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若い大工の離職、モチベーション低下、どうコミニケーションを取ったらいいか分からない。にお答えします。#パンドラの箱

最近、職人育成についての情報発信をしているせいか、それに関連した問い合わせを毎日の様にいただきます。昨夜も遅く、私が尊敬している元経営者であり、某団体の役員をされているIさんからメッセージが届きました。「実は〇〇の協会繋がりで、〇〇と言う全国組織の大工さん養成学校があるのですが、若い大工さんが離職したり、モチベーションが上がらなかったり、どうコミニケーションして良いか迷っているようです。社長さんと若い大工さん向けに大工としての誇りや心構えを説くような講師がいないかと相談されました。私の中では高橋社長、一択でしたので相談する次第です。お受けできそうですか?」との相談でした。
「まずは基調講演的な感じで一回やってほしいみたいですが、いかがでしょうか?」とのことで、職人に誇りを持って、価値を生み出す働き方に変容してもらうのが私のライフワークなのでもちろん、喜んでお受けしますと即答しました。

ものづくりはやりがいのある面白い仕事

私は元大工で自分自身が長年現場で作業をしてきたし、今でもたまに現場に出ることがあります。50歳半ばになっていまだに思うのは、現場でものを作るのは面白いと言うことです。そして、出来上がってお客さんに物件を引き渡す時は喜ばれ、感謝され、そこから長いお付き合いが始まります。自分が建てた家で子供たちが育ち、大きくなっていく様をことあるごとに目にして、幸せな暮らしのベースとなる部分を自分たちが提供したのだと誇らしく感じます。この大工の仕事が面白く、楽しく、誇らしい、そして時には厳しく重い責任を背負っている社会的にも重要な仕事であるのは現場を任されている棟梁だけに限らず、若い大工たちも感じているはずです。

目標に向かって突き進む若者達

そんな自分自身の経験から私は若者に大工になることをすぐ勧めます。やりがいと誇りを持って働ける素晴らしい職業であると同時に、現場で実際にものを作れる職人こそ、これからの時代に大きく求められるようになる人材であり、今の内から技術と知識、そして人間力を身につけたら将来は引く手あまたの人気者になれることが確実に見通せるからです。実際、お客様先のご子息だった若手大工見習いの和希(新卒2年生)は小学生か中学生位から私とお父さんに大工になれと言われ続け、工業高校の建築科を卒業し大工見習いとして就職して意欲に満ちてバリバリ働いています。今年は2級建築士の資格取得、来年は一級建築士を取得する勢いです。本人は将来独立起業したいと言っておりますが、株式会社四方継の次の次の世代を担う経営者となるかもしれません。ちなみに、新卒5年生の拓己は現在新築現場の若手棟梁として活躍しています。とにかく、今年成人式を迎えた若者が一生懸命に学ぶ姿勢を持ち続け、モチベーション高く仕事に向き合っています。

絶望を感じるのは環境

タイトルに書いた質問は大きく3つに分かれます。1つ目は若い大工の離職が止まらない問題。ただ、モチベーションを上げるのも、コミニケーションをしっかりと取れるようにするのもこの問題の解決に資することになるので結局は離職問題を解決する質問への回答に全てが含まれることになると思います。確かに、圧倒的な若手職人不足の今、金の卵とも言われる若い職人にサクサクと離職されていては経営者のショックも相当きついと思います。非常に深刻な問題だと思われますが、この問題の解消は意外とシンプルです。人が一度志した職業をやめてしまうのは、大きく3つの理由に分かれます。1つ目は今の仕事の延長線上に将来の光が見えない時。こんなことをやっていて何になるんや、バカバカしいと思った時、人は離職します。2つ目は、今は下積み期間なので稼げないのは仕方がないが、それにしてもあまりにも待遇がひどすぎるやろと憤った時。将来への展望が見えなければなおさらです。3つ目は人間関係に行き詰まってこんな人たちと一緒にやってるかと投げ出した時。これらの条件が全て揃ったら必ず若者は離職してしますし、時と場合によってはその3つの条件の一部分だけでも退職届を突き出してきます。人は絶望を感じた時、環境を変えずにいられません。

法遵守とキャリアプラン構築

一般社団法人職人起業塾で私が全国で行っているワークショップで現在強く推し進めているのは人事制度の改革です。上述の若者が離職する原因をシンプルにまとめると人事制度の運用が適切ではないことに集約されるのです。まず完全適法の賃金規定と運用、いまどき残業手当もろくに払っていない、有給取得義務日数も消化できるようにしない会社に若い社員が残ったりしません。情報化社会になり同年代の人たちの働き方や報酬も簡単に知れるようになりました。あまりに乖離があると馬鹿馬鹿しくてやっとれるか!と投げ出して行きます。2番目はキャリアプランの構築です。仕事とは役割と責任とその成果に対しての給料がバランスよく均衡がとれているべきで、入社してからの成長に合わせてどのように昇給しているかを見えるようにすべきです。体力が落ちて現場での生産性が下がる50歳を超えてからの働き方にも希望が見えなければ長期的な目で仕事に向き合ったりできなくなります。入社時からキャリアプランを提示して、半年や1年ごとにその成長を確認し昇給制度を運用すれば、若者たちは目標を持って熱心に技術や知識の習得、信頼関係を構築するコミュニケーションに取り組みます。

パンドラの箱

法に則った就業規則の遵守、運用やキャリアプランの構築など一般的な事業所にすれば当たり前すぎることばかりですが、建築業界でそれらが整備されている事業所は非常に少なく、逆にその部分をおざなりにしているのがスタンダードになってしまっています。そもそも、仕事が薄い時に職人を抱えていては固定費が増大することになり、職人を正規雇用をしない事業者が圧倒的大多数を占めます。私が話す当たり前の事は、いわばパンドラの箱を開けるようなもので、事業主がリスクを背負う覚悟を迫られることになります。しかし、その部分に手をかけなければ若者が未来に希望を持ってモチベーション高く働く環境が整う事はありませんし、離職も止まりません。このような話でよければ、ご依頼をいただければどこにでも足を運んで詳しい実務について話しますし、個別でご連絡をいただければキャリアプランの帳票を共有して説明もさせてもらっています。ご興味がある方はぜひお気軽にお問い合わせください。

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