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総合格闘家の志 #社会課題解決ビジネス研究

2か月前にひょんなご縁を頂いて、私が新たに入会したのは全国各地で凄い勢いで会員が増え続けている経営実践研究会なる経営者が集う勉強会です。この団体は本業で社会課題を解決するのだとの高い志を持った、そして敏感に時代の大きな変化の潮目を感じている経営者の受け皿となっている様で、会に参加する度に新たに知り合うメンバーの方々との出会いは非常に刺激的で面白く、とても勉強になります。今回参加してきた福岡の月次定例会では未来創造企業の認定を受けている総合格闘技の元チャンピオンでジムの経営を幅広く展開されている一般社団法人日本キックボクシングフィットネス協会代表理事の池本誠知氏が大阪から出張られ、講演を拝聴する事が出来ました。その内容はさすがは未来創造企業に認定されただけのことがあると感心すると共に大きな感銘を受けました。

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セカンドキャリアが無いことこそ社会課題

池本社長は子供の頃にプロレスを見てこんなに人に感動を与える仕事があるのかと大いに心を揺すぶられて格闘技の世界にのめり込んだとのことでした。しかし、夢に描いたプロ格闘家になってもなかなか思うように稼げない格闘技業界の金銭的な厳しさと、激しい運動で体力をすり減らし、怪我と戦い続けなければならない過酷な世界ではフィーを稼げるトップクラスを維持したまま現役生活で長く活躍することは難しい現実がそこにはあったとのことで、池本社長はご自身が世界チャンピオンに上り詰めた後に引退後の選手のセカンドキャリアを作り上げれるようにとキックボクシングのトレーニングジムの多店舗展開を行われています。今回、初めて池本社長の講演を拝聴して、格闘家とは思えない経営センスの素晴らしさと、志の高さには心が震えました。私の素人考えでは、チャンピオンベルトを手にして頂点に上り詰めた格闘家は次世代を担う選手の育成に取り組むものだと勝手に思い込んでいました。池本社長が行われているのはそうではなく、プロを目指す選手にしっかりと稼げる職場を提供し、また現役を引退した選手も自分の才能を活かしながら安心して働ける、そして望めば独立起業して経営者になれる道を指し示されており、まさにセカンドキャリアを作られています。H Pはこちら→https://kick-style.com(アイキャッチ共に同HPから拝借しました)

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格闘家のイノベーション

具体的には選手を育てるだけのジムではなく、一般の人に対してエクササイズとしてキックボクシングを教えることで、安定的な収益を上げられる様なビジネスモデルを作られて、格闘技に魅了された若者がそのインストラクターやジムの経営者になることで稼げる仕組みを組み立てられています。特に、女性の後ろ姿を美しくするためのエクササイズ、美尻を手に入れるエクササイズに特化されて、キックボクシングに新たな付加価値を作られたこと、また、汗臭い男の世界のイメージがつきまとうジムの内外装やロゴもアメリカの西海岸を彷彿とさせる様なスタイリッシュなデザインを採用されていることで、格闘技への概念を大きく変えておられます。当然、SNSやYouTubeチャンネルなどのオウンドメディアでのプロモーションやプレスリリースなどもしっかりと行われていて、その全体像はまさにイノベーションと呼ぶに相応しい素晴らしい取り組みです。そして、私が心を震わせたのは、その様なこれまでの概念をひっくり返すような斬新な取り組みの数々で格闘家になりたいと門戸を叩く若者達が夢を追いかけることができる環境を整えておられること、たとえチャンピオンになってもおいそれと一生食べれるくらいのビックマネーを手にすることが出来ない格闘技業界で格闘技が好きな若者が彼らの才能を遺憾無く発揮してずっと働ける場所を作られていること、そしてそれが女性の美しさや壮年層、老人の健康促進に寄与して社会的価値を生み出しているビジネスモデルを下支えしている志の高さです。

タレンティズムの実装

ある程度のランキングまで上り詰めたプロ格闘家はいわばスターでありタレントです。しかし、実際に格闘技だけで飯が食えるのはほんのひと握りなのが現実です。そんな厳しい世界に憧れて飛び込んで来る若者は4年制の大学の課程を終了していることはまずなく、夢破れて格闘技で生活を成り立たせれない場合に選ぶ次のキャリアが非常に厳しいものがあります。池本社長の事業はそんな若者達の才能を効果的に活かすことで、市場のニーズを汲み取り、社会課題の解決を行っておられます。これこそが、逆転のパラダイムになったVUCA(不安定、不透明、複雑、曖昧)な世界に見事に適応したタレンティズム(才能主義)の実装であり、ボトムアップ理論の体現に他なりません。私が20年以上にわたって長年取り組んでいる大工の育成を通して顧客の信頼を勝ち取ることで継続してきた工務店経営と根幹の部分で非常に重なる部分が多く、甚く共感した次第です。人は誰しも才能を持っていて、それは学校の勉強がよく出来るとか、試験勉強に長けている、頭の回転が早い、コミュニケーションのスキルが高いなどだけではなく、ケンカが強い、打たれ強い、体力がある、厳しい環境に耐えることができる等々、その特徴を適材適所で配置することができれば大きな価値を生み出します。池本誠知氏の優しくも力のこもった語り口はそんな原理原則を思い出させてくれて、強く背中を押して頂けた様な感覚さえありました。この世の中には凄い人がたくさんいるものだと思うと共に、そんな方々と出会えるご縁を頂けたことに心から感謝するばかりです。今回お世話になった皆様、ありがとうございました。深謝。

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タレンティズムの発現をサポートする研修事業を行なっています。



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