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満足ではなく幸福を。 ソーシャル・カンパニー・フォーラム2011@大阪

昨日は大阪の伝統的建築物、中央公会堂にて経営実践研究会主催のソーシャルビジネスフォーラムが催され、緊急事態宣言が解除されて初の300人規模の会合に足を運びました。一応、手指消毒やマスクの着用、ソーシャルディスタンスに留意されての開催でしたが、リアルに対面で大勢の人と会う事に後ろめたさがなくなった、リスクに対する備えはしつつも、パンデミックでヒステリックな状況からようやく脱した印象を受けました。コロナを機にオンラインのミーティングがすっかり普及して、とても便利になったのは事実ですが、やっぱりコミニケーションはリアルに相手の熱量を感じながらするもので、久々の大人数にまみれて社会システムデザイナーの武井さんの基調講演を始め、会員企業によるソーシャルビジネスのプレゼンテーション、そして豪華ゲストによるパネルディスカッションを聴いているとその場の空気、高揚感に包まれて、オンラインにはない熱に当てられ、志につき動かされて生きていこうとモチベーションを高められました。

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時代の潮目を体感したフォーラム

フォーラム後の懇親会での交流を含め、今回、数多くの素晴らしいお話を聞けたし、私と同じ、もしくは近しい志を掲げた方々とのご縁をたくさん頂きました。そんな中で私が最も心を動かされたのは、「自律分散と共感資本の構築が幸福社会を創る」と題された武井さんの基調講演にこれほど多くの人が理解と共感を持って集まって来られていると自体の事実です。目先の金儲けだけにとらわれず、社会を良くしたいとの高い志を掲げて実業で社会課題を解決しようと結成された経営実践研究会の趣旨をしっかりと理解して強く賛同した経営者が様々な業界から一堂に会し、現在500社超、それも毎日のように新規会員が加入されて加速度的に増殖している様は以前から時代の潮目を感じていましたが、フォーラムでの熱量はこれまでの世界と、これからのそれとではやっぱり完全に違うものになるのだと肌で感じることができました。私も迷うことなく自立循環型のビジネスモデル構築と地域社会へのシフトに邁進していこうと決意を新たにさせられました。

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満足度を目指したのでは幸福にならない。

パネルディスカッションの中で「これからの企業経営は社員満足度を高めることではなく、社員幸福度に基準を置いて経営を行うべきだ。」との話題がありました。満足を目指していては欠点を解消することに終始するばかりで結局、どこまで言っても幸福にたどり着けないのではないか?との問いが示され、そもそも目指す先を見直すべきではないか、とのことでした。幸福論は古来からアランやラッセル等、多くの人が様々な観点から論じていますが、総じて心の平安が幸福の根底にあり、不安の解消はもちろんですが、心の持ち様、世界に対する見方(パラダイム)によって変わるもので、人それぞれだとの結論を導かれているものが多くあります。私は若かりし頃、四六時中ずっと未来に対する不安と焦燥に駆り立てられており、いくらお金を稼いでも、貯蓄をしてもそれらを払拭することができませんでした。今思い起こすと、幸福感を感じることなく生きていた様に思います。それに比して現在はというと、未来に何が起こるか分からないのは同じだとしても、それはそれで私の人生だと納得できそうな気がしています。リスクに目を向け、今取り組めることに集中することで、決して全ての課題が無くなるわけではありませんが、ぼんやりとした不安を感じることが減ったことで幸せを感じる機会が増えたと感じています。幸福を感じるのは状態とパラダイムに拠るのではないかと思っていて、満足という欲求、欲望を満たす行為とは根本的に違う様に思います。

多様性と自立分散と幸福度

幸福度は人によってその基準が違います。このバラバラの基準を受け入れることこそ、フォーラムの基調講演のテーマとして示された「自律分散と共感資本の構築が幸福社会を創る」との概念の最も基礎の部分ではないかと感じました。自立分散とは多様性を受け入れる基盤があってこそ成り立つシステムであり、安心安全な場があってこそ人は依存から抜け出して自分の足で立ってみよう、一歩を踏み出そうと考えるものです。そして、自立(自律)した個がお互いを尊重し、認め合うことから共感資本は生まれます。一極集中、ヒエラルキー型の強欲資本主義から共感資本社会への移行に欠かせない、誰もが持つ才能を発揮させ社会全体をボトムアップさせようとのタレンティズムの考え方も全く同じ、多様性を認めることからスタートしなければなりません。事業の目的を従業員、顧客、取引先、そして地域社会の幸福度(とその多様性)にあると真剣に着目しそこを目指すようにすれば、事業所で掲げる理念はそんなに重要度がないのかも知れないとの思いを巡らせました。ティール型組織では理念も無いとよく耳にしてきてずっとその部分の違和感が拭えませんでしたが、漸くその意味がわかった気がします。理念経営を長年標榜し続けてきた私としては新たなそして大きな気づきとなりました。

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ダイバーシティーが共感を呼ぶ

ダイバーシティーと呼ばれるあらゆる物事への多様性を認め合う企業経営、社会への移行が必要だと言われ始めてから随分と年数が経ちました。2018年になって「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を経産省がまとめて発表したこともあり、最近、改めて見直そうとの機運が高まっています。なかなか世間に浸透してこなかったようにも感じますが、資本主義経済の行き詰まりが顕在化してきた今になって、ようやく本格的に認知が広がってきたように感じています。そもそも、共感型社会とは排他主義、分断と逆の方向性であり、多様性を広く認めるのはすなわち共感の輪を広げることに直結します。意識や観念だけではなかなか社会は変わりませんが、本質に経済が結びついてこそ、社会の変革が進むのだと思います。長年私が夢見てきた自律分散、循環型社会の足音が少しずつ聞こえてきたような気がします。誰しもがワクワクする未来の形が少しずつ見えてきました。今後、経営実践研究会と高い志を掲げるメンバーの影響の輪がさらに広がるのが本当に楽しみです。

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タレンティズムを体現する研修事業やってます。



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