶりに訪れた沖縄で、現地で活躍されている数人の経営者を紹介されて、非常に内容の濃いコミュニケーションの時間を持ちました。ウチナーンチュ(地元沖縄の人)、ないちゃー(内地からの移住者)の両方の経営者さんそれぞれ2名ずつ、計4名の方と様々な話をしましたが、共通して感じた私の印象は(失礼ながら)全員が綿密な計画を立てて事業を遂行して結果を出すタイプではなく、本人さん達も口を揃えていわれていましたし、紹介された際のエピソードを聞くと、まるでマンガか小説の様なドラマティックないきあたりバッチリな人生を送ってきた方々でした。私よりも一回り近く年下の一人の経営者は、若くしてガンを煩い、一時はステージ4まで進行しており、人生のカウントダウンに入っていたとのことですが、毎日熱心に見舞いにこられた友人に笑わせてもらい続けたから(本人談)今ではすっかり良くなって、抗がん剤投与で諦めていた子宝にも恵まれて、現在、沖縄、大阪、東京に事業を展開、海外への進出も視野に入れられる程に活躍されておられます。自ら計画が苦手です、と言われておりましたが、リカバリーする力には自信があるとのこと、さもありなん、です。
もう一人、神戸から移住している社長は神戸から逃げる様に飛び出して、九州旅行をしている時に沖縄に渡ることを思いつき、フェリーの渡航費用も無かったにもかかわらず、その資金をパチンコで稼ぎ、片道切符で沖縄にこられたとのことで、強運の持ち主と紹介されましたが、いまだに溢れかえるエネルギーを感じる経営者でした。その方は無一文で沖縄に来て、神戸の友人からアドバイスとサポートを受けて自営業を開業、持ち前の明るさと勢いでグングンと事業を伸ばしてこられたのだろうと容易に想像がつきました。
二人が声を揃えて口にされたのは、紹介者で私がBNIの同じチャプターでご一緒している香園さんのおかげで人生をリカバリーされたということです。持つべきものは友と言いますが、単なる友達ではなく、自分のことを顧みず、他者への貢献に本気になれるような友達を見つけることなのかも知れません。

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生き方がカッコイイのは計画性ではない

今回、非常にお世話になって、大きな示唆を頂いた唯一私よりも年上のウチナーンチュの先輩経営者は50歳代半ばになった今もサーフィンとゴルフに熱心に打ち込んでおられ、波が上がる満潮に合わせて海に行き、仕事はそれ以外の時間に行うと言われているのが全く違和感なく受け入れられる自由な雰囲気を持ったカリスマでした。サーファーは生き方だと言われますが、まさにそれを実践されている方で、波乗りの際に思いついたアイデアを勢いだけで商品化して店舗展開されておられるとのことでした。現在の社長の夢はどこにいてもその商品が買えるようになることらしく、そう遠くない未来に神戸のコンビニの店頭にも沖縄ぜんざいが並ぶと思います。

工場や事務所、所有するレンタルスタジオ等に案内頂きましたが、私がどの場所を訪れても感じたのは、シンプルにカッコイイ!ということです。それは単に社屋や商品デザイン、Tシャツなどのオリジナルグッズのデザインや見た目がカッコイイのではなく(それもすごくカッコ良かったですが、)生き方がカッコイイというのを強烈に感じられました。経営者が波乗りの素晴らしさを知っていて、仕事よりも優先して熱心に取り組む以上、当然、従業員にも同じようにそれを勧めて、波が上がる時間は仕事をせずに海に来ることを推奨されているとのこと、しかも、そんな自由なスタンスにも関わらず、製造業の現場では機材がピカピカに磨き上げられ、清潔この上ない素晴らしい環境整備がなされているし、もちろん、収益もガッチリあげられているとのことでした。しかも、非常に細かな心配りをされる方で、私達の様な突然の訪問者に対しても、懇切丁寧に、しかも楽しく相手をしてくださいました。経営者としては当然ですが、人間としても憧れる素晴らしい方とご縁を頂けたことを本当に嬉しく、感謝した次第です。人生にしっかりとした軸を持ち、自分と他人を分け隔てすることなく、その価値観を守れる人は、人に好かれ、人が集まり、それが力に変わって結果全てがうまく回るようになるのかも知れません。

