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時代の変化に適応するピボット思考

昨日のnoteでは、VUCA化された今の世界では予測できない未来に対して中長期の綿密な計画を立てるよりも、変化に対応して柔軟にリカバリーする力を養う事の方がずっと必要ではないか。と書きました。道から外れた際にリカバリーする力を身につけるには自分が持っているリソースだけではなく、周りにサポートしてもらえる様に協力しあい助け合いるコミュニティーを形成するコミニケーションが必要で、人と人とのご縁を大切に紡ぐことで困難な障壁も乗り越えられる可能性が高くなり、先行き不透明な時代でも一歩を踏み出せる原動力になるのでは、との仮説を沖縄で知り合った4人の経営者さんとのエピソードを元に立ててみました。今日はもう少し踏み込んで大きく変化する時代の荒波に適応する力について書いてみたいと思います。

チャンスとピンチ

新型コロナの影響は事業者にとっては計り知れない脅威となっています。今まで莫大な収益を上げ続けていたJRを始めとする電鉄事業、航空会社、ホテル事業をされている大企業でさえ、目も当てられないような欠損を計上した決算を発表されています。逆に、amazonを筆頭に巣ごもり事業を取り込んだIT系の会社や、宅配事業者等は好調に業績をあげられており、業態によってくっきりと明暗が分かれた形です。建築業界では専門としている業種によって大きく格差が広がっているのが現状で、新築やリフォーム、リノベーション、店舗や施設の工事など、一概に建築業と言っても非常に専門が細分化されており、特化した業態間で大きな差が生まれています。時代の変化を追い風にすれば大きな成長が見込め、逆風となれば事業の存続さえも危ぶまれる状況になってしまうのは誰もが感じておられるのではないでしょうか。
世の中の大きな潮流と、マーケットを形成する人々の意識の変化を敏感に感じ取り、先手をとって布石を置くことができれば、多くのチャンスが巡ってくるし、後手に回って対処に引きずり回されると、目先のことしか見えなくなり、大局を見誤り未来へのアプローチを見失ってしまいかねません。先行きが見通せない複雑怪奇なこの時代、一体どのようにすれば良いのか?と頭を抱えられている方もおられると思います。その問いに対する答えは、古から変わらず引き継がれてきた原理原則への回帰にあるのではないかと私は思っています。

スラムダンク

状態管理とピボット

20年もの長い期間に渡り原理原則論を繰り返し学び、それを実際の事業に実装する勉強会を主催している私が、最も深くコミットメントしてきた当たり前の理屈は、「あらゆる結果(成果)はすべて状態に由来する」と言う状態管理論です。もちろん、人生を生きていると稀に実力以上の結果を手にしたり、まぐれ当たりのホームランがあったりしますが、それらは何度も繰り返し再現できるものではなく、平素からの習慣で高いパフォーマンスを出せる状態を整えておく事が必要なのは誰もが理解されているところだと思います。この基本を守った上で、なお且つ、急激な時代の変化に柔軟に対応するにはしっかりと軸足を決めて軽快にピボットするべきでは無いか思うのです。
ピボットとは、辞書で引くと“旋回軸”と初めに出てきますが、一般的に認知されているのはバスケットボールやハンドボールで片足を軸にボールをガードしながら回転運動をするアレだと思います。ピボットすることで敵の攻撃を防御し、また切り込むタイミングを図ったり、きっかけを掴んで相手方に攻撃を仕掛けたりできます。また、片足を固定していても、もう片方の足が自由なら倒れる事はありませんが、両足を固定するとちょっとしたプレッシャーですぐに倒れてしまうことを考えても、ピボットはオフェンスにもディフェンスにも非常に効果的な技法といえます。

スラムダンク

現場主義と言う軸

ピボットを踏んで回転運動をする際、軸足がぶれるとファールをとられてボールが相手にとられてしまいます。バスケットボールに限らず、軸足をしっかりと固めることがビジネスにおいても非常に重要だと思っていて、それが激しく変化する時代の潮流に押し流されてしまうことなく、生き残っていく術になるのではないかと思うのです。ちなみに、私自身の経験則からその軸足を考えたら、職人目線の「現場が全て」と言う現場主義ではなかったかと思います。20数年前、大工として起業した私は、自分自身で現場で作業を行い、同時に顧客に満足してもらえる様に現場に真摯に向き合いました。その結果、学なし、金なし、コネなしのなんの強みも取り柄も無かった私にもひっきりなしに仕事の依頼が来るようになりました。現場に真実の瞬間があると確信した私は、その後、大工達を正社員として雇用して、安心して働ける環境を提供すると共に、現場で真実の瞬間を作ってもらえる様に、理念や職業人としての在り方、コミュニケーション等の研修を熱心に行い、私が確信した現場主義を社員大工達に伝え、現場を任せる様にしました。その結果、もう10年以上一切の宣伝広告をしなくても事業を継続できる仕事量をいただける様になりました。また、5年前からは全国組織の工務店団体から私が行ってきた社員研修を公開してほしいとオファーをもらい、一般社団法人職人起業塾を立ち上げて全国で研修事業を営んでいます。
昨年はコロナの影響で新規の集合研修は全て取りやめることになりましたが、そのかわりに経営者向けの人事制度改革のワークショップや、導入企業に社外顧問として入り込んで運営の手伝いをするなど新しいサービスをスタートさせました。20年の歳月と世の中の変化ともに私の立場や役割、働き方、生み出す価値は常に変化をし続けていましたが、それらのすべては現場主義と言う軸を持ち、ピボットを踏み続けてきたのは間違いありません。

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加速する世界

これまでの20年間も世界は常に変化してきたし、加速度的にその変化の度合いを深めています。私たちは変わり続ける外部環境、経営環境への対応を余儀なくされてきました。新しいことにチャレンジし、変化し続ける事は決して楽ではありませんし、どちらかと言うと面倒な事の方が多いのも事実ではありますが、地の時代から風の時代にパラダイムが移ったと言われるほど、これだけ大きく世の中が動き出すと、よく言われるように現状維持は緩やかな破滅への道なのだと強く感じます。自分自身も自分のビジネスも変化し続ける事を避ける事はできませんが、時代の波に押し流されてしなわないようにしっかりと自分の信じる価値観や、信念、心情を持って軸足を固め荒れ狂う時代の荒波に立ち向かっていきたいと思います。

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