見出し画像

認めたくない事実を知るべし

久しぶりに北海道を訪れました。今回のメニューはスープカレーにラムしゃぶに朝市の海鮮丼に味噌ラーメン。と、グルメツアーの様相を呈しておりましたが、もちろん美味しいものはついで、目的はそんなことではありません。社長大学なる経営者の為の学びの場をを運営される大先輩の経営者に直接お会いしてお話を伺いに足を運びました。

オンラインでは感じられない価値

コロナ以後、オンラインでのコミュニケーションがすっかり定着し、場所と時間を問わずにPCの画面上で顔を合わして話すことが出来るようになりました。今回、札幌まで会いに行った山内社長とも数人が集まり、zoomを使ったオンラインmtgで2度ほど話す機会がありましたが、どうも上滑りしてお互いに真意が伝わらないというか、若干探り合いが見え隠れする感じのやりとりになっていると感じて、これは何度繰り返してもコミュニケーションにならないと思い、思い切って弾丸で北海道まで飛ぶことにしました。
実際、行ってみて、会ってみて伝わることってたくさんあると言うか、お互いを理解するにはオンラインの画面上では足りないことがあるものだと痛切に感じました。ちょっとした違和感を拾い上げて行動に移して見て良かったと強く思いました。

経営者の資質とは

様々な事業に携わり、事業再生のコンサルタントとして活躍されていた山内氏は私よりもかなり年上の経営者で、これまでの経営者としての長年の経験から、社長が持つべきスキルを備えていない経営者があまりにも多いことに気づき、新たに社長大学なる経営者が学ぶ研修事業を立ち上げられました。実際にお会いしてみると、年齢よりもずっと若々しく、弾丸トークとほとばしるエネルギーに圧倒されました。
そんな山内氏に私が最も聴きたかったのは、社長が身につけるべきスキルは何か?との問いでした。同氏はその答えを「ビジネスモデルが組み立てられるかだ。」と非常にシンプルかつ本質的に返してくださり、そのための切り口まで丁寧に説明、経営者としての在り方を示唆くださいました。

まず、不都合な事実に向き合うこと

長いインタビュー的なmtgの中で私が最もずしりと胸に響いたのは、「不都合な真実に向き合う姿勢」です。事業再生や業績改善のコンサルティングの現場でまず行うのは徹底した効果測定で、通常では考えられないほどの費用と時間をかけて、真の顧客の声、インサイトのリサーチを行うとのことで、私が5年間もの時間をかけて学んだUXデザインの基本であり、要諦の観察調査、分析、概念化の流れを肌感覚で体得して、UXという言葉、もしくは概念が一般的に知られるずっと以前からそれを実践されていたのに驚かされました。ただ、山内氏の場合は新たにユーザーの体験をデザインすると言うよりも現在の事業の潜在的な問題点を探る、浮き上がらせるのに、経営者は見たくない不都合な事実に目を向ける勇気と誠実さを持つべきだと在り方を正す原理原則を説かれておられました。

知ってても出来ないマーケティングの基本

新しくビジネスモデルを作り上げる、もしくは既存の事業を再構築するには、自社の商品やサービスが生み出す顧客接点を強化するのはマーケティングの基本です。そこで圧倒的な評価を受けて、顧客との信頼関係を結ぶことで、リピートや紹介など、質の高いオファーを受けられる様になることで安定的な売り上げ、利益をあげることが出来るようになる。それが事業の基盤となり、更に新規顧客の流入を促せるように他者が行っていない問題解決(イノベーション)を実装することができれば事業の持続可能性は高まります。こんな当たり前の理屈は学ぶまでもなく経営者なら誰もが知っているし、感じることではありますが、それが実際のビジネスで実践できているかと言うと甚だ疑問で、どちらかと言う分かっちゃいるけど出来ていない状況の事業所の方が多い様にも感じます。

第3の目を持つ意義

人は元来、見たいものしか見ない。と言ったのはローマ帝国のカエサル。確証バイアスとも言いますが、潜在的な課題を知り、根本的な問題解決へ向かうには、まず、こうであって欲しいとの希望的観測と楽観主義による思い込みを捨てるところから始まります。厄介なことに、見たくない事実に向き合うには認知していない問題、存在を認めていないものの存在に気づかねばなりません。しかし、残念なことに自分自身のパラダイムの中で存在していないものの存在に気づくことはありません。以前の私はコンサルティングという仕事に対して非常に懐疑的な印象を持っていました。それは建設業界のコンサルティング会社が、他者事例を紹介し、安直に導入を促す非常に薄っぺらいサービスを提供するのを見続けて来たからですが、最近になって外部からの視点に耳を傾ける必要性とその重要性に気づき、コンサルタントの存在意義を見直す様になっておりましたが、山内氏の話を伺ってそれを明確に再認識しました。

ローリング・ストーンズ

今回、北海道まで足を運び、大先輩の経営者の話を伺って感じたのは、結局、経営者に最も必要な資質は誠実さであり、常に自分の認知の外にインサイトがあるのだと慎重で謙虚な姿勢を保つことであるとの、結局在り方が事業全ての根本だのインサイトです。この様に言葉にしてしまうと陳腐ですし、目新しいことも無いし、これまでも同じ気づきは何度もありました。しかし。豊富な経験に基づいたリアリティーのある話を生で聞かせてもらえたことで改めて腹に落ちた様に思います。
世の中は広く、凄い人はごまんといる。そして、本当に必要な情報は実際に人に出会い、言葉を耳から入れるだけではなく、五感で感じるものなのだと改めて認識し直しました。澱んだ水は腐る。経営者としての資質を保つべく、動き、人に会い、耳を傾けるのをまだまだ続けて行かなければならぬのだとエンジンをかけ直すとても良い示唆を頂くことができました。
社長大学の山内学長、そして今回、類稀な機会を作って下さった森田師匠、また急遽札幌に集まって下さった経営実践研究会の北海道メンバーに心から感謝いたします。ありがとうございました。

_______________

在り方から見直すことで現場での価値を圧倒的に増大させる建築実務者向けの研修を行っています。

5.25は熊本にて職人育成の通信制高校、マイスター高等学院の事業参入の説明会を開催します。若干席もある様なので、ご興味のある方はお声がけください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?