蜂蜜の体験を創る大工
農薬の影響を受けない花を求めて山口県の山奥に入り込んだ養蜂家がいます。無農薬の自然農業で自給自足に近い暮らしをしながらミツバチと共に生きておられます。
ご自身が食事療法でガンを克服した経験を経て、健康は食が基本にあるのを体感し、本当に身体に良いものを提供したいと山に分け入って自然と暮らしておられるとの話を聴いて、この人本物だなー。と思いました。分かったことを分かった通りに行動に移せる人を心から尊敬します。
食と健康を考えるきっかけになる蜂蜜
そのときつ養蜂園のはちみつを購入してみました。普段、殆ど甘いものは口にしない私ですが、ナチュラルな風味というか、爽やかな甘さは確かに身体が喜ぶように感じました。蜂を大切に育てられ丁寧にはちみつを作られているのを強く感じて多くの人にオススメしたいと思ったのです。
植物の受粉は蜂を介して行われるのは誰もが知るところですが、蜂が大幅に減少しているとのニュースを度々目にします。蜂がいなくなれば植物の3分の1が絶滅すると言われています。
残念ながら日本は農薬大国で、海外では使用が禁止されているネオニコチノイド系の農薬さえ未だに使われています。この手の農薬を散布するとミツバチが大量死してしまいます。ときつ養蜂園が山深く入って行ったのは、農薬からミツバチたちを守るためだとのこと。時津さんの話を聴いて、安全だと思っていた国産の野菜はヤバいのだと改めて食と健康について考えさせられました。
デザインすべきは顧客の幸せな体験
そんな、真面目に、誠実に蜂蜜を作っている時津さんを応援したくなりました。オーガニックな蜂蜜自体もオススメしたいですが、これを機に、人の身体は食べた物で作られる原則に気づくきっかけを多くの人が持てればいいと思ったのです。実は、私自身も無農薬無肥料の野菜づくりに興味があり、10年ほど前から会社のメンバーと一緒に野菜づくりに取り組んできました。
私は元大工で、建築の事業を営んで来ましたが、私たちが提供すべきは注文通りに建てる単なる箱ではなく、暮らし自体、家という箱での幸せな体験をデザインしなければならないと気づいた頃から、顧客を畑に誘って、安心な食べ物を買ったり、自分で作ったりすること大切さを伝える啓蒙活動的なイベントも継続して行ってきています。その流れが現在の地域コミュニティーサービス、「つない堂」の事業部の設立に繋がっています。多様化が極まった今の時代、あらゆる事業者が提供すべきはモノではなくコト、それを深く掘り下げた体験をデザインすることが必要になっていると、UXデザインを学び、気づいたアウトプットです。
蜂蜜を定期的に購入できるサービスの盲点
ときつ養蜂園の応援をしたいと考えて、思いついたのがホテルやカフェでたまに見るようになった蜂蜜ディスプレイの供給です。つい先日も注文がありましたが、以前からポロポロと養蜂家の方から制作依頼がくるディスプレイをお送りしました。
美味しくて、身体に良い蜂蜜はとても付加価値が高い商品です。しかし、スーパーで売られている大量生産品に比べると売価も少し高めで、しかも山口県から取り寄せなければならないので、継続した購入に至らずに、つい忘れさられてしまいがちなのでは?と感じたのです。私自身も蜂蜜を摂取することがそもそもないので、意を決さないとなかなか注文まで漕ぎ着きません。人は皆、忘れやすくめんどくさがりです。
時津さんと以前にそんな話をしていて、今ではお得な定期便のサービス設定がWebサイトに出来ています。これなら安心安全なハチミツを定期的に購入することが出来ると私も申し込んで見ました。ただ、どれくらいのペースで蜂蜜を消費するのかはっきり分からないだけに申し込みを躊躇する人も少なからずいるのではないかと感じたのです。
https://beeslife.theshop.jp/items/81640183
体験を思い出すデザイン
ときつ養蜂園の蜂蜜をもっと多くの人に知ってもらうには、顧客の良い体験が必要です。サービスのイメージが曖昧なものはなかなか広がらないもの。
この部分のUXと必要な分だけをスムーズに注文できるUIの問題を解決すべきではないかと考えました。そもそも、商品自体はとてもいいモノなので、注文のハードルが低いサブスクリプションで、忘れられないようにするだけで大きな効果があると思います。
そこで、私からの提案は、カフェやホテルに蜂蜜のディスプレイをサブスクリプションで置いてもらい、定期的に集蜜板を交換して、リアルに蜂蜜を集める、とても印象に残るシーンを演出することで、お店にも身体に良いモノを扱っているイメージをつけてもらえるし、そこに足を運んだお客さんに定期的に購入するきっかけを提供できるのではないかと考えました。
正直、蜂蜜を普段から消費する人へのリサーチをした訳でも、ホテルやカフェに潜り込んでエスノグラフィー的な調査をした訳でもなく、単なる思いつきの範囲を出ませんが、良いものは忘れられないようにして、注文するきっかけがあるだけできっと継続的に購入してもらえると思うのです。少しでも多くの人に身体に良い蜂蜜体験をしてもらえたら嬉しいです。
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体験をデザインする建築と地域コミュニティーの会社を運営しています。
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