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令和デモクラシーに必要な3つの概念③ 〜サーキュラーエコノミー(循環型経済)へのシフト〜

令和4年を表す漢字は「戦」でした。ロシアによるウクライナ侵攻は今も停戦の兆しも見えず、北朝鮮は頻繁にミサイルをぶっぱなし、中国は台湾の近海で軍事演習を展開して、日本領海を侵犯し続けています。安全保障に危機感を覚えた日本政府は、来年度の軍事予算を倍増するとの予算案を提出し、ロシア、インドを追い越して世界第三位の軍事費をかける軍事大国への道を歩もうとしています。それを中国ではアジア地域への日本の挑戦だと敵意をあらわにしました。
軍拡によって、力のバランスを保とうとするなんて、まるで冷戦時代に逆戻りしたような印象を受けます。自由、平等、生存圏等の基本的人権さえも守られなくなりつつある世界でこのままの流れに身を任せていては、人類はまた悲惨な歴史を繰り返すことになってしまう様に思います。この流れを止めて、成熟した誰もが取り残されない世界へと歩みを進めるには、今一度、人が幸せに生きられるためのデモクラシーを起こす必要があると強く思います。日本から、そして、日本を構成する各地域、地域を構成する地域企業から。来年以降、成熟したウェルビーイングな世界を目指す令和デモクラシーがムーブメントになることを願いながら、新しい時代の民主化に必要な概念を書き綴っています。今日はその3回目、サーキュラーエコノミー(循環型経済システム)について考えてみます。

令和モデルに欠かせない3つの概念
・CSV(共有価値の創造)
・タレンティズム(才能主義)
・サーキュラーエコノミー(循環型経済)

当たり前のことを実行する令和デモクラシー

暴力による現状変更、戦争による問題解決が最悪の選択であることを、人類はこれまで何度も経験して知っています。にもかかわらず、第二次世界大戦が終わった後も、世界各地で、紛争や戦争は絶えることなく起こり続けています。挙句、世界の核の約半数を保有するロシアが軍事侵攻に踏み切る暴挙に出たのは今年一番の衝撃でした。
そんなロシアも一応、施政の基本には民主主義を謳っています。昨日のnoteでは民主主義が機能している国は世界の半数にも満たないと書きましたが、実は法律で定められた建前上、民主主義を掲げている国は圧倒的に多いのが現実です。ただ、事業所で額に入れた立派な経営理念を社員の誰もが知らないし、実際の業務に反映されないのと同じように正しい判断基準やあるべき姿を分かっていても実践できないのがこの世の常になってしまっています。令和デモクラシーとは、今一度、当たり前のことを当たり前に選択、行動、実践できる世界へと人々の意識を目覚めさせることだと思うのです。民主主義、民主制とは人民が主役で人民の幸福を目指すシステムであるべきですが、人民自体が当たり前のことに気づくことが大前提です。

2020年の世界の民主主義のデ・ジュリ(法律上)の状態。民主主義と自称していないのは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタール、ブルネイ、バチカンのみ。中国や北朝鮮、ラオスは自国を人民民主主義国家と憲法で主張している。

悪魔との戦い

この世の中に山積している社会課題は複雑怪奇で人類の長い歴史の中で積み重ねられ解決の糸口も見つけられないほど難解なものも数多くあります。ただ、戦争や紛争、搾取や略奪、分断や格差が進むのも全て経済的な問題と深く関わっているのは自明です。その根幹には人間が持つ欲望がどっかりと横たわっていて、所有欲、権力欲、支配欲、性欲等々の悪魔に取り憑かれる人が際限の無い欲望を掻き立て、行動に移した結果、奪い合いの世界が広がってしまっています。しかし、生まれてから死ぬまでの人生の大きな節目の間のたかだか100年程度の人生で膨大な所有物を集めたところで、あの世に持っていける訳ではありませんし、遺したところで争いの火種になるだけなのは誰もが知っています。知っている事をそのまま、行動に移す事なく欲望に負ける人間の弱さこそが今の社会課題、社会問題を産み続けている元凶といっても過言ではありません。本来、人として生まれきたのなら、動物的な種の保存だけでなく、もう一歩先に進んで、自分と自分の周りだけではく広い視点を持ってより良い持続可能な世界を次世代に残す事を考えるべきだと思うのです。

破滅への道からの脱却

現在、日本を含めた西側と呼ばれる金融市場経済、株主資本主義は資本家がより多くの資本を集める強欲資本主義となってしまいました。トマ・ピケティーが「21世紀の資本」で発表したr(資本の収益率)>g(国民所得の成長率)=経済格差の増大の方程式は際限なく格差が拡大していくのを顕著に示しました。南アフリカに広がる一本の道を挟んでかたや庭付きプール付きの大豪邸、もう片方は延々とスラム街が広がる光景が世界に広がる事を証明しました。このままでは差別と分断、そしてその行き着く先の争いが世界中を覆うことになるのは火を見るよりも明らかです。世界中が戦火と混沌に包まれる前に強欲な一方通行の奪い合いの経済から、富が再分配される、経済が循環して誰もが豊かさを享受できる経済システムに移行すべきです。


南アフリカの空撮写真

地域企業から起こす令和デモクラシー

資本主義社会では巨大な資本家がその中枢を担っています。なので当然、自身の資本の分配や減少を好き好んで行うことはありません。巨大資本を持つ企業体は国境を越えて世界中に市場を広げて世界各地で格差の増大を加速させています。コロナによるパンデミックで世界のグローバル化は停滞したとも言われますが、日本でも地域産業だったはずの小売り業はAmazonに飲食業はUberやGoogleへの依存を加速させ、既に支配されつつあります。あらゆる経済活動の中心にIT、インターネットに強みを持つ巨大企業がおり、まるで国が税金を徴収するように収益を吸い上げてさらに肥大しており、気づかないうちに家計からそれらの巨大企業に毎月多くの支出を行うようになってしまいました。これは一方通行の経済であり、地域は時間の経過と共に益々貧困化を加速せます。
人の営みとはそれぞれが住む地域や国にある事を今一度、見つめ直すべき時にきています。各地域で経済が循環し、自立した地域が集まって国を形成し、自立した国が集まって足らないものを補完しあって世界を形作るべきです。まず、地域を支える地域企業が自立循環型(サーキュラーエコノミー)へのシフトを事業で実践し、持続可能な地域社会を作るところから、その民意が大きなうねりとなった時に世界はもっと平和で誰も取り残さないウェルビーイングに向かうと思うのです。これが令和時代にデモクラシーを起こすべき理由です。

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地域企業が本業で地域に存在する社会課題を解決し、循環型経済を実現するための研究と実践を行うコミュニティーがあります。日本の地域企業から三方良しの経済圏を創出する成熟した民主化(デモクラシー)を進め、世界平和を目指すための研究会です。ご興味があれば気軽にお問い合わせください。

事業そのもので地域社会に貢献社会する課題解決型モデル、良い会社としての指標を第3者評価と認定を受ける機関があります。併せてお問い合わせください。


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