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優しいさー、の圧倒的リカバリー力

もう一人のウチナーンチュの経営者は、収益物件を所有して不動産事業の経営者を行いながら、上述のサーファー社長の元で社員としても働いておられるダブルワークの方で、沖縄の人らしい、物腰の柔らかい非常に優しい方でした。若かりし時にサーフィンをしていて海で知り合った社長に拾われた。と言ってましたが、控えめな言動と裏腹に、自分から新規事業の不動産会社の担当者に立候補され、宅建士の免許をとり、自分でも頼りないながらも(本人談)収益物件建設の事業計画を立てて銀行から融資を取り付けてアパート経営を行っているとのことで、自分は何にも出来ないからー、と言いながらもチャンスを見逃さない行動力がある人との印象を受けました。
今回、私達の訪沖の際、同行していた山中くんの意向を汲んで空いた時間を利用して思いつきのノープランのまま沖縄本島南端のヒメユリの塔に行きました。夕方になって帰りのバスがあまりなく、タクシーも走っていないことに気づいてその彼に相談すると「行ってあげるよー」と快く迎えに来てくれて、本当に助かりました。しかも、至って平然とした感じなのかとてもかっこよく、いつも人に対して優しく、親切なのだろうと聞かなくてもわかりました。こんなタイプの人が、綿密な計画を立てずにチャンスに敏感に反応して行動に出た後、周りの人がサポートしてもらえる人なのだろうと思ったのです。いいよー、といつもニコニコ機嫌よく、人の頼みをきける人こそ、周りの人の力を最大限に発揮できる人であり、圧倒的リカバリー力を身につけられるのかも知れません。

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混迷の時代を生き抜く力

ここまで今回沖縄でご紹介頂いた圧倒的にリカバリーの力を持っておられると私が感じた4名の経営者の方のそれぞれのエピソードを書き並べてみて、皆様全員の共通点は何かを考えてみました。まず、人との縁を大切にされている(私たちにも非常に親切によくして下さいました)、次に、仲間へ貢献する気持ちが強い(お互いが助け合ったエピソードが限りなく出てきてました)、明るく面白い(集まるだけで場の空気と勢いが変わってしまうレベル!笑)、そして、沖縄の人の思考の特徴としてよく耳にするなんくるないさーといった楽観的、楽天的な思考とは少し違いますが、いろんな障壁があったとしても乗り越えられる、乗り越えて見せるといった強力なポジティブ思考を全員が持たれており、決して依存した関係ではないのですが、そこに何かあれば、お互いに助け合うことが確約された不文律の様なものを感じました。個々の力とそれを相乗効果させる安心できる場、同じ組織でもなく、血縁がある訳でもないのに、仲間同士が協力しあい、刺激し合い、成長できる土壌を持っているのは何よりも心強く、チャレンジしやすい環境であると共に、思わぬ障壁が出現したとしても力強く乗り越えていけるリカバリー力を高める効果が存在するように感じた次第です。
先行き不透明この上ないVUCAの時代、何年も先まで綿密な計画を立てたところで思うようにことが進むとは限りませんし、5年前と今の環境の違いを鑑みれば、5年後を詳細に予測すること自体、ナンセンスに思えてきます。だからと言って行き当たりばったりのノープランで進むのが決して良いとは思いませんが、行動を起こさなければ何も始まりません。時代に変化を敏感に感じ取り、変化に適応、リカバリーをし続けるしかないと思います。
人と出会い、語り、学び、そして自分にできる貢献を考えて行動する。その蓄積こそが混迷の時代を生き抜く力になると感じさせられた先日の沖縄行でした。ご縁に心から感謝します。深謝。

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新しい時代を切り拓く力を開花させる研修事業やってます!



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