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言葉を噛み砕き、噛み締めるコンセンサスとコンテキスト #DXO UNIT01

私が経営者として大切にしている仕事の1つにスタッフとの対話があります。全員で20人にも満たないような規模の会社だからこそできることだと思っていて、四半期に1度全スタッフと1時間程度の対話の時間を持つようにしています。その他にも、大工チーム、設計チームそれぞれ次に各2回のmtg、事業承継チームとのワークショップ形式の会議、リーダー数名とのハーフコーチングの1to1セッションと社内における私の仕事はスタッフの声に耳を傾ける、アドバイスをすることがほとんどだと言っても過言ではありません。

言葉で作るコンセンサスの難しさ

こんなことを15年以上は続けてきて今更思うのは言葉でのコミュニケーションはやっぱり難しいと言うことです。人は忘れると言う能力を持っているからこそ生きていけると言います。すべてのことを覚えていては気が狂ってしまうから、との理由らしいですが、その能力の使い方は人によって様々な上に言葉の受け取り方は人それぞれで耳で聞いて受け答えをしているからといって心に響いているとは限らず、その様なコミニケーションをしていたのでは話し合ったと思っている言葉も右から左へ一瞬にして抜けていってしまいます。片方が言ったつもりになっていても、聴き手が納得していなければ話し合った時間は単なる無駄な時間になってしまいます。1to1のセッションをしていても起こるこの現象は複数人で行う会議ではより頻繁に起こります。

ランチmtg

意味も意義もない理念・ビジョン

事業に限らず、組織を運営するにあたり存在理由や存在意義などのコンテクスト(文脈・脈絡・背景)の共有と見える化は非常に重要で、同じ目的、同じ方向性を明らかにして活動するにはコンテクストの明文化が欠かせません。いわゆる理念やビジョンといった言葉で表されるのが一般的ですが、トップダウンで落としたそれらの言葉は響かないばかりか立派な額に入れたお飾りのように形骸化してしまいがちで、それでは全く何の意味もありません。本来あらゆる事業や業務、活動の判断基準となるべきコンテクストが存在しないのと同じになってしまいます。人は本来忘れっぽい生き物で、言葉を胸に刻みこみ、如何なる時も忘れることなくずっと思い続けるのは簡単なことでは無いのです。

消えてしまう想いと言葉

現在、私が代表を務めている株式会社四方継では5年後の事業承継に向けてリーダーシップチームとのコミニケーションを重ねて組織変容のプロジェクトを進めています。自立循環型の新しい組織に生まれ変わるにあたり、当然コンテクストを見直す必要があり、メンバーから仕事の上で大事にしていることや、働く目的は何か?等の根本的な設問を問いかけて言葉を集めるWSを行っています。この作業を行うにあたって改めて気付かされたのは、3年前に行ったリブランディング(事業再構築)の際にも同じプロセスを重ねた(つもり)にもかかわらず、それを誰も明確に覚えていないという事実です。会議やWSを行った覚えはあっても、主体的に参加していない、自分の言葉で発言していない、まとまった意見や決定事項の反復確認を行っていないと言葉や想いを集めた筈のせっかく費やした時間は意味を持たなくなってしまうのだと改めて知らされました。

丁寧にしてこそのコンセンサス

3年前のリブランディングの際は1年間という限られた時間内でコンテキストの見直しだけではなく事業ドメイン自体を変更すべく、これまでの20年間行ってきた建築の事業を見直し、新しい事業を立ち上げる、社名を変更するなど、盛り沢山のタスクを抱えて厳しいスケジュールだったこともあり、丁寧さに欠けていたのだと反省することしきりです。そんな経験を踏まえて今回は一つずつ丁寧にコンセンサスを取りながら進めて行きたいと考えて、自然経営研究会で知り合った、経営実践研究会のアドバイザーでもある武井さんがオープンソースとして配布されているDXOなるテキストを参考にさせてもらっています。組織の前提条件である関係性の土台を構築するUNIT00の次にUNIT 01では初めにコンテキストを明らかにするステップが設定されており、プロジェクトメンバーを中心にして現在そこに取り組みを始めました。DXOでそのプロセスで重要事項として書かれていたのは「2循環の法則」です。

DXO ユニット01より


「2循環の法則」

組織を構成するメンバー全員が納得しコミット出来るようなコンテキストを明らかにすべく、メンバー全員から言葉を集めてそれを編むのは簡単ではありません。多くの言葉を羅列する訳にはいかないのは当然ですが、集約、編纂の段階で切り捨てることは無いにしても言葉をまとめたり変えることになり、その時点で言葉を発した本人の手から離れてしまいます。そこで興味を失ったり、他人事になってしまわない様に編纂・集約したコンテキストをメンバーに戻す作業を2回繰り返すべき=「2循環の法則」が組織文化を明らかにして共有するには重要なプロセスだとDXOに書かれてありました。これには自分自身の苦い経験もあり、甚く納得した次第です。また、2回循環する際に、図にあるような人数の軸と時間の軸の2つの軸で咀嚼するべきとの理論は特に秀逸で新しい組織へと変化変容を目指すにも組織の歴史や創業の想い、また長年共に働いてきたメンバーが感じてきたことが少しでも反映されるのはまさに組織の文脈として欠かせないと思いました。重要な事ほど、決定の前のコンセンサスは丁寧に、何度も循環させるべきなのだと思います。

DXO ユニット01より

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四方良しの世界の実現が現在のコンテキストです。


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