見出し画像

マーケティング・マネジメントの聖地巡礼での再確認②

昨日のnoteにはマーケティングやマネジメントの根本は人としての在り方が要諦となっており、それを実践し、圧倒的な成果に結びつけた上杉鷹山公が祀られている米沢こそが聖地だと、私の持論を書きました。今回、聖地を訪れたいい機会なので、引き続き鷹山公が示され、実践し、圧倒的な成果に結びつけた概念について紐解いておきたいと思います。昨日の記事はこちら。

人は身近すぎる人の有り難さ、偉大さに気付かない

「親孝行したい時には親は無し」と昔から言われます。身近過ぎると親の深い愛情など有り難さに気付かないのは人の常。今回、米沢に行って、職人育成プロジェクトの事業説明をする中で、先行投資を伴う人材育成には、その費用を賄うマネタイズの仕組みが必要であること、職人育成とセットで私が長年マーケティング・マネジメントを学んできて、その源流が上杉鷹山公が破綻寸前の藩を再建した功績あるとの説明を付加しました。私が米沢を聖地だと崇める所以です。と熱く語りましたが、残念ながら米沢の人達は上杉神社が身近にあり過ぎて、改めて鷹山公に深く学び、示された概念を実践に落とし込む意識はそんなに強く持たれていない様にも感じました。ただ、子供の頃から上杉家の成り立ちやその変遷を繰り返し耳にしているだけに意識せずとも鷹山公の行いや思想が思考の中に浸透しているのかも知れないとも思いました。とても良い経営者が多いのを感じたのです。

伝国の辞の凄み

なせばなる、なさねばならぬ何事も・・・の至言はあまりにも有名ですが私が上杉鷹山公が示された概念で最も重要かつ重い意味があったと考えているのが「伝国の辞」です。

伝国の辞

ヒエラルキー型社会の最たる封建社会、士農工商の身分制度が敷かれていた無礼者は切り捨て御免の時代に、領主であるお殿様が自分のために国や人民があるのではなく、国家人民のために領主はいるのだと宣言し、次世代の当主にそれを受け継いだのは驚くべき功績だと思います。マーケティング・マネジメントの根本は在り方であると言うのが私が20年間学び続けてきて見出したインサイトですが、伝国の辞こそ在り方から経済を立て直し、冨民の理想を実現した米沢藩の奇跡の原動力だと思うのです。私も上杉鷹山公に倣い、「伝社の辞」として、事業所を取りまとめ、牽引していくリーダーの在り方を「自身が機関となって全体最適を目指すべき」との方向性を示しました。決して簡単ではありませんが、この思想を血肉に取り入れ、実践出来ればあらゆる組織は確実に活性化すると思っています。

上杉鷹山の経営学

私が主宰する建築実務者向けのビジネススクール「職人起業塾」の講座の中でも「上杉鷹山の経済学」についてしっかりと時間をとって講義をしています。そこで重点を置いて紹介しているのは、鷹山公はまず、改革がうまくいかない理由を詳らかにして、その上で重要な概念を示し、ご家来衆や領民から広く理解を得た上で具体的な計画の実行に取り掛かったプロセスです。
幕府が行ってきた将軍吉宗公による享保の改革、田沼意次の重商主義、松平定信の寛政の改革とどれも根本的な問題解決に繋がらず、改革は失敗し続けたと断じました。その上で鷹山公は世の中がよくならない6つの理由を挙げてそれを改善するには、①心の壁、②情報の壁、③物理的な壁の3つの壁を取り除くべきとの方向を示されました。詳しくは斎藤洋三氏のサイトをどうぞ。

https://www.slideshare.net/yuzosaito919/ss-28136479

愛と信頼が経世済民を叶える

藩内の軋轢を乗り越え自らは倹約に務めて部下にもそれを広く倣わせる。そして人と人を遮る壁を取り去ることで領内の人の心と行動を通じ合わせ、国中の人を一丸にまとめ同じ方向に向かわせる。
その先にあるのが富民という皆が豊かに暮らせる社会だと広く知らしめることで田畑を開拓し産業を振興して財政破綻寸前の米沢藩を再興した鷹山公の取り組みは愛と信頼をベースに経済的な価値を生み出せることを証明しました。これは強欲資本主義に翻弄され格差と分断が加速する現代にこそ学び見習う非常に重要な概念であり実践例です。経済の語源は経世済民であると、私達経営者は今一度、明確に認識すべきだと思うのです。

雪に埋もれていた「民の父母」の石碑

在り方の重要性の確認作業

米沢に到着後、直ぐに参拝に行った上杉神社を後にした後、鷹山公の銅像の向かい側にあったはずの石碑が雪で埋もれて見えなくなってしまっているのを思い出して2日目の朝、帰神する前に上杉神社に立ち寄って雪かきをしました。「民の父母」と「伝国の辞」の2つの石碑をスコップをお借りして雪の中から救い出し見える様にしておきました。豪雪地帯の米沢では1日に50センチもの積雪があるのも珍しくないとの事なので致し方無いのかも知れませんが、マーケティング・マネジメントの聖地にある鷹山公の「在り方」を示す象徴的な石碑が雪で埋もれてしまっているのは、私にとっては残念過ぎる現象でした。何日間見える状態を保てるかは分かりませんが、在り方が経済を社会を変えるのだと私の中では大いに再確認する事が出来ました。米沢の地に足を運ぶきっかけを下さった経営実践研究会のメンバーの皆様には心から感謝します。ありがとうございました。

雪に埋もれていた「伝国の辞」

検知器実務者に在り方を考える機会を研修で与えています。繋がってください!






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?