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持続可能性は計画・実行と構造化のシンプルな組み合わせ③ 〜計画こそが構造化の入り口〜

令和4年、新しい年を迎えておめでとうございますの声もそろそろ収まり、忙しい日常の生活がスタートしました。昨年、新型コロナのワクチンが先進国の間では普及してようやく停滞していた経済も復興の兆しが見えたと思いきや、コロナウィルスは変異を繰り返し、初期段階で開発されたワクチンでは太刀打ちできないことが明らかになるとともに、治験中のワクチンを世界中で接種しまくったことの問題点が次々と明らかになってきて、日本も世界中もますます混迷を深めています。全く先の見えない不透明で不安定、複雑、曖昧なこの時代、一体何を信じるべきなのか本当に悩んでしまいます。今までの価値観がひっくり返り、ありえないことが次々と起こるそんな時代に求められるのは「この構造なら続いていく」と信じられる確かな構造化による持続性ではないかと思います。今年に入って、持続性は構造化が担保するとの気づきから、その概論を具体的な事例を織り交ぜながら数回に分けて書き綴っています。今日はその3回目、計画と構造化の関係について書き進めます。
以前の記事はこちら、

事業の構造化

以前のnoteにも書きましたが、私は元大工の建築業を営む経営者で、もともと何かにつけて構造化する考え方が体に染み込んでおり、なんのリソースもない状態で起業してからの20数年に渡り事業を持続出来る様にと構造化にひたすら取り組んできました。ただ、初めから「構造化」という概念を意識していたわけではなくて、建築的(建設的)思考から基礎や土台をしっかりしなければすべて足元から崩れてしまうとのごく当たり前の感覚によるものです。そんな私が「構造化」について明確に意識を持ったのは、現在編纂を進めている株式会社四方継の知的資産経営報告書を作成するプロセスからです。

計画の構造化

先日、兵庫県行政書士会の知的資産経営推進チームの方々とのmtgのあと、社内での取り組みの調査の一環で事業継承を行っているリーダーシップメンバーとの会議に行政書士の方々もオブザーバーとして残られました。事業承継チームとの会議では今年のテーマ「計画と実行」を確実に行う、いわば事業を「回す」マネジメントの部分に重点的に取り組んでおり、今期受注見込みのすべての案件の設計プランニング、契約、各種申請手続き、施工を年間通してすべての工程の見える化と共有、進捗確認を確実に行うことに注力しています。mtgではとにかく計画の細分化にこだわり、いつ、どこで、誰が、何を、どのように行うのかを個々の現場担当者が計画を組み上げ、それを一元化して全員が把握できるように詳細な予定表を作って運用を進めています。その会議後に知的資産チームの先生から「事業の構造化、構造資産になっているものは他にありますか?」と質問されました。

構造化とは仕組みづくり

そんな疑問を受けてハッと気づいたのですが、持続可能な自立循環型ビジネスモデルを標榜してきた私たちはありとあらゆる業務を構造化して足元から崩れないようにブラッシュアップを続けてきました。例えば、採用は大工は新卒、設計は中途採用を行っていますが、試行錯誤を繰り返し必要なタイミングで必要な人材の採用ができるような仕組みを作っています。大工の人材育成については社内研修や社外研修OJTとOff ~JTを組み合わせてのカリキュラムがありますし、設計のプロセスには顧客が気づいていない課題を導き出せるようにワークショップを組み込んでいたり、詳細な資金計画を作成するサポートを行うなどの「暮らしづくりの流れ」として構造化しています。その際たるものが年間通しての事業を計画通りに推し進める全体の詳細なスケジュールの共有と各担当によるセルフチェックと自己運用です。要するに構造化とは持続性を担保する仕組みづくりなのです。

運用が全て

上述したように1年間に行う業務の予定を全て詳細に計画し、定期的に確認、修正しながら運用するのが上手くいくと、1年間の事業計画が計画通りに進むことになります。もちろん、突発的な工事の依頼もありますし、外部環境に影響されて予定の変更を余儀なくされる事もありますので、年頭に作成したスケジュール通りに1年間全く何事もなく事業が進むことはありません。しかし、その前提の上で計画のこまめな確認と修正を繰り返しながら事業計画を進める事が非常に重要で曖昧な計画、行き当たりばったりの運用ではせっかく立てた受注計画も意味を成さなくなりますし、クライアントにご迷惑を掛ける事にも繋がりかねません。実は構造化とは仕組みを作るだけではなく運用が全てなのです。

構造化の入り口

規模の大小を問わず全ての事業は計画と実行に集約されます。言い方を変えれば目的と計画があるからこそ、事業と呼べるとも言えます。事業を積み重ねて目的に近づく、それを持続させるのが事業所の存在意義だとすれば、計画と実行こそが事業の主体です。そのように考えれば事業の構造化とはまずはじめに計画ありきでそれもトップダウンで無理な、もしくは根拠の無い計画を押し付けるのではなく、実務に関わる者達が全員、主体性を持って実現可能な範囲で最高のパフォーマンスを発揮出来る様に自らの行動を計画し、実行する事が出来れば、その集約こそが事業の構造化に繋がると思うのです。ボトムアップ式で細部に渡って綿密に検討されたリアリティのある実現可能な計画とその運営こそ事業運営の肝であり、持続可能性を高める構造化の入り口だと思うのです。

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研修事業を通してボトムアップで構造化する現場実務者を育てています。

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