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民主主義を阻む多数決と愚民政治

私が代表を務める株式会社四方継は本日をもって第22期目をスタートさせました。弊社では、長年、自律分散型組織への移行を標榜しており、全員が一堂に会してのミーティングは、年頭の事業計画を共有するこの会議のみ。私が年末年始に構想を固めた本年度の目標設定と注力すべき事業の方向性について全員と共有しました。

事業とは計画と実行

あらゆる成果や結果は状態に由来する。状態は計画とその実行によって整えられる。どの原理原則を信奉する私は事業とは、計画と実践のみであると常日頃から言い続けています。そして、計画は、人から押し付けられるものではなく、実行する者が主体性を持って綿密かつ詳細に練り上げてセルフチェックと軌道修正を繰り返しながら目標地点に着地させるものだと考えています。今回の事業計画の共有ミーティングでは、これまで5年間の私たちが目指してきた流れと、基本的な概念について改めて説明するだけに留めて、実行計画は実践の主体であるスタッフそれぞれに組み立ててもらうようにお願いしました。

ランチは賄いカレー

自律分散型への移行とは組織の民主化

自律、分散型組織へのシフトを別の言葉で言い換えること組織の民主化であると私は考えています。組織を構成する人が主体となり、決定権を持ち、それぞれの役割と責任を果たし、全体最適である組織の目標を達成する。誰もが言いたいこと、言うべきことが何でも言えて、本当にやりたいことが仕事で実現できる。好きで、得意で、しっかりと稼げて、世の中から求められ、喜ばれる。そんな生きがいのある働き方ができる事業所を目指すには、計画を押し付けて強制的に実行させるトップダウン式のヒエラルキー型組織では、絶対に実現できないと確信しています。それは、社長と社員と言うよりは、親分子分の関係性の軍隊式と言っても過言でない位、ひどい組織からスタートした私の肌感覚の経験則です。

非常に困難な民主主義の実践

しかし、日本ですっかり耳に馴染んで、当たり前のようになっている民主主義は、実は非常に難しくて、機能させるのが困難なシステムです。世の中には間接民主主義の多数決によって、物事を決める方法を民主主義の代表だと思われている方も少なからずいるようですが、本来、民を主体とするシステムに少数派を切り捨てて良いと言う観念はありません。多数決は数による暴力であり、民主主義と全く逆の意思決定の方法論です。誰も切り捨てることなく、全員が納得するまで議論を尽くすのが民主主義の根幹であり、それができるには組織を構成するそれぞれがしっかりとした自分の考え方を持った上で、他者の意見を深く理解し、第3の道を編み出す姿勢と能力を持たなければなりません。

人間は愚かな生き物である

もう一つ、本質的な民主主義が機能しない理由として挙げられるのが、愚民政治に陥りやすいと言う事実です。愚かな人が集まって議論をすると、自分の立場を守ったり利益誘導ばかりに執着し、他人の心を思いやることができません。そんな人ばかりが集まって多数の意見をまとめようとしたところで、全体最適に向かう良い結論が出るわけがありません。人は、愚かであるという前提に立つと民主主義と言うのは成り立たないもので、ギリシャの哲学者、プラトンでさえ、民主主義に対して諦めたとの言葉を残しています。

愚民が君臨する組織ほど最悪はない

そんな民主主義を諦めたプラトンが提唱した政治のシステムは、賢明な人が集まって政治を行う哲人政治です。愚民は、哲人の決定に従っておけば良いのだと言うのがその基本的な思考と論調です。
私は、プラトンのような哲学者でもなければ質の高い教育を受けたわけでもありません。それどころか、ろくに、学校にも行っていない社会の底辺を這いつくばって生きてきたいわば愚民です。そんな私が起業して、事業所を立ち上げ運営していること自体がどうか、との話はありますが、それでも無一文で起業して以降、20年以上にわたって事業を継続してきました。その中で感じてきたのは、スタッフのメンバーの方が若かりし頃の私よりも絶対に優秀であるし、愚民である私がトップに立って独善的にヒエラルキー組織を運営するよりも、皆の力を借りて、民主的に組織を運営するほうが絶対にマシだと言うことです。

愚民から脱却するシンプルな方法

それでも、今日の会議では、民主主義が抱える愚民政治へのリスクをメンバーに伝え、そんなメンバーはいないだろうと思いながらも念のため、今だけ、金だけ、自分だけ良ければいいと言った、全体最適を考えられないような愚民の典型的な思考は排除するようにお願いしました。
プラトンが危惧した民衆は愚かであると言う定義は、要するに、刹那主義、利己主義、拝金主義に人は陥りやすいと言うことだと思っています。
未来を見据えて、世のため、人のためになる、共有価値を生み出す思考だけしっかり持てば、人は、誰しも愚民に陥る事はないと私は思っています。そして、自社のメンバーは、我々の理念であり存在意義に掲げた「四方良しの世界の実現」に対して深く理解するとともに、事業を通してそれを推し進めていくとコミットメントしてくれていると信じています。

良いも悪いも、好きも嫌いもなく、ただそこにある事実をしっかりとかみしめて、四方皆が良くなる選択を行ってくれると信じているのです。

民主主義だからこそ生まれる共有価値

第22期目を迎えた株式会社四方継は非常に困難な民主化と持続可能な自律循環型の地域社会、ビジネスモデル構築の2つのテーマの両方の実現を目指して、四方あらゆる人との共有価値の創造を事業を通して行って参ります。そして民主主義を目指すからこそ、それができると思うのです。スタッフ一同、力を合わせて民主的にお客様や地域社会、ひいては、建築業界や日本にとって最善の選択を繰り返していけるように精進してまいる所存です。
本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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民主主義と持続可能な循環型の地域社会の実現を目指して建築と地域活性化事業に取り組んでいます。

建築業界のデモクラシーを進めています。

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