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2つの課題を解決する新しい職人養成学校の胎動① 〜出逢いこそが宝〜

私が代表を務める株式会社四方継はいわゆる大工工務店で、社員大工による施工ができる分しか工事を請け負いません。なので、若者の採用を積極的に行い、育成に努めてきました。現在も、3年生、6年生の若手大工が目覚ましい活躍をしてくれており、今後の成長が本当に楽しみです。翻って建築業界全体を見渡すと圧倒的な高齢化が進んでおり、あと10年もしないうちに深刻な職人不足になるのが目に見えて明らかな状況です。建築現場でものづくりをする職人と言う職業は非常に面白く、やりがいのある仕事にもかかわらず、なりたいと思う若者が皆無なのは本当に残念で仕方がありません。

無力感半端ない私塾の活動

私は、学校にロクに行っていない中卒の大工上がりの経営者ですが、人並みの暮らしができているのも、真人間になって世の中のためになることを一生懸命考えるようになれたのも、建築業、学歴に関係ない職人と言う仕事が受け皿になってくれたからです。この業界に大きな恩義と愛着を感じていて、その素晴らしさを多くの若者に伝えたいと思っています。そんな想いから余年前に一般社団法人職人起業塾を立ち上げて若者に憧れられるような職人を育成すべく、全国で活動を続けてきました。この4月からスタートする塾は19期目となり、これまで200名以上の塾生を輩出してきて、それぞれ大きな活躍をされています。また、職員向けの実践研修だけではなく、人事制度やキャリアプランの策定等のガバナンスを整えるサポートを行っており、参画企業先では若手職人の採用も進むようになってきました。しかし、業界全体を見渡せば1ミリも変わっていません。私の行ってきた活動はあまりにも無力でした。

国交相若手大工育成事業

職人不足解決の2つのアプローチ

私はこれまで、職人不足の元凶となっている若者から忌み嫌われる職人の世界を変えるには、2つのアプローチがあると思って活動を行ってきました。1つは、今現場で働いている若い職人が憧れられるような存在になること。生き生きとやりがいを持って、将来を見据えて働いている姿をこれから社会に出てくる若者に見せる必要があると言うこと。当然、稼ぎも他業種と比較して劣らない位、良くなっておられなければなりません。それには働く側の意識が変わらなければならないと考えて研修事業を行っています。もう一つは、受け入れ側の問題です。経済的な安定と社会的の保障がしっかりとあり、将来が見通せるキャリアプランを備えた事業所でなければ、就職する若者の親御さんや教師も安心できず、不安定極まりなくブラック企業の職人になるのかやめておけと止められてしまいます。労働基準法を完全に適法に運用できる事業者を増やせるように人事制度改革のワークショップを全国で繰り返してきました。もちろん、一定の成果はあったし、就業規則を見直す事業者が多く降りました。しかし、地道な活動を続けてきたところで業界にインパクトを与えるほどの効果はなく、全体を俯瞰して見れば何も変わってないのが現実です。このままではダメだと違うアプローチを模索し始めるきっかけになったのは新型コロナによるパンデミックの影響で、これまで行ってきた集合研修事業ができなくなったことで、根本的に一般社団法人職人起業塾の事業を見直し、第三のアプローチを模索し始めました。

職人起業塾 卒塾検定

人との出会いが人生を変える

そんなタイミングで出会ったのが経営実践研究会と言う団体です。そこでは社会課題を本業で解決する事業者が集まり、情報共有や協業を繰り返しながら志を実現する活動を非常に熱心に行われており、研修会や講演会などに足を運ぶ度に大きな学びと気づきをもたらせてくれました。その中には格闘家のセカンドキャリアを担保できるようにキックボクシングジムを多店舗展開しておられる元総合格闘技のチャンピオン池本さんや、沖縄の貧困問題を解決すべく沖縄を拠点にプロ卓球チームを立ち上げ、3年でタイトルをとり、同時に株式上場を果たした早川社長、デジタル地域通貨発行のトップランナーeumoの新井社長やティール組織の先駆者として有名な武井さん、地域密着でESG的な融資を積極的に行っており、京都の経済界に一石を投じている榊田理事長、子供達の自己肯定感を高める活動と共にマジシャンの地位向上を実現に向けて取り組まれている手品家の前田社長、オリジナル酵母を研究開発して世界一のタイトルを取り続けている伊勢角麦種の鈴木社長、今年、日本で一番大切な会社の大賞を受賞された博多の賀村社長など、本業での社会課題解決を目指し、実践を通して大きな成果を手にされている多くの経営者と知り合い、学ばせてもらう機会を得ることができました。皆さん社会にインパクトを与えるような事業にスケールされているのを見て、自分一人でシコシコやるような時代では無くなったことを痛感、多くの人からの共感を得て、協業の輪を広げる事によって大きな課題に立ち向かう勇気をいただけました。

経営実践研究会リーダーミーティング

課題×課題=課題解決

そこで私が着目したのは、建築業界、ひいては日本全体の生活インフラ整備ができなくなる職人不足(働き手がいない)問題と、社会の大きな変化に伴い、最近急増している不登校児童、学生の(働く場所がない)問題を掛け合わせる事によって両方の問題解決ができないか?という事です。また、私が長年、研修事業を通して職人や現場実務者の若者に訴え続けてきた「何のために働くのか?」「何のために生きるのか?」との問いは社会人、職業人として最も重要な目的意識、志を明確に持つとの意味であり、若者を受け入れる側の事業者にとっては最も新入社員に身につけてもらいたい用件です。それが今の学校教育では全く教えられていない、受け入れ側要求と送り出し側が提供している用件の齟齬が大きな問題であることを鑑みて、不登校や高校中退、中卒などの目的も志もなく過ごしている学歴社会からこぼれ落ちた若者にもう一度、学ぶ場を与えて、志を固める教育と卒業後、職人として活躍できる技能と知識、そして、人生の選択肢を狭くしてしまう低学歴から抜け出せるように高校卒業の資格を取得できる学校を立ち上げることを思いつきました。今までとは違って建築業界だけではなく、自治体や不登校児童のケアをしている団体、教師や教育委員会等の教育現場の方々と手を取り合って、(私がそうであったように、)現在の学校教育の枠組みに馴染めない若者、子供達に新しい選択肢として、明るい未来を標榜できる職人という道を示せるようにしたいと思っています。現在、まだ法令チェックなどのビジネスプランを固めている最中ではありますが、来年度にはスモールスタートを切りたいと思っています。オレの社会課題解決の実践、進めて行きます。
志×技能×高等教育を提供する新しい学校設立に関してご意見、ご感想等頂ければ嬉しいです。お気軽にコメント頂ければ幸甚の極みです!

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信頼を軸にしたマーケティング理論と志を固める研修事業を行っています。


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