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優しい世界の作り方 #自己肯定とタレンティズムと適材適所

私は「本業を通して社会課題を解決する」をスローガンに掲げた経営実践研究会と言う団体に所属しています。自分自身が職人の社会的地位の向上を創業の志に掲げ、職人の正規雇用や、彼らが持つ潜在的な才能を開花させることによって付加価値を生み出すことで建築業界が抱える課題を解決する取り組みを続けてきたこともあり、志を同じくする人が数多く集まるその研究会に魅力を感じて入会しました。今日はその活動の1部をご紹介します。

志を伝播させる仕組み

経営実践研究会は現在、全国に600社近くの仲間がいて、非常に精力的な活動を繰り広げています。その一つに毎週のように行われる全国メンバーが一斉に参加するオンラインミーティングがあり、メンバーの中からピックアップされた4社が自分たちの志やそれを実現する事業についてのプレゼンテーションを行います。そこで共感したメンバーが集まり、協働する事で事業が大きな広がりを持つ可能性を秘めた素晴らしい仕組みです。

壁打ちと言う名のブラッシュアップ

プレゼンテーションを行う選ばれたメンバーは全国の数百名の経営者向けに、自分は何のために、どんなことを実現したいか。を話すことになるわけで、当然、念入りに事前準備をされます。壁打ちと称して繰り返し地域に分かれた所属グループのメンバー間で繰り返しプレゼンテーションの練習を行い、フィードバックを受けてブラッシュアップを行い、想いが伝わるように完成度を高められます。
この度、私が所属する兵庫のグループメンバーの内藤さんがそのミーティングでプレゼンをされることになり、先週、私も気合を入れて壁打ちに参加して思いっきり熱いフィードバックを返しました。彼は私のアドバイスをずいぶん熱心に聞いてくれて、是非とも修正したプレゼンテーションを聞いてもらいたいとの申し出があり、今日の早朝からオンラインで聞かせてもらいました。

原体験から絞り出された志

夜明け前から起き出して、早朝から聴かせてもらったその内容は前回とは比べ物にならないほどすばらしい内容になっており、彼の志やその元になってる原体験、現在の事業とのつながりが非常に明確になっていました。共感した、を大きく飛び越えて胸が震え、心から一緒に事業に取り組んでみたいと感じさせられるものでした。今後、私とコラボレーションして事業展開してもらうことになると確信したこともあり、以下に彼の志をご紹介したいと思います。

やさしい世界を作る

内藤さんの志であり事業の目的は「やさしい世界を作る」ことです。個人、家庭、会社、地域社会、国家、世界とそのレイヤーを広げていくために、元データーサイエンティストのキャリアを活かして、まず個人の持つ才能をつまびらかにする、詳細で丁寧な分析とその分析結果を生かして実務で才能を開花させるサポートを事業として行っておられます。
プレゼンテーションの冒頭で、まずはそのような事業に取り組むようになった原点を話されました。

自己肯定こそがやさしさの元

彼は学生時代、データサイエンティストとして学会での発表経験を持つほど優秀だったようですが、社会に出てからは様々な軋轢や蹉跌に翻弄され、自信喪失どころではない、自己否定の世界に入り込んでしまいます。そこから抜け出すために様々な勉強に取り組む中で、(私も1時ハマったことがある)ありがとう教(別に宗教ではありません)に触れられます。ノート1冊をびっしりとありがとうの言葉で埋め尽くす中で、当初は身の回りの人たちへの感謝が溢れ出したそうです。書き進めるうちにそれがあらゆるもの(人だけにとどまらず)に対する感謝へと広がっていき、最終的に自分自身の存在に対してもありがとうの気持ちが沸き起こってきたとのことです。自分自身を抱きしめて、尊重する感情がわき起こった時、あらゆる人に対して優しい気持ちになったのが彼の原体験で、優しい世界を作りたいと志す彼の原動力です。

既に全てを持っている

その後、東日本大震災をきっかけに、海外に飛び出して「もし自分が全てを手にしていたら一体何をするのか?」との問いに対する答えを探して回ったそうです。そんな中、インドで四肢を失った物乞いに、「何を言ってるんだ、君は既に全てを持ってるじゃないか」と笑われたことをきっかけに、自分が本当に恵まれた環境で生まれ育ってきたことに気がつき、帰国してから海外での経験を生かしつつ、自分の核となる部分に目を向けて、人前でそれを発表するプレゼンテーションイベントを企画運営されたそうです。その壇上に立った子供が自分が好きなのは絵を書く事です。と発表したのをきっかけに、数年後には画家になることを目指し、「絵の表現を通してLGBTQや貧困問題の解決に寄与して世界を良くしたい!」と語るのを聞いて、人は誰しも大きな才能を持っており、それを開花させるきっかけを与えることが一人ひとりの課題を解決し、ひいては世界を良くするのだと気づかれたのでした。自分の原体験からの世界を旅した経験、そして実際に目の当たりにした自分自身の行動の成果を見て、今の事業に本腰を入れて取り組む様になったとの事でした。

タレンティズムと適材適所

世界の頭脳が集まると言われるダボス会議で金融中心の資本主義社会が終焉を迎え、グレートリセットが起こると議論に上ったのはあまりにも有名ですが、その先の世界へ移行するには、あらゆる人が持つ才能を発揮して世の中全体がボトムアップする必要があると言われています。いわゆるタレンティズム(才能主義)の考え方ですが、これを広く世の中の事業所や組織に浸透させ、実装させていく役割を内藤さんは背負って立つとコミットされました。伝説の宮大工西岡常一棟梁がよく使われた「適材適所」の考え方を現代に広く知らしめて、すべての人の才能や長所を自己も、周囲からも認識してもらい活躍できる世の中を作ることが、優しい世界の実現につながるとの考え方は職人育成に力を注いできた私と全く同じ方向であり、大きな社会課題の解決につながると信じています。今回のプレゼンテーションを聴いて内藤さんと力を合わせ日本の隅々までタレンティズムの考え方が浸透するように共に歩みを進めたいと思った次第です。新しい世界が少しずつ見えてきている、変化への胎動が始まっている。そんな気がします。

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タレンティズムを起点にした実務者研修、制度改革のサポートを行っています。

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