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+One志向がもたらす量質転化

最近、ネットニュースを見るのが嫌になるほど、解決不可能と思える難しい社会課題が巷に溢れかえり、先行き不安どころか、未来に対して暗たんたる気持ちになってしまいます。この閉塞感に包まれた日本を何とかしたい、もう少しまともな世界にしてから次世代に引き継ぎたいと強く思います。しかし、私たちの力はあまりにも微弱で、世の中を変えるなんて夢のまた夢と思ってしまいがちです。それでも、どう考えても諦めるわけにはいきません。一人ひとりの力は弱くても、それが集まれば大きな力になる可能性があります。そう考えて、地域の経営者と手を携えて、身の回りから少しでも良くしていく、生きるに値する世界に近づけていく努力をし続けています。

ワンデープロジェクト@川西

私が世話人を務めている経営実践研究会では、それぞれの地域で卓越した経営手腕を発揮している経営者の事業所に訪問し、先進的な事業モデルや経営者のあり方について学ばせていただくとともに、メンバーの事業所と協業して地域を良くするプロジェクトを生み出すことができないかと模索を続けています。ワンディープロジェクトと名付けられた、この企業訪問の取り組みで以前は今をときめく、ブルワリーメーカー、伊勢角屋麦酒や、神戸の震災後、拠点を三重に移して、奇跡の復活を遂げられた、万協製薬社に訪問させて貰い大いに学ばせてもらいました。
今回は、介護事業や警備、人材派遣等の事業を営まれている、川西市で知らない人がいないと言われるほど大々的に地域にしっかりと根を張り、先進的な取り組みを次々に打ち出して圧倒的な活躍されているプラスワングループに訪問させていただきました。

➕1の付加価値の圧倒的効果性

プラスワングループのHPを拝見すると、警備会社からスタートした創業時から様々な業態へと拡大進化を続けながら、事業を拡大しつつ、地域社会への貢献を加速させてこられたことが分かります。事業に対する理念、思想をそのまま社名にされたとHPに書かれていましたが、創業時の警備会社の時から、同業他社では行っていないプラスワンの付加価値を生み出す取り組みを行って来られたとのことで、今回、訪問させて頂いた特養ホームでもその精神は随所に現れていました。圧倒的な規模感に細やかに気配りされた高い品質が兼ね備えられているのには衝撃を受けました。

事業ドメインの革新と変容

プラスワングループは近年、環境省や農水省から次々に表彰を受けておられます。それは老人ホームや福祉事業の枠を大きく飛び越して、新たなビジネスモデルを確立しながら、環境負荷の低減や福祉事業者として高齢者に寄り添い業界屈指のサービスを提供しているのが認められた証です。
特養老人ホームの事業所で大きく重要な業務に食事の提供があります。同社では独自の技術を開発して調理した食事を冷凍して提供されています。毎日600人の利用者に対して日に3回、365日休みなく食事を提供するのは並大抵の事ではありません。調理担当のスタッフの労働環境や災害やトラブルがあった際の対応を考えると、その日の食事をその日に作って提供するのは非常に高いリスクを伴うのは素人の私でも分かる事ですが、冷凍技術の確立で様々な問題を解決されていました。

福島和博さんが第3回ひょうごジビエコンテスト(主催・協力:ひょうごニホンジカ推進ネットワーク 及び 兵庫県)にて兵庫県No.1である最優秀賞を受賞

量質転化の法則

実際にセントラルキッチンの調理場や冷凍施設の見学をさせて頂いて2週間先の1800食を毎日調理する現場を見せて頂きました。仕込み、調理、パッキング、冷凍と、セクションに分かれてシフトが組まれているとのことで、とてもシンプルで効率良く作業手順が組み立てられており、調理スタッフの方々の負荷も最小限に抑えられている様にお見受けしました。私の想像よりもかなり少人数で圧倒的な人数の利用者の食事の用意を作られている印象を受けました。
施設の見学を終えて、古賀社長にお話を伺いながら冷凍して提供されている食事の試食も同時に行って頂きました。
おかずやカレー、デザートまで一通りの試食をさせて貰って初めてプラスワン社の卓越性が深く出来たというか、その凄さを感じました。まさにプラスワンの理念が隅々まで浸透し、圧倒的な量をこなしながら高い質に転化されている、量質転化の法則を体現されている姿は衝撃を通り越して大きな驚きでした。

地域企業の底力

肉や野菜を冷凍して保存するのは今ではすっかり一般的になりました。しかし、調理した料理を冷凍保存するのは実は非常に難しく、冷凍する温度や時間によって大きく味が変わってしまうらしく、特に豆腐などは家庭用冷凍庫で凍らせると水分が抜けて保存食の高野豆腐の様になってしまうとのこと。また、どうしても味が濃くなったり塩っぱくなりがちなのを、プラスワン社では冷凍時間にこだわり、日本でも最速レベルの機器を導入、また、調理の研究も熱心に行い、加工品の冷凍保存では日本で有数の技術を蓄えられ、並いる有名レストランのシェフを差し置いてレシピコンテストで優勝される程の腕前になられているとのこと。特養の老人ホームでありながら、名実共に日本のトップレベルの調理と冷凍保存の技術を保有されているのは本当に驚きました。私の地元である兵庫県にこの様な事業所が存在することを今まで知らなかった自分が恥ずかしくなりました。同時に、地域企業の連携による可能性の大きさを感じることになりました。
国や政治に頼るのではなく、今、ここから、地域から社会を変えていくムーブメントを巻き起こしたいと心から思います。

合言葉は三方よし


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建築実務者に対する志とマインドセットの研修を通して、主体性と自立心に溢れる人材育成のサポートをしています。

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