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継続すること自体に意味はあるか?

習慣の力は人生を大きく変えると言われます。人が手にしたいと思うあらゆる成果は状態に由来して、状態は習慣によって整えることができます。20数年前、中卒の大工上がりの経営者として起業した私は、金も学もコネもなく、まさに徒手空拳でした。何のリソースも持たない私は、とにかく決めたことをコツコツと積み重ねる習慣を持つことによって、これまで何とか人生を切り開いてきました。他に何の強みもなかったからではありますが、今振り返って考えると習慣を持ち、ブラッシュアップしながら継続する事は凄い効果性を発揮するものだと思わずにはいられません。そんな自分自身の経験則から、継続すること、一度始めた事をやめられないきらいがあり、その執着の強さに自分でも疑問を感じることが少なからずあります。

止められない。

昔、とある経営者仲間に「高橋さんは継続する力は凄いけど、逆に止められないのが難点だよね、」と言われたことがあります。当たり前のことを当たり前に積み重ねて、予定通りの成果を生み出すことしか、なすすべを持っていなかった私は、継続することへの執着が強すぎて、習慣にがんじがらめになって、傍目から見ると身動きが取れないように見えていたのかもしれません。人が持つ時間は1日24時間、1年365日と決まっており、目の前の仕事を片付ける忙しい毎日を過ごしながら、読書や勉強、筋トレやランニングなどの体力づくり、茶道や書道のお稽古や毎日のブログ更新での情報発信など、緊急性の低い重要な事に焦点を合わせた習慣を増やしていくとどこかで歪みが出てきます。私の場合、睡眠時間を削ることで何とかバランスをとってきましたが、それも所詮限界があります。どこかで優先順位を整理して取捨選択をしなければならないのは当然ですが、それがなかなかできずにいましたし、50代半ばになった今でも、習慣は増え続ける一方です。(苦笑)

微力を積み重ねる圧倒的な破壊力

習慣は状態を整えるための手段であり、決してそれ自体が目的にはなりえません。なので、執着するべきは手に入れる成果であり、継続すること自体には大した価値や意味は無いはずです。しかし、毎日少しずつ積み重ねる習慣の破壊力は決して瞬発的なものではなく、長い時間を経てようやく発揮されるもので、短期的な視点で成果を計測すること自体がナンセンスです。これが私に習慣を止める決断を鈍らせる主たる理由です。そして、微力を積み重ねて毎日の変化としては見えない程度の少しずつの成長は、複利計算で二次関数的な成長をもたらします。毎日の習慣を持って1日に1000分の1だけの成長を積み重ねると、1年で約1.4倍、3年で3倍、5年で5.8倍、10年経つとなんと38倍もの自分に成長できることになります。ブレイクポイントを迎えるまでの期間に習慣を途切れさせるのは本当にもったいないもので、それを身をもって体験しているだけに、止める勇気をなかなか持つことができない自分がいます。

続けてきて良かったと思ったこと。

今日たまたま、嬉しい出来事が重なりました。どちらも私が代表を務めて、細々と活動を続けている地元木材活用の啓蒙団体「ひょうご木づかい王国学校」関連で、1つは兵庫県の神戸農林振興事務所の方が来社され、来年の予算で私たちの活動に支援できるようにしたいとのお申し出を貰いました。もともと、兵庫県林務課が創設した木材利用の啓蒙施設を私たちが引き継いだこの活動ですが、これまでの4年間全く何の支援もないまま、活動を続けてきましたが、継続してきた事を認めていただいたようで、来年以降の活動を加速することができそうです。もう一つは、ひょうご木づかい王国学校に問い合わせがあり、この週末に開催する木工教室に参加されることになった小学生の女の子と電話で話したら、昔、ハーバーランドの施設で我々が行っていた木づかい王国の木工ワークショップに参加して、楽しかったことを覚えていて今回問い合わせをしたとの事でした。ハーバーランドの施設は無くなったけど、今もひょうご木づかい王国学校があってよかったですと言ってもらい、嬉しい気分を味わせてもらいました。継続することの意味を感じた瞬間でした。

能動的な習慣に無駄などない。

本来、目的を達成する、成果を手に入れるための習慣や活動の継続であるはずですが、今日の木育の啓蒙活動団体関連の出来事は、明確な目標やゴール設定がなくても、活動を継続する、事業を存続し続けること自体が意味や価値を持つこともあるのだと感じる出来事でした。ちなみに、上にアップロードした前衛書道の「実践」と書いている作品は、私の毎日展に出品し、入選した私の作品です。これも、何の目標もないまま10年以上も書道を続けてきたからこそいただいたご縁であり、出口なき習慣、目に見えた成果はなくとも継続することで思わぬ実力を身に付ける事もあり、能動的に使った時間は何一つ無駄にはならないと感じた次第です。やっぱり、続けること自体に意味はあると思うのです。

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